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2006.03.30

壮大なる実験:浦和 2-0 F東京

GK:山岸
DF:堀之内、闘莉王、内舘
MF:岡野、鈴木、酒井、相馬、ポンテ
FW:エスクデロ、ワシントン
SUB:加藤、細貝、平川、赤星、中村、黒部、小池

 壮大なる実験としか言い様の無い、想像をはるかに越えたギドの挑戦であった。代表組が抜けるのは当然として、暢久、永井が負傷欠場が決まった時点で苦しい布陣となることは承知していたつもりだが、その両名に代わって今季全くトップ出場経験のないエスクデロと岡野を起用するとは全く予想外だった。そしてその賭けにギドは見事に勝った。

 ホームゲームでの完封勝ち。しかも2点差を付けての勝利。ロスタイムにワシントンが突然脇腹を押さえながら崩れ落ち、そのまま担架で外へ運ばれるというアクシデントがあったため心の底から勝利を喜べないのが残念だが、メンバーの苦しい中で予選リーグを勝ち抜くために必要なミッションは完遂したといってよい。
 
 もちろんゲーム内容は2-0という点差ほどFC東京と差があったわけではなく、単に決定力の差がこの点差となって表れたに過ぎないのかもしれない。しかし、決定力の無さというのはもはやFC東京の伝統的な欠陥であり、そういった側面から見れば実力差通りの順当勝ちなのかもしれない。

 前半はやや浦和ペース。東京の左SB鈴木の守備に難があるのはギドは先刻承知だったようで、浦和は徹底してそこを突き、何度かチャンスを掴んだが決定機には至らず。岡野先発起用は東京の左サイドを沈黙させるという限りにおいては大成功だったが、残念ながら得点を取ることはできなかった。

 逆に満場の期待を背負ってのスタメン起用となった相馬だが、徳永相手に苦戦。得意の攻撃は一度エリア内に切れ込んだ場面があっただけ。守っては前半やや安易なプレーが散見されるなど、攻守共に三都主に取って代わるにはまだまだ時間がかかりそう。左が使えれば浦和の攻撃ももっと楽になったはずなのだが・・・

 浦和はワシントンを1トップに置きながらポンテとセルが機を見て代わる代わる前線に顔を出すような形で東京陣内に迫る。ボランチがポンテやセルに引きずられるせいか、FC東京は最終ラインにぐちゃぐちゃ人がいるような按配になってしまい、浦和の両ボランチやDFの攻撃参加を容易に許してしまう場面が目立つ。

 闘莉王は立ち上がりから攻撃意欲満々。京都戦で分析したとおりFC東京の攻めは遅く、ボールを繋いでいるうちにボールを失ってしまうのがオチなので、闘莉王も安心して攻撃参加できたのか。あるいは攻撃的なタレントを大幅に欠いているので、いつも以上に攻撃意欲を掻き立てられたか。前半は堀之内も意欲的に攻撃参加。岡野と共同しての右サイド攻撃は実に効果的だった。

 DF陣の攻撃参加が目立つ反面、長谷部・小野を欠く中盤の攻撃力・展開力はさすがにいかんともし難かった。啓太はいつもより前へ出る意欲を見せてはいたが、やはり酒井とのコンビとなると共に守備的な位置取りになってしまうようで・・・

 エスクデロは今季初出場ながら水準以上の出来。さすがにポストプレーは荷が重いようだったが、シトンやポンテがキープしたボールを受けて再三エリア内に斬り込んだプレーは目を惹くものがあった。

 前半のFC東京の攻撃は徳永が浦和の左サイドを破った場面が一度あったきりで、あとはほぼ沈黙。その反面厳しい守備で浦和に決定的なチャンスは与えず。今日の穴沢主審はほぼ一貫して激しい当たりや多少手を使ったプレーはファウルを取らず、これがFC東京の激しい守備に幸いした感もある。

 後半に入ると岡野の疲労が目立ち始め、東京の左サイドが活発になり出してから形勢は逆転。自陣でのイージーミスも手伝って浦和は一方的に押し込まれ、10~15分にかけて東京の波状攻撃を浴びた。山岸の好セーブやゴールライン上での守備陣の奮戦でなんとか事なきを得、逆にシトンが落としたボールをセルがきっちりゴールに叩き込んで先制。

 あとはセル→赤星を皮切りに、岡野→平川、相馬→細貝と適宜守備固めともいえる選手交代をしながら逃げ切りと行きたかったところだが、赤星・平川の出来は今一つで大した守備固めになっていなかったところは今日の反省材料。平川の守備力は残念ながら暢久に遠く及ばず、スタメン奪取にはそこが大きな課題。ただ少々サイドを破られてもクロスは闘莉王が全て弾き返してくれるので大過には至らず。

 赤星はセルと比べると運動量が少なすぎ。シトン・ポンテは連戦でコンディションが良くないのは一目瞭然なので、上手さはなくてもいいから、ご両人を助けるべく動いて欲しかったところだ。

 終了間際に阿部が闘莉王を交わして放ったシュートは枠を捉えられず。逆に右サイドで粘った平川がなんとかワシントンに繋いだところから酒井がダメ押しの得点。この辺りがこの日の両チームを象徴したものか。

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