富士宮の焼きそば
清水でサッカーを見る前に富士宮で焼きそばを食べてきました。
富士宮の焼きそばは、町興しの一環として「富士宮やきそば学会」が中心となってPRを始めたもの。学会は平成12年に設立されたばかりで歴史は極めて浅く、おそらく「餃子の宇都宮」の成功に触発されたものと思われます。
入ってみたのは「やまだ食堂」。浅間神社の裏にある、一見何の変哲もない食堂です。店内はテーブルが3卓とカウンターがあるだけで、平日ですが近隣の人々が三々五々やってきて店内はすぐにほぼ満員になってしまいました。
メニューはいたって豊富で、焼きそば以外にお好み焼きやうどん焼き、はては定食ものまで揃えています。店の片隅の鉄板で焼いたものをすぐに出してくれるのはいいのですが、厨房というか焼き場と客席との間に仕切りがないため店内に油が立ちこめてしまうのが難点といえば難点です。注文したのは「肉入り焼きそば(大)」。こんな田舎でも政府の威令はきっちり届いているようで、値段は税込み表記の809円でした。
富士宮焼きそばの最大の特徴は麺にあります。食べて見ればすぐにわかりますが、麺にコシがあるというか、やや堅めな味わいがします。学会のサイトによれば「小麦粉と水で練って麺を蒸した後、一般的な製法ではもう一度ボイルするが、富士宮の麺は強制的に冷やし、油で表面をコーティングします。そのため、水分が他の麺に比べ少なく、コシのある麺ができ、食感に違いがでます。」とのこと。「やまだ」の麺はやや細め。製麺業者は3社ほどあるようですが、どの業者かは確認できませんでした。
「大」ですが、ボリュームはかなりあり2人前くらいはあったでしょうか。ですが、味付けは割りとあっさり目で油臭くもなく、割と簡単に平らげることができました。火の通りをよくするためでしょうが、キャベツや肉は細かく刻みすぎかと思います。また青海苔や削り節は少々かけすぎかと。若干難点はありますが、お近くに出かけられた際には立ち寄って損はないくらいの出来でしょう。
それはそれとして、焼きそばは悪くないのですが富士宮の町興しのほうは失敗というかすでに手遅れというか、昼食時というのに浅間神社周辺の市街中心部にはシャッターを下ろしたままの店がやたら目立ちまして、「お前はもう死んでいる」状態です。駅前のスーパーはつぶれ、駅裏に巨大なジャスコが建つというのも空洞化の進んだ地方都市の典型的症状。
さらにいえば町興しの材料として「焼きそば」は不適当だったのかもしれません。「焼きそば」は屋台やスタジアムで間に合わせの食事とするか、アウトドアのお楽しみの一環として自分で焼くか、さもなくば中華料理のコースの一部として食うといった位置づけのもので、「さぁ、今日は焼きそばでも食うか!!」と気合を入れるものではないような気がします。フリークの多いラーメンやうどん・そばと違って話題性に乏しいのは、焼きそばが「麺類FC」ではベンチ要員でしかないためだと思うのですがどうでしょうか?
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