CWC前の最後の試合。試合後には壮行会的なセレモニーが催されるのが判っていただけに、内容はどうであれ勝って送り出せて本当に良かった。残留争いしているチーム相手にホームで負けてしまったら、壮行会どころじゃなくなってたでしょうし。
《スタメン》
浦和は怒涛の5連戦の最終戦で前節から中3日。横浜Cは週央に試合がなかったのでコンディション面で浦和が相当不利な一戦。
浦和のスタメンは前節から長沼→荻原の一名入れ替えのみ。ベンチ入りも全く新味なし。
横浜Cのスタメンは前節から室井→駒井の一名入れ替えのみ。

《試合展開》
浦和は試合開始時こそサヴィオが左SHにいたものの、すぐさま渡邊とポジションを入れ替えて渡邊左SH、トップ下サヴィオの格好に。前節C大阪戦ではルーカス・フェルナンデス対策という守備的な意図から前半途中でその格好になっていましたが、この試合では「自由に動きすぎるサヴィオ」を有効に使う方法としてこの布陣が攻守ともベターとスコルジャは判断したのかも。
試合後会見でスコルジャは「最も得点している凌磨をサイドに置くのは、変わった判断に見えるかもしれません。しかしこれはもしかしたら、クラブワールドカップで必要になるかもしれない形でもあります。だから凌磨をウイングとして起用しました。」と説明していましたが。この説明だと明らかに守備重視っぽい気も。
浦和の立ち上がりの出来は圧巻。横浜Cを自陣深くに押し込み続けましたが、7分左サイドから渡邊クロス→荻原シュートはミートしきれずに枠外。8分金子クロス→渡邊シュートはブロックされてしまい、17分ボックス内でのグスタフソン→金子シュートはGK正面と相手ゴールに迫りながらも得点ならず。
そして28分好位置で得た渡邊FKが大きく枠を逸れた辺りから渡邊を筆頭に早くも失速傾向の浦和は単に横浜Cが低い位置で構える5-4-1の守備ブロック回りでボールを回すだけに。
とはいえ横浜Cは明らかにビルドアップに難があり、苦し紛れにロングボールを蹴ったところでルキアンも武蔵も全く収められないので攻撃の糸口すら見出し難かったのですが、浦和の失速傾向を見透かしたかのように33分には左サイドから新保クロス→武蔵ヘッドで横浜がこの試合初めて良い形。
そして43分西川のロングボールを跳ね返してのカウンターからルキアンのミドルシュートが決まってずっと劣勢だった横浜がまさかの先制。最後の安居の対応がなんだかなぁなのはともかく、浦和の選手達が中盤でのボール奪回に出たところで半歩ずつ遅れてしまってボールを奪えないどころかファウルで止めることすらできない辺りに疲労の色が見え隠れ。
この場面、試合後スコルジャは「ロングボールを蹴ったときに、ディフェンスラインの押し上げが十分早くなかったことで、スペースを空けてしまったと思います。それによって、セカンドボールを拾われる場面につながってしまいました。」と話していましたが、それもお疲れ故でしょう。
ハーフタイムを経た浦和はやや息を吹き返し、53分安居の縦パスを金子がセンターサークル付近でボールを収めて右サイドを激走する石原へ展開→石原クロスにグスタフソンのシュートはボックス内で滑り込んで押し込んだ格好になりましたが、当たり損ねがかえって幸いしたのかなぜかGK市川がファンブルしてゴール!!
結果は珍妙でしたが、前を松尾&サヴィオが激走して横浜C最終ラインを下げ、遅れてフリーで突っ込んだグスタフソンへ石原がクロスを送るという理想的な形でのゴールでした。それにしてもビハインドの局面で浦和得意のロングカウンターが炸裂するとは。
59分には珍しく横浜Cの前ハメがハマって浦和が自陣深い位置でボールを失い、ルキアンにシュートを撃たれる危ない場面がありましたが、戦況はその後も浦和ペース。
日程が楽な横浜Cが69分に駒井→室井、村田→山根、ルキアン→櫻川の3枚替えを敢行した同じタイミングで、浦和は松尾→長倉、金子→関根と交代。さらに足を攣ったサヴィオに代えて76分にサンタナを投入して2トップ気味にシフト。
横浜Cの交代は何の効果もなかった、いやなんだかんだと一発があるルキアンを下げてむしろ悪手とすら思えたのに対し、浦和の選手交代は珍しく奏功。一般論としては「とにかく収まらない」サンタナを入れるとビルドアップ出来ない懸念が拭えませんが、この試合の横浜Cはサクサク自陣へ引いて守る系だったので浦和のビルドアップは何の支障もなく、問題はただただフィニッシャーだけがいないだけ。そこにサンタナで高さを加えるこの交代は結構効きました。
しかも現金というかなんというか、サンタナのコンディションは前節C大阪戦より格段に上がっていて、79分にはアーク付近から放ったシュートはディフレクトしてわずかに枠の外。そして83分渡邊CKからの流れでサンタナのシュートはポストを直撃したものの、その跳ね返りをグスタフソンが蹴り込んで浦和が逆転に成功。
逆転したところでスコルジャはすかさず渡邊→大久保、荻原→原口と交代。前者の交代はともかく、後者の交代で関根を左SBに下げましたが、当然ながらこれでは守備固めには言い難く、その意図は謎でした。
一方横浜Cは最後に超高性能プレースキッカー福森を投入。ヘロヘロの浦和は何度もCKを与えてしまって気持ちは悪かったものの、さしたる決定機は与えずにそのまま逃げ切り成功。

《総評》
DAZNのスタッツだとシュート数14対9(但し浦和はブロックされたシュートが多かったせいか、公式記録では9対8)、うち枠内9対5、ゴール期待値1.71対0.66という値通りに浦和が終始優勢な試合。ただ浦和の疲労の色が濃くなる立ち上がりの30分までに先制できなかったのが響き、あまつさえ先制点さえ取られてしまったので無駄に試合がややこしくなった感がありましたが、結果は試合内容通りに落ち着きました。
遮二無二前からプレスをかけてくる相手には結構強い一方、引いて守る相手には苦戦しがちなのが今の浦和。松尾CFはスペースがないとサイドに流れてボールを引き出す役くらいしか出来ず、しかもサイドに攻撃の基点を作ったところでクロスのターゲットがいないので攻撃は地上戦頼みに。しかも相手守備ブロックの回りで同じテンポでボールを回すだけ。
スコルジャは試合後「ファイナルサードでもう少しスピードアップすれば、得点は時間の問題だと思えるような展開でした。」と語っていましたが、そのスピードアップがなかなか出来ないのが今の浦和。前半30分まで一方的な試合展開になりながらも得点には至りませんでした。
ずっと優勢だったのに点が取れず。あまつさえ先制されてしまい、しかも時間の経過と共に疲労の色が滲み出てくるって完全に負けパターン。
ただ後半なぜか横浜Cが中途半端に前に出たのが謎。先制後はずっとボールを浦和に押し付けたまま時間の経過を待つとばかり思っていたのですが、この横浜Cの出方は非常に謎で、53分浦和得意のロングカウンターが炸裂して同点に追いつけたのはGK市川の対応も含めて浦和に幸いしました。
その後はスコルジャには珍しく選手交代がハマり、しかも前節C大阪戦で醜態を晒したサンタナのコンディションが目に見えて良くなっているというポジティブサプライズもあり、スコルジャが「前迫コーチのハードワークが実りました」と絶賛する浦和得意のセットプレーで一気に逆転。
途中いろいろあって必ずしもいい試合とは言えませんでしたが、それでもこれといった攻め手がない相手に対して結果は落ち着くべきところへ落ち着きました。
CWC前の最後の試合。試合後には壮行会的なセレモニーが催されるのが判っていただけに、内容はどうであれ勝って送り出せて本当に良かった。残留争いしているチーム相手にホームで負けてしまったら、壮行会どころじゃなくなってたでしょうし。
そして超過密日程、怒涛の5連戦は結局2勝2分1敗といかにもACL圏には遠いトップハーフで終わりそうな感じで終了。ただ降格圏2チームにはちゃんと勝っており、5連勝の頃の勢いはなくなったものの「思ったほど酷くははなかった。今の浦和の実力相応だった」というのが個人的な感想です。他チームより2~3試合消化が多い段階で暫定3位なので、CWC明けでも辛うじてトップハーフにいるでしょし。

《選手評等》
・グスタフソンの埼スタでのゴールは初めてだったのか!!しかもいきなりドッペルパック。この試合では基本ドン引き相手だったのでグスタフソンが前に出て、安居が後ろに控える格好になっていましたが、グスタフソンが敵陣近くで決定的なパスを出す仕事をするだけでなく、点まで取るとは!!
・グスタフソンの1点目をアシストした石原。69分には敵陣深い位置で村田と派手なバトルを演じていましたが、一対一で勝った後に、何か知らんけど毎度毎度わざわざ相手を威嚇する石原って動物的な本能で闘う漢と思いました。同じファイターでも那須とはかなり違う気がします。那須は試合後どころか引退しても脳筋のままですが、石原は試合が終わるとすぐに子煩悩なパパみたいな感じになるのでそのギャップが凄い!!
・大久保のおかげで上手く出場時間を調整できているせいか、レギュラー組ではダントツに切れ味を保っている金子を真っ先に代えて、前半30分くらいからお疲れ臭漂いまくりの渡邊をなかなか代えないのがスコルジャの謎。松本の信頼度がガタ落ちなのかなぁ???
・後半同じような展開でちゃんとアシストがついた石原と、良いタイミングで抜け出しながらも肝心なところで軸足が滑ってワロスになってしまった荻原との残酷なまでの差・・・
・最後に守備固めで色々と残念な荻原に代えて長沼ではなく原口を入れ、関根を左SBに下げたのは謎過ぎました。長沼はG大阪戦や名古屋戦での失態で評価を下げたのかなぁ??? 原口投入はセットプレーの守備で高さを加える意図のように見えましたが。
・仙頭の岩波の頭へのライダーキックをイエロー止まりにした件に象徴されるように、とにかく評価基準が滅茶苦茶な笠原主審。でもこの試合のお裁きは何の問題もなく、「いいだのいいふえ」に匹敵するレベルだったと思いました。良かった時はちゃんと評価しないと審判団も気の毒。
・キャプテン関根の挨拶がめっちゃしっかりしていてびっくり!!「地位が人を作る」典型例みたいな。そして今やどんな戦況でも最も安心して途中投入できる選手としてスコルジャに重宝されることに。
・この試合はご家族揃ってご観戦の遠藤優選手。SNSでせっせとその模様を公開していましたが、アスリートな上にガチすぎる赤者なので、しょーもないタレントよりも埼スタの魅力を伝えるのに適任すぎて頭が下がります、来季も頼むで、ホンマ。

-----松尾-----
渡邊---サヴィオ---金子
---グスタフ--安居---
荻原-マリウス--ボザ-石原
-----西川-----
(得点)
53分 グスタフソン
83分 グスタフソン
(交代)
69分 金子→関根(関根左SH、渡邊トップ下、サヴィオ右SHへ)
69分 松尾→長倉
76分 サヴィオ→サンタナ(サンタナ&長倉の2トップ、渡邊右SHへ)
84分 渡邊→大久保
84分 荻原→原口(原口左SH、関根左SBへ)

-----ルキアン-----
--駒井----武蔵--
新保-山田-ユーリララ--村田
-山﨑--ンドカ--伊藤-
-----市川-----
(得点)
43分 ルキアン
(交代)
69分 駒井→室井
69分 村田→山根
69分 ルキアン→櫻川
84分 武蔵→小川
86分 山﨑→福森