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2005.08.07

清水戦補遺

17-08-07shimizu

 鬼門日本平。代表でアレ・坪井・達也を欠き、3外国人もおらず、おまけに永井まで怪我で欠いて非常に苦しい布陣を強いられたレッズ。これではスコアレス・ドローが精一杯。1点ビハインドでもやむなしかと思われたナビスコ準々決勝第1戦だったが、なんとなんと日本平で清水を完封した。恥ずかしながら勝って帰ることはほとんど予想しなかっただけに、この勝ちは殊のほか嬉しかった。

 終始引き気味に構え、無理に中盤でボールを取りに行こうとせず、相手に適度にボールを持たせて最終ラインで跳ね返す。跳ね返したところから反撃。但し、これもそんなに無理な攻撃はしない。かつての超攻撃的な試合運びからすれば天地がひっくり返ったようなゲームプランだったが、現存のメンバーでは極めて現実的なサッカーで勝利をもぎ取りに行くのはやむをえないだろう。昨年来あれだけレッズが苦しめられた守備的な布陣を当のレッズがやる羽目になるとは思わなかったが、攻めに攻めてついにタイトルを取れなかった昨年を思うと致し方ないか。

 ただこの策が引き分けに留まらず、勝利を呼び込むまでに至ったのは清水の愚策に助けられた面も大きいと思う。

 1つ目はチェ・テウクの強行出場。韓国代表でのチェの働きぶりは全くチェックしていなかったが、どうもこの日のために無理やり代表から呼び戻したようだ。チェの出場には驚いたが結果的にはこれが失敗。チェはエコパでの活躍ぶりが嘘のように全く動けず、前半で高木純平と交代。この程度の出来なら無理に呼び戻す必要もなかろうにと思うのだが、このあたりが清水の選手層の薄さなのだろう。なお高木純への交代は非常に的を得たもので、前半右に偏りがちだった清水の攻撃がこの交代で一気にワイドになり、レッズは左右から猛攻を浴びた。後半開始から約15分。この試合レッズが最も危ない時間帯だった。

 2つ目は前半再三長谷部をフリーにしたこと。これは伊東をベンチスタートにしたことと関係があるのだろうと思うが、清水のMF陣は信じられないほど長谷部へのマークが甘かった。前線がカニ&エクスデロという経験の少ない2トップだったので事なきを得たといってもいいほどで、前を向いた長谷部は何度も清水にとって危険なボールを前線へ、サイドへと配給できた。そしてマークを付ききれずにいるところを、ついに長谷部がミドルシュートを突き刺して先制。存外といっても良い先制点を得たレッズはこれを機に一気に守備意識を高めて逃げ切りを図る。攻撃力のない清水にはこの失策が致命傷になった。

 3つ目は後半30分あたりからチョ・ジェジンへの放り込みを続けたこと。ハイボールは闘莉王に悉く跳ね返されてあまり意味がないことはエコパで経験済なのに、これを性懲りもなく繰り返したのはどうしたものか。レッズは5バック気味で守りに徹し、ハイボールは当然ながらまたしても闘莉王に悉く跳ね返され、清水の攻勢は次第にフェードアウト。最後は攻め倦みが昂じて、何度かレッズのカウンターを浴びる始末だった。

 今日の清水は途中までチョへ単純に放り込むのではなく、チョの足元や胸元へパスを出して、そのポストを生かして2列目の選手を飛び出させる攻撃が再三見られたが、これが比較的有効だった。右の山本、さらにその後ろから市川。左は後半投入された高木純。このあたりにレッズは両翼をずいぶん脅かされた。ただ如何せん清水のクロスとシュートは悲しいほど正確性を欠いた。クロスはほとんどレッズDF陣に簡単に跳ね返されるか、反対サイドへ転々と転がるばかり。数少ないシュートチャンスはミートすらままならず、結局枠内シュートは片手もないのではなかろうか。形はできているが点にならない。長谷川監督の苦悩が察せられるが、これを続けられるほうがパワープレーよりよほどレッズには嫌だったと思う。

 こうした清水の愚策に助けられたこともあって、敵地で存外の勝利を掴んだレッズ。あたりまえのことではあるが、これで準決勝進出が決まったわけではない。ホームで清水を撃破するのが当然のことのように思われている今こそ最も足を掬われやすい時期というもの。今年は「勝って当たり前」の雰囲気で試合に臨んで何度となく痛い目に遭っている。次が大事だ。

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 あとは雑感風に。

・初スタメンのカニ&エスクデロ。カニは気迫に満ち溢れていた。エキサイトが行過ぎてか、前半終了時は主審に注意されるほどだった。カニ&エスクデロとも初めてのスタメン起用で両者のコンビネーションがうまく行かなかったのは不憫だが、カニはポストプレーで何度か良い仕事もした。開始早々惜しいシュートも放った。ただ気迫だけでは清水に脅威を与えるところまではいかなかったのは事実。ほぼ90分起用されたエスクデロと比べるとポストプレー然り、前を向いて然り、やや見劣りがしたのも事実。岡野と交代を命じられ、激励の言葉をかける岡野に対し「全然ダメ」といった表情でベンチに引き上げたカニ。その自覚が大切だと思う。さらなる精進を望む。

・エメ&三都主がいないと、敵陣深い位置での時間稼ぎが非常に危なっかしい。相手に当ててCKやスローインを取るのもままならず、みすみすボールを渡してしまう場面もあって、昔のレッズみたいw

・時間稼ぎを兼ねて、動けなくなった酒井に代えて投入された細貝。いいですねぇ・・・ 体の使い方がうまく、これまた疲労で動きの鈍くなった清水から軽々とボールを奪取。レッズがイケイケモードなら得点に絡んでたのではないかと思われる出来でしたが、残念ながらレッズは完全に時間稼ぎモードに突入。でも明日への期待感は高まりまくりです。

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