愛媛探訪(2)
次の目的地は内子。松山と卯之町のちょうど中間辺りにある、これまた山間の小さな街です。
鯛めしを昼飯にと当てにしていた料理屋は貸切の予約が入っていてがっかり。やむを得ず近くにあった「下芳我邸」という店に入りました。本来何の店なのかはよくわかりませんが、肉そば(大:950円)を賞味。蕎麦は細めでオッサンの好みではありませんが、明かりを抑えた店内はオヤジが一献傾けるには良い感じでした。
内子は伝統的家屋が多く残っていることで有名。特に八日市・護国地区の町並みは、国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されるほどです。観光的にはシーズンオフのためか、最大の目玉である「本芳我邸」が工事に入ってしまったのは残念でした。
保存地区の最も奥に建つ「上芳我邸」では広い敷地には木蝋作りに使用された道具・器具類が展示されています。さらに「木蝋資料館」なるものが建てられていて、ここで人形やビデオでビジュアルに木蝋の製造工程を事細かに知ることが出来ます。展示品と説明パネルだけでは正直製造工程を想像することは難しいものですが、これだけ手の込んだものを作ってもらえばバッチリです。これで300円はお値打ち物でしょう。
内子では木蝋から不純物を取り除き、日に晒して白蝋にすることで付加価値をつけて巨利を博していたようです。世界中で昔からいろいろな原料をもとに蝋が作られていましたが、木蝋はハゼの実から作ります。それを精製した白蝋の評価は高く、輸出もされていたそうです。
保存地区の坂を折りきって内子駅へ戻る途中に「商いと暮らしの博物館」。ここはもともと薬屋だったのですが、単に家屋や調度品を展示するだけではなく、要所に人形を置いて薬屋として使用されていた当時の姿を想起しやすくしようとする工夫がなされています。薬屋なんですが、なぜかケチャップも売ってます。
人形は妙にリアルで主人や番頭や奉公人、女中、店の家族や御隠居に至るまで実に生き生きとしています。また近くにくると人形達の語りが聞けるようになっていて、これがまた面白い。この辺の方言なんでしょうか、やや関西弁の影響が感じられるものののんびりとした語り口が伊予の温暖な気候にぴったり。
古い町並みと並んで内子の顔とも言えるもう一つの見所が「内子座」。全国的にも珍しくなった歌舞伎小屋がここ内子に残っています。客席や舞台はもちろん、奈落まで歩いて回れます。
「内子座」は単に昔の建物を保存しているだけではなく、現在でも舞台としての使用に耐え得るように積極的に改修を重ねているところに価値があり、近いところではエアコンも設置したとのこと。また奈落はもともとは狭くて使用に耐えなかったところ、改修の末に今日のような立派なものになったとのこと。
回り舞台が確認できます。
なお全国に点在する芝居小屋の現況はこちらで確認できます。
旅の終わりは旧内子駅。
内子トンネルが開通して内子線が予讃線と一体になり、内子駅が高架化される前の駅舎を確認しに行きました。内子小学校の裏に建つ公共施設周りに不自然に広い空間があったので、たぶんこの辺ではないかとウロウロしていたところ、不審に思ったのか地元の方に声をかけられましたw 聞けばやはりここが旧内子駅とのこと。特にそれを示すものは何も残っていませんが、現役時代に乗れなかった路線だけに少々感慨深いものがありました。
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