モンテレイはこの試合に勝てばグループステージ突破に大きく前進するのに対し、浦和は残念ながらグループステージ連敗で既に勝ち抜けの目がなくなってしまい、この試合は純然たる消化試合という立場。
しかしスコルジャはなおも勝利に拘って、この試合のスタメンは前2試合から石原に代えて関根を起用しただけ。石原は前節インテル戦の最後の最後で肩を脱臼したような痛がり方をしており、その結果が芳しくなかったのかもしれません。
また試合前の会見でスコルジャは「明日の試合に向けて、数人の新しい選手を起用することを考えています」と語っていましたが、新しい選手の起用はどうやら途中投入の選手に留まった模様。「選手を代えれば代えるほど悪くなる」のが浦和の現状なので、中3日での3連戦でスタメンをほぼ固定したのはやむを得ない選択だと思います。
ただ選手の並びは前2試合と違ってサヴィオが左SH、渡邊トップ下というリーグ戦の通常モードに戻していました。インテル戦が典型ですが、渡邊左SH起用は渡邊が最終ラインまで下がって5バック化することまで念頭に置いた守備重視型。それに対しサヴィオ左SH起用は試合後のスコルジャの弁を借りれば「今日の試合では、よりオープンなサッカーをしたいという狙いがあった中で、モンテレイに対して、より高い位置からプレスをかけようとしました。」ということなのでしょう。
浦和はコロナ(#17)がボックス内でボザをあっさり交わしてクロス→アルバラード(#11)が難しい体勢から放ったヘッドがバーを直撃する大ピンチがありましたが、その後の戦況はほぼ五分五分。
早々に自陣に押し込まれてしまった前2試合とは対照的に浦和がボールを握る場面も結構あり、23分には関根が深い位置から金子とのワンツーで長い距離を運び、関根→渡邊→左サイドからボックス内で松尾突入の決定機を作りましたが、相手DFの戻りが辛うじて間に合ってCKへ。
浦和の試合の入りは上々といって言いくらいでしたが、26分にはサヴィオのバックパスが緩くて相手に攫われそうになり、慌てて飛び出した西川がボックス内で相手と交錯してPKを取られても不思議はない場面がありましたが、ここは主審がVARと交信の上でお咎めなし。
そして30分センターサークル付近から前進したデオッサが放った無回転ミドルシュートが見事に決まっていきなりモンテレイ先制。デオッサについていたサヴィオの寄せが甘いと言われればそれまでですが、4-4の守備ブロックの前からミドルシュートを撃ってくるなんてJリーグではまずありえない形で、浦和の誰もが予期していなかったのでしょう。
さらに間が悪いというかなんというか、失点直後にクーリングプレイクが入り、それが浦和の選手たちの集中を切る方向に作用したのかも。34分には最終ラインと両CHの間の守備が緩いのを突かれ、コロナ→アルバラード→ベルデラメ(#7)といとも簡単に繋がれてしまって、ベルデラメのコントロールショットで2点目を取られてしまいました。
こうなるとモンテレイは気楽なもの。「浦和というか西川はミドルシュートに弱い」と見切ったかのようにシュートコースが空いていればバンバンシュートを撃ってくるようになり、38分にはカウンターから浦和最終ライン前ががら空きになったところで放ったコロナのミドルシュートが決まってしまいました。
スコルジャは後半頭から金子→サンタナ、グスタフソン→松本と代えて一段と前に出ましたが、ボールを持つ時間こそ長くなったもののこれといった決定機は作れず、典型的な「ボールを持たされている状態」に。
さらに68分関根→荻原、70分サヴィオ→大久保、81分安居→二田と五月雨的に代え、試合前会見で言っていた「新しい選手」とは大久保&二田であることを確認。84分にはボザの縦パスがベルデラメにカットされてショートカウンターを食らう絶体絶命の大ピンチがありましたが、ここは西川がビッグセーブ。
90分右サイドから二田クロス→ファーでどフリーのサンタナのゴールが決まったかと思われましたが、サンタナの前=オフサイドポジションにいた松尾の挙動が相手GKに影響している点をOFRで咎められてノーゴールに。
90+7分には大久保のCKからカウンターを食らい、途中色々あったものの要するに浦和の選手達にはもう守備に戻る余力を失っていたのが主因となって4点目を取られて試合終了。
「10回やって1回勝てるかどうか」という相手に守備的に闘ってわずかな勝ち筋を見出したようなインテル戦とは対照的に、この試合は普段通りのスタイルでがっぷり四つを挑みにいったらボコボコにされたという印象を受けました。
「がっぷり四つ」を挑みに行ったのは当然既にグループステージ敗退決定済みという立場ゆえだったのでしょうが、それにしてもスーペルゴラッソという形で彼我の力の差を見せつけられるとは!!しかもそのゴラッソは偶発的ではなく、相手の狙いの一つだったことが試合が進むにつれて判ってしまうのが切ないのなんの。
Jリーグレベルだと浦和のCFやSBの層の薄さが目立ちますが、今大会でのボザの残念さを見るとFCWCで勝ち負けを語れるレベルに到達するには正直何もかも足りなかったと思います。「Jリーグで頭抜けた力を持っている訳ではないチームが世界に挑んだらこうなってしまった」といったところでしょうか。終わってみれば3強1論外という死のグループで、浦和はグループステージ突破どころか1引き分けすら出来ない厳しいグループでした。
ここまで何もかんも足りなかったと思わせるFCWCの結果&内容で、監督だけに責めを負わせるのって無意味を通り越して滑稽すぎましょう。選手の力も、強化部の力も、そして資金面で強化を支える力も全く足りませんでした。
浦和はひとまずコンスタントにJリーグで上位争いに加わるところから始めるべきでしょう。ACLE優勝はその先の話。ACLEノックアウトステージがサウジ集中開催になってACLE優勝のハードルがとてもなく上がってしまいましたが、「それがどうかしましたか?」くらいの圧倒的なチーム力じゃないとFCWCでは話になりません。
でも浦和がまたFCWCに出てきて、しかもGS突破の可能性が現実味を帯びるのって、もう「ワシの目の黒いうちに!!」くらいのタイムスパンかもなぁ・・・ボコボコ選手を抜かれる一方のJリーグクラブはそのステージに立てるのかなぁ???
海外から良い選手を引き抜けるくらいの資金力をつけないとFCWCで闘えるレベルに立てないのですが、国内外の投資家にJリーグは特段魅力的な投資対象と思われていないという浦和だけではどうしようもない問題があってなぁ・・・
浦和だけ頑張ってもどうにもならない問題が山積していて気が遠くなりますが、まずはリーグ戦でコンスタントに上位に入れる力を付けてからまたこの場に帰って来ましょう。それが何年先の話になるかもしれませんが。

-----松尾-----
渡邊---サヴィオ---金子
---グスタフ--安居---
長沼-マリウス--ボザ-関根
-----西川-----
(得点)
30分 デオッサ
34分 ベルテラメ
38分 コロナ
90+7分 ベルテラメ
(交代)
HT 金子→サンタナ(サンタナCF、松尾左SH、サヴィオ右SHへ)
HT グスタフソン→松本(松本トップ下、渡邊CHへ)
68分 関根→荻原(荻原左SB、長沼右SBへ)
70分 サヴィオ→大久保
81分 安居→二田(二田右SH、大久保トップ下へ)、