最終スコアとは裏腹に非常に際どい勝利でしたが勝ちは勝ち。格上相手になんとか勝機を見出すスコルジャらしさ全開で、浦和はなんとか自力でJ1残留を決めました。
《スタメン》
前節横浜M戦から10日以上試合間隔が開いている浦和のスタメンは前節出場停止だったマリウスがスタメンに復帰した他、大畑→長沼と2枚入れ替え。ベンチに武田と前田が入って小泉・二田がベンチ外に。
また試合前の記者会見で大久保・大畑・本間3人が別メニューだったのが明るみに出ましたが、3選手ともベンチならず。
一方広島はACL2アウェーシドニー戦から中2日という超遠距離移動を伴う超強行日程。ただシドニー戦ではスタメンをフルターンオーバーしていたので、中2日の連闘は大迫と塩谷のみ。リーグ戦前節京都戦と比べるとパシエンシア→塩谷の1名入れ替えのみ。
《試合展開》
残留争いにどっぷり浸かった浦和と18位磐田との勝ち点差は8。浦和は広島戦に勝てば自力でJ1残留決定、引き分けでも磐田との得失点差を考えればほぼ残留確定という立場。
しかし新スタジアムでの優勝がかかっている広島のほうがお気持ちで勝ったのか、浦和の試合の入りは最悪。試合開始早々マリウスが松本泰にあっさり交わされて決定機を与えたのを皮切りに、広島得意のクロス攻撃を浴びまくって3分にはマリウスのクリアボールを拾った中野の際どいシュートを浴びる始末。
浦和がなんとかボールを奪ってもマンツーマンでハメにくる広島の強烈なプレスを交わしきれず、結局ロングボールを蹴らされてボールを相手に渡すの繰り返し。球際でも負けまくってどちらが中二日か判らないありさまで広島のクロス攻撃を浴び続けただけでなく、おまけにつまらないファウルを犯して好位置でのFKを与えたり、どフリーで枠内にミドルシュートを撃たれたりとなんで無失点で済んでいるのか摩訶不思議としかいいようがない惨状を呈し続けました。
しかし、試合開始から飛ばしに飛ばしてきた広島が早々にガス欠模様になって前プレがハマらなくなり、中盤スカスカの様相を呈しだしたのが仇となって、ここまでボコボコにされていた浦和にも好機が。43分安居→リンセン→渡邊と見事なパス回しで広島のプレス網を剥がしてからの関根のシュートは中野が寄せたのもあってわずかに枠外。
続く45分石原のロングフィードを渡邊が収めたところから始まるロングカウンターで関根のクロスをカットしようとしたCB中野がまさかの空振り(爆笑)。良い体勢でボールをプレゼントされた松尾のシュートが決まって劣勢だった浦和が先制!!
後半になると広島のガス欠が顕著になって浦和が大攻勢。広島の前プレの強度がガタ落ちになっただけでなく、球際でも浦和が優勢に転じ、セカンドボールを浦和が拾う場面が増え始めました。ところが47分松尾クロス→ファーで関根のシュートはGK大迫にぶつけてしまい、49分突如カットインした石原のミドルシュートはバーを直撃。さらに49分松尾クロス→リンセンヘッドは大迫が辛うじてセーブ。大迫の奮戦があったとはいえ、今後は浦和が好機を活かしきれない展開に。
劣勢に陥った広島は52分新井に代えてパシエンシアを投入するも試合の流れを変えることはできず、56分佐々木を巧みに交わした関根のサイドチェンジ→松尾の超高速クロス(本人はシュートだと力説w)をリンセンがヘッドで合わせて浦和に待望の追加点!!
ところが広島も死んではいない。59分全くプレッシャーを受けることなくボールを繋いでアルスラン→加藤の決定機はなぜか枠外。さらに65分スルーパスで浦和最終ライン裏に飛び出した加藤の絶好機はこれまたなぜかシュートが枠外。加藤は59分の決定機逸の際に足が攣ったような素振りを見せており、それが65分の決定機逸の遠因なのかも。ただこの時間帯の浦和の守備のスカスカっぷりはなんだったのか・・・押し込まれないと守れないのか。今の浦和は・・・この試合での最大の反省点だと思いました。
広島は66分東→柏、松本泰→満田と代えて反撃を試みるもやはりシュートが枠に飛ばず。クロス攻撃は浦和DFにボックス内で淡々とはじき返されるばかり。
スコルジャは76分リンセン→サンタナ、関根→前田、さらに80分松尾→原口とお疲れの選手を順次交代。広島は最後の交代で外国人FWを最前線にズラズラ並べる力技に出るも、そこに高精度のクロスが送れず。多少なりとも可能性があったのは82分ソリティウのミドルシュートくらい。
そして86分自陣深い位置でのサンタナボール奪取を契機に浦和のロングカウンターが炸裂。前田のラストパスを受けた原口が待望の浦和復帰初ゴールを決めて事実上勝負あり。
ATにも広島は猛攻を見せるも、CKからのソリティウのシュートがポストを叩いたり、武田がゴールライン上でクリアしたりしてどうしても1点が奪えずに試合終了。
《総評》
スコア上は3-0で浦和の完勝。しかしシュート数12対23。CK数1対13という数値がはっきりと示すように浦和が劣勢の時間帯が長かったのは確か。
スコルジャが「本日の試合の立ち上がりは、あまりよくありませんでした。サンフレッチェ広島が立ち上がりに非常に強いプレスをかけることは分かっていましたし、予測していたものでしたが、それがあまりにも強く、我々がゲームマネジメントをできない状況になっていました。」と述懐するように、広島が圧倒的に優勢だった序盤に先制していれば、スコアは逆だったかもしれません。
また浦和が攻勢に転じた後半も加藤の決定機逸×2に助けられての勝利だったのも否めず、スコアとは裏腹に非常に際どい勝利だったと思います。
ただDAZNのスタッツでは枠内シュートは8対12とシュート数ほど差はなく、この辺がシュート数やCK数からは想像できない最終スコアになってしまった主因なのでしょう。広島はシュートを撃ちまくったが西川を脅かすようなシュートはあんまり撃てなかった。広島の敗因はそれに尽きましょう。
残念ながら今の実力は広島が圧倒的に上。10回やったら半分以上は負けるくらい実力差がありましょう。ただこの試合の広島は日程面でかなり不利。そこでコンディションの差が如実に出る後半勝負に持ち込んで勝機を見出すあたりが「格上相手になんとか勝機を見出すのが得意」なスコルジャらしさ。
もっとも実際の試合展開はスコルジャも認める通り、序盤想定以上に広島にボコボコにされた訳ですが、その圧倒的に劣勢だった時間帯をなんとか凌ぎ切った。そして予想通りに広島がお疲れから緩みだした時間帯に浦和が先制。しかも相手DFの凡ミスに乗じて点を取る辺りはあのACL決勝アルヒラル戦を彷彿させるものがありました。
そして得点は3点ともPKでも理不尽でもなく、終始前がかりなので後方が空きがちになる広島の弱点を突いたカウンターでスコルジャの狙い通りの形。特に2点目は後方からのビルドアップが実ったもので、スコルジャも一際嬉しそう。3点目はサンタナ、前田、原口と途中投入の選手が絡みまくったものですし、ATはこれまた途中投入の武田のスーパークリアもあってサブの選手を含めてチームに一体感が出てきたことにもスコルジャは手ごたえを感じているようです。
リーグ最終盤で最大の強敵と目された広島相手に内容はどうあれ結果は完勝。冒頭に述べた通り広島戦の勝利で浦和は3試合を残してJ1残留決定。監督就任後まさかの4連敗を喫してここまで残留争いにどっぷり浸かる羽目になるとはスコルジャも予想しなかったでしょうが、これで安心して来季へ向けての仕込みに取り掛かることが出来ましょう。
日程がスカスカすぎて主力を休ませる意味合いは全くありませんが(苦笑)、残り三試合は来季の戦力見極めを兼ねてこれまで出場機会の少なかった選手を起用するかもしれませんし、今季限りで興梠への餞の場を設けてくれるかもしれません。言い換えれば残り3試合で出場機会がない選手はオフにいなくなる覚悟が必要でしょうなぁ。
また浦和は一つ勝って残留争いから抜け出しただけでトップハーフでシーズンを終えるのが現実味を帯びてくる(といってもせいぜい9位ですが)って、ボトムハーフはどんだけ団子レースなんや(苦笑)
《選手評等》
・大畑に代わって左SBにスタメン起用された長沼。手薄なSBでの起用を想定しての長沼獲得と思っていたのにSHでしか起用されないのでSBとして何か致命的な問題があるのかな?と邪推していたのですが、ほとんど破綻なし。この出来なら渡邊を無理やり左SBに転用する必要はもうないでしょう。というか、2列目に渡邊がいないと攻撃がなりたたないのですが。
・この週の浦和は奇しくも男女ともホーム広島戦。対広島で連勝はともかく、メンズのほうが点差がつくなんて予想した方はほとんどいないでしょうなぁ。浦和との連戦を掛け持ち観戦する方も結構いたのかレディースの試合は出島が大入りでしたし、メンズもビジター自由席どころかメインアッパーのビジター指定までパンパンに埋まっていましたが、合計勝ち点6をプレゼントしていただき、誠にありがとうございました。
・ただスポーツ報知の話によると広島戦のチケット総発券数は48,726枚だったのに対し、入場者数は42,076人しかおらず、天気が悪かったわけでもないのにノーショーの多さが気になりました。
・小屋主審のファウルの基準は正直よくわからなかったのですが、後半浦和が敵陣左隅でボールを回すのを邪魔しまくったのを見て「この主審は広島の工作員や!!」って確信!!でもリンセンはええ加減Jリーグの笛の基準に慣れないとなぁ。学習能力がないのは浦和にありがちなアレですが・・・
・松尾の先制点の後、広島ベンチがなぜか激怒しているのが現地では不可解でなりませんでしたが、どうも途中で渡邊のハンド疑惑があった模様。ただ轡田さんの解説によると「自分の体にボールが当たった後のアクシデンタルハンドボールは直後に得点が発生した場合を除いて反則になりません。」とのこと。主審はVARと交信していたようでもあり、ノーファウルは妥当なのでしょう。たぶん。
-----リンセン-----
松尾---渡邊---関根
---安居--グスタフ---
長沼-マリウス--井上-石原
-----西川-----
(得点)
45分 松尾
56分 リンセン
86分 原口
(交代)
76分 リンセン→サンタナ
76分 関根→前田
80分 松尾→原口
89分 渡邊→中島
89分 グスタフソン→武田
-----加藤-----
--アルスラン----松本泰-
東--川辺--塩谷-新井
-佐々木-荒木--中野-
-----大迫-----
(交代)
52分 新井→パシエンシア
66分 東→柏
66分 松本泰→満田
80分 塩谷→ソティリウ
80分 川辺→ヴィエイラ