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2006.04.10

【観戦記】福岡 0-1 浦和

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 ロスタイムに闘莉王が決めて勝つには勝ったが、文字通りの辛勝。選手のコンディションは名古屋戦より良くなっているはずなのにさして決定機は作れず、内容は名古屋戦よりもさらに悪いといわざると得ない。

 これまで勝ちのない福岡だが、立ち上がりはそれほど引いてこなかった。ホーム、かつ大観客が入ったこともあってか、予想以上に積極的にゲームを進めてきたと思う。1トップに林を据えた4-5-1というシステムは名古屋に酷似していたが、1トップに当てるか、サイドに高く張ったMFを走らせるという意図ははっきりと伺えた。

 ただ残念なことにハイボールは闘莉王に封じられ、両サイドは坪井・堀之内に押さえられ、中盤でキープしようとしても浦和の強烈なプレスで簡単にボールを失い、前半の攻撃は全く形にならなかったと言っても過言ではない。

 福岡の攻撃がそんな状態だったので、まぁ負けはないだろうと安堵しながらゲームを見ていたのだが、浦和の攻撃も散々たるもの。時間が経つにつれて福岡は押し込まれ、意図したのかどうかはともかく自陣に張り付く結果になってしまったのだが、この布陣の前に浦和は有効な手が打てない。個人能力に差があるため、前半は中盤で一応ボールは回せるものの、狭い局面でのパス回しが目立ち、そうこうしているうちにパスミスが飛び出してボールを失う場面が非常に多かったように思う。サイド攻撃はほぼ左一辺倒。だがサイドでは福岡は数的優位を確保し、簡単には浦和の攻勢を許さない。

 さらに前半35分あたりから福岡がファウルでしか浦和の攻撃を止められなくなり、何度か良い位置でFKを得たが、今日もこれを決められず。

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 後半も立ち上がりこそサイド攻撃で良い形が作れたが、これも次第に尻すぼみに。この後半の出来は見るも無残なもの。福岡は終始ワシントンやポンテに厳しいマークをつけているのに、浦和の攻撃は常にこの両者を経由しようとするせいか、ほとんど形にならない。両サイドは完全に沈黙。再三ファウルを受けて思い通りのプレーができないポンテはイライラし始め、名古屋戦同様ワシントン頼みの単調な攻撃を繰り返し始める。ギドが早めに小野を下げたのは賢明だったが、内舘の投入はさしたる打開策にもならず。

 攻撃がうまく行かないのがチーム全体に焦りを生んでしまったのか、後半15分あたりからは珍しく守備陣にも軽率なプレーが頻発した。ボールカットの後、焦って前線に繋ごうとして再度ボールを奪われるといった場面が目立ったのだが、これは福岡の攻撃力を舐めきっていたことの証か。CKをファーで待っていた選手にどフリーで合わせられた時はもはやこれまでかと思ったが、ここは都築がファインセーブ。何度か福岡に決定機を許し、ドタバタしながらも浦和はなんとか持ちこたえた。

 全くの手詰まり状態の中、ギドはついにワシントン→黒部、ポンテ→岡野と両外国人選手を一挙に代える奇策に打って出た。意図するところは闘莉王を前線に上げてのパワープレーだが、この交代が非常に良かったのは放り込みのターゲットが増えたからではなく、これまで沈黙し続けた右サイドの活性化に成功したからだ。岡野が右を、三都主が左を駆ける。こういう攻撃がもっと早い時間に出来ていれば楽だったのに。結局闘莉王のゴールはサイドの崩しが実を結んだもの。短時間ながら岡野のパフォーマンスは目を見張るものがあった。まさに「頼りになるベテラン」だ。岡野が上げたクロスは驚くべきことに左足。今日の勝利の7割方は岡野の功績といっていいだろう。

 苦しい試合で勝ち点3が拾えたというのは嬉しい限りだが、引いた相手を崩せないという課題はなんら解消されないどころかますます酷くなった感の漂う試合でもあった。これまで同一システム・スタメンでずっと走ってきたが、相手がワシントンとポンテという浦和のキーマンを徹底的に封じるという策を講じ始めてから、今の方策に行き詰まりが出ているのは確かだ。

 暢久が横浜戦で負傷して以来精彩を欠き、右サイドの攻撃がほとんど使えないのが気になる。本来なら格下相手には永井を起用したいところだが腰痛で離脱。平川も本来の調子を取り戻していないようで、ここは我慢の一策か。

 それよりキープ力はあるが運動量の少ないポンテと小野を2列目で併用するのはもう諦めたほうが良さそう。長谷部と小野はポジションを入れ替えたほうがはるかに良いだろうし、場合によっては小野をスタメンから外す苦渋の決断を強いられるかもしれない。ワシントンやポンテがキープしたり、叩いたりしたボールを受けて前へ飛び込む動きが出てこないとまだまだ苦労は続きそうだ。

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