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2006.04.23

【観戦記】清水 2-1 浦和

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 この試合は安易に主審に敗戦の責任を負わせるべきではないでしょう。端的に言って浦和の自滅です。

 先制を許したのは(たとえ家本主審の判定がいかに不可解なものとはいえ)セルフジャッジ&集中力の欠如以外の何者でもありません。

 また立て続けに2点目を取られたのも、不本意な形で先制を許した動揺を突かれたものといってほうがいいのかもしれません。ちょうど昨年のナビスコ準決勝@駒場-立ち上がり早々巻のハンドによる得点が認められ、ゲームが落ち着かないまま千葉に追加点を許したのと似たような展開といって差し支えないでしょう。

 2失点とも堀之内のサイドをやられてしまいましたが、前半の堀之内はやや不安定な出来に終始。ただその堀之内がこの日イエローをもらっていないというのは皮肉なものです。

 もっとも浦和の非ばかりが2失点の原因ではなく、清水の前半の出来は素晴らしいものでした。浦和の隙を抜け目なく突いてきたあたりは、とても若手主体のチームとは思えない老獪さを感じさせましたし、2点目も前半何度か試みたサイド攻撃が実を結んだものでした。兵働の働きはお見事。

 清水の前半が秀逸だったのは攻撃よりもむしろ守備。伊東&枝村の両ボランチを中心に、中盤の出足が完全に浦和を上回っていました。浦和の動きが緩慢なのに助けられた感もありますし、立て続けに得点を上げた後清水は引いてカウンター狙いに徹しやすくなったこともありますが、前半の浦和のシュートはPKの1本を含めてわずかに4本。浦和は手も足も出ません。この日も平川が不発。後半頭に代えられたのはやむなしといったところでしょう。

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 ただ清水が前半飛ばしすぎたのもまた明らかで、後半は急速に失速。浦和は闘莉王をボランチに上げる奇策を講じてハイボール主体の力攻め。闘莉王ボランチ起用という奇策に清水は動揺を隠しきれず、前半は完全に封じられていたワシントンのポストプレーも綺麗に決まるようになりました。清水はこぼれ玉をほとんど拾えなくなり、浦和は2次、3次と波状攻撃を掛け、両サイドを崩しまくって決定機の山を築きましたが、残念ながらこの日はそれを全く決められません。エリア内に侵入した三都主がPKを取ってもらえないどころか逆にシミュレーションと判定されたあたりは、日頃の言動の報いかも。

 苦境に立つ健太が放った勝負手は斉藤投入による闘莉王封じ。CBとしてはひ弱な感が拭えず、とても闘莉王には敵いそうにない斉藤ですが、この日はこの采配がズバリと当たりました。

 逆にギドが放った暢久→岡野、啓太→黒部は共に不発どころか逆に攻撃の阻害要因となる始末。後半長谷部が何度となく清水の左サイドを突き崩していたのですが、岡野投入で却って清水は守りやすくなったようですし、黒部投入に至ってはワシントン&闘莉王との役割分担がはっきりせず、単に電柱の数が増えたようにしか思えませんでした。選手を代えるごとにサイド攻撃が鳴りを潜めていったような・・・

 またこの日気になったのはフィニッシャーとしてのワシントンに頼りすぎで、ポンテや長谷部のシュートが全くないこと。パワープレー主体の攻撃から来る当然の帰結かもしれませんが、ベタ引きになった清水の攻略法としてはやや単調な感も否めませんでした。

 試合終盤には坪井が2枚目のイエローをもらって退場。これは半ば致し方ありませんが、試合終了後ポンテが主審に執拗に抗議してこれまた2枚目のイエローをもらったのは全くいただけません。浦和は今季イエローをもらう数が少なくなり、昨季の反省をしっかり生かしていると思っていたのですが、それは単に下手な審判に当たった試合が少なかったということでしかなかったのかも。

 不利な判定が続いた時の浦和の際立った特徴はキャプテンがほとんど働かないこと。普通のチームは激怒するチームメイトを押さえながらキャプテンが抗議に向かうものだと思いますが、暢久は遠巻きにして見ていますからねぇ・・・ 審判に対する態度でこの日最も成長を感じさせたのは闘莉王でしょうか。

 家本主審は04年神戸戦@ユニバー、05年川崎戦@埼スタと2度も浦和の窮地を救っていただいた大恩人であり、今回はその借りをまとめて返済しただけのこと。非常に悪名高き主審であることは周知の事実で、浦和がそれなりの対応ができなかったのが誠に悔やまれます。

 清水はなかなかに手強く、昨年の川崎戦@埼スタ同様、まともな主審のもとなら好勝負になったであろう一戦でした。浦和はゲームの入り方がこのところあまり良くないのですが、ゲームを通じてみれば極度に悲観すべき内容でもなく、この日の負けを今後の糧としてくれればそれで十分でしょう。

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