非常にお試し色が強い選手起用だった割には善戦していましたが、ボールを持たされる展開が苦手なのは相変わらず。そして久しぶりに出場機会にも関わらず期待外れに終わる選手がゾロゾロ。
《スタメン》
浦和は前節川崎戦後半のスタメンからなんと渡邊・安居・関根・マリウスを除く7名を入れ替え。サブも普段のスタメン級は井上と石原だけ。
スコルジャは試合前の会見で「今までベンチスタートが多かった選手にプレーする機会を与えるチャンスでもあります」「少し勇気を持ったメンバー選びができる試合になります。トレーニングでいいパフォーマンスを見せている選手が何人もいます。そのような選手にJ1リーグでプレーする機会を与えたいと思っています」と公言していたので少なからずフレッシュな顔ぶれが並ぶことは予想されましたが、ここまで極端に入れ替えるとは全くの予想外。非常にお試し色が強いスタメン&ベンチ構成でした。
一方福岡は前節C大阪戦から負傷したGK永石に代えて村上をスタメン起用した他、宮→井上と計2名入れ替え。また福岡はなんと11/9以来20日間以上公式試合をしていないようで・・・代表ウィークが挟まるせいでサッカー観戦向きの季節に試合がなく、酷暑&気候要因で中止の恐れがある夏季に過密日程というバカバカしさ。This is Jリーグ(苦笑)。
《試合展開》
福岡はいつものようにボールを捨てる作戦を徹底。とりあえず浦和にボールを持たせて前三人で浦和最終ライン&GKに強くプレスをかけてきましたが、浦和は福岡の前ハメを逆用するかのように適宜ロングボールを織り交ぜて中盤で浮いている選手にボールを付けてビルドアップ。これはこの試合の「良かった探し」に上げていいと思ったのですが、巧みに敵陣にボールを運んだところで、そそくさと自陣に戻って堅固な5-4-1の守備ブロックを形成する相手の前に手も足も出ず。全くといっていいほど最前線でボールキープできないサンタナのあんまりな残念さが浮き彫りに。
そうこうしているうちに15分余裕をかましてボールを持ち運ぼうとしてなぜか急に足元不如意になってしまった佐藤がウェリントンに絡まれてボールロスト。ウエリントンのパスを受けた紺野が決定的なシュートを放つも枠を捉えきれず。その直後には前のロングフィードを受けた岩崎が左サイドからあっさり関根を交わしてシュートを放つもここは牲川ががっちりキャッチ。
浦和は20分くらいからようやくボックス内に入り始め、29分関根のロングフィードを受けて右サイドを激走する前田の折り返しから渡邊に決定機が生まれましたが、シュートはバーの上。
これでなんとか浦和が試合の流れを掴むかと思いきや、40分関根が重見にプレゼントパス。すかさずボール奪回に動いた渡邊も重見に競り負けてしまい、重見のパスを受けた紺野のミドルシュートが決まって福岡先制。渡邊は重見と交錯した後そのままうずくまってしまいましたが、重見のファウルは認定されず。
なお重見は4分に一発レッドでも不思議はないサンタナへの足裏攻撃でイエローをもらっており、その後も再三のラフプレーで今にも退場しそうだったせいか、前半限りでお役御免。前半のうちに二枚目のイエローを提示して重見を退場させなかった上村主審の迷裁きが結果的にこの試合のあやに。
先制した福岡はやるべきことが一層はっきりするようになり、再びボールを持たされる羽目に陥った浦和は前半終了間際に前田が右サイドからミドルシュートを放つのが精一杯。49分小泉縦パス→原口→前田の決定機はシュートが枠に飛ばず。59分長沼のパスをボックス内で小泉が収めて原口がシュートを放つも勢いがなくてGK村上が楽々キャッチ。
スコルジャは64分サンタナ→興梠、前田→二田と2枚替えを敢行し、72分左サイドから原口クロス→ファーで二田ヘッドの良い形を作るも枠を捉えきれず。
スコルジャは73分小泉→武田、原口→本間とさらに2枚代え。その後のオープンな試合展開は福岡の得手ではないと思いましたが、浦和も浦和でここまで一人でチームを成り立たせていた感があった渡邊の電池切れが顕著でどうにもならず。84分関根とのワンツーで渡邊がボックス内に突入するもシュートコースが制限されていたせいかシュートはGKが難なくキャッチ。
それでも試合終了間際に佐藤のロングフィードをCB井上がクリアしきれずにボールが二田を直撃。ボールを拾った二田のクロスを中で本間が詰めるだけという絶好機が生まれましたが、なんと本間が詰め切れず!!!純然たる消化試合にも関わらず博多の森にわんさか詰めかけた赤者の目の前で起こった大惨事。あれには吉本新喜劇ばりに全員がずっこけたでしょうなぁ・・・
そして最終節の相手はJ1残留が決まっていない状態で埼スタに乗り込んでくる新潟。絶好機を決められなかった本間は試合後泣いていたそうですが、その悔しさは新潟相手に断腸の思いでゴールを叩き込むことで晴らすしかないでしょうなぁ・・・
《総評》
「この中で来季の戦力構想に入れる、いやそれ以前に来季の契約を勝ち取れるのは誰かな?」と言わんばかりの選手構成だったので、この試合の出来不出来、さらには来季に繋がりそうだったかどうかを語ってもあまり意味はないでしょう。
それでも前述のようにグスタフソンがいないにも関わらずビルドアップに難渋した感じを受けなかったことに加え、福岡がビルドアップを放棄するスタイルなのも手伝って浦和の前ハメが珍しく機能している印象を受けました。この両面にはGKが牲川に代わった効果があるのかもしれません。
なお試合後スコルジャは「いい形での背後への供給がありませんでした」と嘆いていましたが、さすがにグスタフソン抜きのこの面子でそれをやるのはいくらなんでも無理じゃないかなぁ・・・渡邊や小泉が駆けずり回ってなんとかチームを支えていましたが共に後方から相手の急所を突くような球出しが出来るタイプではありません。強いて言えば武田が出来そうですが・・・
《選手評等》
・選手選考会というかトライアウトと化した感のあった試合でしたが、正直がっかりさせられた選手がゾロゾロ。
・特に衝撃的だったのは最終節ホーム新潟戦を最後に引退する興梠のボールキープ能力が全く錆びついておらず、CFとしてはサンタナより遥かにマシと思われたこと。ただ今の興梠の辛さはもともと短時間で結果を出すスーパーサブタイプではないし、かといって頭から使うともはや前半すら持たないかもしれない点。だから今年限るでの引退は妥当な引き際とは思いますが、代わってスタメンで出ているサンタナのパフォーマンスがどう見ても興梠より下というのは極めて切ないのなんの・・・まぁサンタナにそもそもポストプレーなんて求めるのが無理なのでしょうが、それが出来ないCFをスコルジャは求めてないだろうからなぁ・・・FB本部が連れてきた選手と監督の好みがすれ違う例が多すぎてなぁ、何でか知らんけど。
・前田は開幕時の期待感がすっかり剥落してしまったなぁ。コンディション不良なのかドリブルで全然剥がせない上にミスも多い。右SHの控えで二田が優先されるのも納得。敵としては極めて面倒だったのに、味方になったらたいして頼りにならない選手が多すぎるような気がするんだよなぁ、浦和は(´・ω・`)ショボーン
・前田以上に原口がダメダメでした。ドイツで全然試合に出ていなかったのが祟ってこれまたコンディションが良くないのかもしれませんが、現状は試合に出すどころかベンチ入りさせたらあかんレベルかと。
・関根の右SBも限界。窮余の一策の域を出ない。石原の守備の怪しさを考えればここも補強ポイントでしょう。逆に長沼は良かったと思いました。復調の兆しが感じられた小泉共々この試合の良かった探し。
・そして佐藤・・・井上も似たような「やらかし系CB」ですがやらかしの頻度が違いすぎる・・・ひと試合で何回即死レベルの凡ミスをやらかすんや・・・
・結局のところショルツ・酒井・ソルバッケンと強力な駒がいなくなったポジションがそのまんま補強すべきポイントになってるってどんだけFB本部は夏にサボり倒したんや・・・またCFは誰も取れないのを恐れてサンタナで妥協したらやっぱり物足りなかった始末。でも今のFB本部にはもはや何の期待も出来ないからなぁ・・・
・なおレギュラー格でも怪我でもなく、まして退団が決まっている訳でもないのに、非常にお試し色が強かったこの試合でベンチ入りすら出来なかった選手の去就が気になります。大畑は火曜日にあった公開練習の時点で別メニューだったので無理に帯同させなかったのかもしれませんが、中島がベンチ入り出来なかったのは結構謎。守備は計算できないけれども負けている試合で何かを起こせるかもしれない「パルプンデ」な選手は本間で十分で中島は構想外なのかも。本間は本間でJ1ではプレー強度が物足りないと思いますが・・・
-----サンタナ-----
原口---小泉---前田
---安居--渡邊---
長沼-マリウス--佐藤-関根
-----牲川-----
(交代)
64分 サンタナ→興梠
64分 前田→二田
73分 原口→本間
73分 小泉→武田(渡邊トップ下、武田CH)
-----ウェリントン----
--金森----紺野--
岩崎-前---重見-前嶋
--井上-田代-グローリ--
-----村上-----
(交代)
HT 重見→松岡
56分 ウェリントン→ザヘディ
56分 金森→佐藤
56分 紺野→ベン カリファ
90+3分 前嶋→亀川
※写真は試合とは全く関係ありません。