福岡戦前夜(2)
長崎探訪の次なる目標は昨年11月にオープンしたばかりの「長崎歴史文化博物館」巡り。
異国情緒が売り物の長崎にあって、武家屋敷風の建物というのはちょっと違和感がありますが、それもそのはず、この博物館の一部は長崎奉行所立山役所を復元したものなのです。従って博物館の半分は長崎奉行所、もう半分は広く長崎の歴史を対外交流に重点を置いて紹介しています。
長崎奉行所というのは貿易事務を司ったり、キリシタン取締りを担当していたりと、他の奉行所にはないユニークな機能を持っています。いずれも他県の博物館では紹介されないものだけに、それらに関連する資料は結構興味深いものがありました。
また長崎奉行というのは「くんち」の時に赴任して次の「くんち」まで勤めるのが普通のようで、風間杜夫演じる遠山左衛門尉景晋(「遠山の金さん」の父)が長崎奉行所で過ごした1年を映像で紹介するコーナーがありました。これはこれで一興なのですが、3D仕様でメガネを掛けて見るヤツで、そんなところに金を掛けなくてもっちゅー感じも・・・。
長崎奉行所のコーナーを一通り巡った後には、この博物館最大の特徴である「寸劇」を観覧。まぁ有体に言ってしまえば田舎芝居を通り越して日光江戸村等でよくある風のコメディ劇そのものなんですが、こういうのを博物館でやるようになったところに時代の流れを感じました。国や県からの補助金が削減され、博物館が自らの才覚で観客を呼び込まないといけない時代となる中、やりすぎ感は否めませんが博物館の努力の表れとして評価したいと思います。
観客一部参加型の寸劇なので、お年寄りの団体さんは大喜び。役者さんは全員地元のボランティアだそうです。寸劇が一通り終わった後は、ちょんまげかつらを被って御奉行と記念撮影もできます。オッサン的には御奉行ではなく、丸山の花魁のほうが良かったのですが、そういう劇はないようで(´・ω・`)ショボーン
寸劇が行われたゾーンを抜け、歴史文化展示ゾーンへ。
ここでは長崎に関連する歴史をほぼ江戸期に集中して紹介しています。長崎の歴史といえばどうしても対蘭関係にスポットがあたり勝ちですが、これは出島の資料館やシーボルト記念館に配慮してか、ここの博物館では対中関係を対蘭関係と同比重で扱い、併せて貿易業務における長崎会所の役割や江戸期の市街の様子にも重点を置いた形にして多少の差別化を図っていました。また小さなコーナーですが、朝鮮通信史を題材に対韓関係を取り扱っているのも目を惹きました。
最近出来た博物館はどこもそうですが、随所にモニターを置き、陳列物に関すること細かい事項をあれこれと解説してくれます。この辺も観客を惹き付ける工夫の一環でしょう。この博物館では長ーい絵巻物のディーテイルをモニターで解説してくれるところが何ヶ所かあって、これが実に愉快。あちこちに生き生きと描かれている人物の様を見ているだけで気分が楽しくなります。モニターをあれこれ弄くりまわしているといくら時間があっても足りませんね。
さほどスペースが広くはないためか、広く長崎全県の歴史を満遍なく扱うことを避け(例えば倭寇だとか、戦国期の豪族の動静とか、島原の乱とかは省略)、また時代的にもごく一部の時代だけにスポットを当てた形になっていますが、それが奏効して見所の多い博物館に仕上がっていると思いました。
如何せん大きくはないので2回行くかどうかは微妙ですが、歴史好きの方には是非お勧めします。
博物館では立ちづくめで疲れましたが、さらに欲を出して眼鏡橋周辺を散策。
そして皿うどんを賞味。735円也。結構量がありました。本来は複数人で取り分けて食うもんなんでしょうな。多少小腹が空いたとはいえ、トルコライスを食った後に皿うどんを食うのは少々辛かったです(^^; 公会堂近くの「慶華園」にて(参考サイト)。
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