再び名古屋戦を振り返る
埼スタで守備的な名古屋の布陣に苦しむ姿ってなんか見覚えあるなと思っていたのだが、なんのことはない、あの大将の「負けないよ」発言が飛び出した2002年のホーム名古屋戦がまさにそれ(参考のために当時の観戦記を掲げて置きますが、長いのでその部分は畳んで置きます)。奇しくもその試合も雨。
当時の浦和はエメ・トゥット・永井の3トップが猛威を振るい、セカンドステージ負けなしで第8節を終えて首位。その浦和に対し、ウェズレイやヴァスティッチを擁し、外国人頼みと揶揄されながらも十分に優勝を争う力のあった名古屋が超守備的な布陣を引いてきたのだ。
名古屋はどん引きで浦和にスペースを与えない。当時の浦和の3トップはFWの個人能力こそ卓越していたが組織力に乏しかった。オフトの「追い越し禁止令」のため中盤のサポートもなく、悪く言えば3人のFWが交互に独力突破を繰り返していたようなものだったため、この名古屋の策は見事に奏効し、浦和はたちまち手詰まりになってしまった。
この試合自体は終盤に大将が泥臭いともいえるゴールを決めたことを契機にVゴール勝ちとなった。そこで興に乗った大将の「負けないよ」発言が飛び出してしまうのだが、その後の浦和の結果は誰もが知る通り。浦和にスペースを与えない策が対戦相手に広まってしまい、浦和は勝てないどころか得点すら上げることが出来なくなり、判で押した様に0-1の敗北を重ねることとなった。
あの名古屋戦は勝ったとはいえ間違いなく02年セカンドステージのターニングポイントだったのだ。
開幕以来無敗で突き進む浦和を超守備的な布陣の名古屋が止めた。そしておそらく中下位で喘ぐチームは埼スタでは当然、ホームですら恥も外聞もかなぐり捨てて同じような闘い方で浦和戦に臨んでくることだろう。
そしてまたしてもこのホーム名古屋戦が一つの転機となってしまうのだろうか。
否。断じて否。
フェルフォーセン監督が指摘するように、確かにこの日の浦和の攻撃は中央に偏るきらいがあった。ただそれは両WBが不調だったり、強風でサイドチェンジがうまく行かなかったためでもあり、浦和が全くサイドを使わないわけではない。事実ガンバ戦やジュビロ戦ではサイドを起点に得点を上げている。
またこの試合で勝ち点2を失ったことで、スタッフ・選手とも却って超守備的な相手に対する対応策を真摯に検討してくれることだろう。02年の浦和は対策を立てようにも実力が伴わず、同じような闘いを繰り返すしかなかった。だが今季の浦和はきっと何らかの打開策を見つけてくれるはずだ。
まだシーズンは序盤。チームの問題点を炙り出すための代償が勝ち点3ではなく、勝ち点2に過ぎなかったというのは実に幸いではないか。
目先の勝ち点欲しさに汲々とする相手を完膚なきまでに葬り去る。まもなく浦和はその恐るべき力を我々に見せてくれることだろう。
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(当時の観戦記)
試練と言うべき試合だった。レッズが更なる高みに立つために乗り越えなければならない試練だった。だが、俺達の浦和レッズはその試練に良く耐え、Vゴールで勝ち点2を積み上げた。相手の策略に嵌り、しかも先制を許した苦しい試合を救ったのは、忘れかけていた男「福田正博」だった。
意外なことに名古屋は終始引き気味でやってきた。降格ラインをさまようチームならともかく、優勝を狙う実力のある名古屋がベタベタに引いて戦ってくるとは。レッズの3トップにマンマークを付け、パナディッチが一人余る。前線にはウェズレイが一人残るだけでイヴォさえ中盤に引いている。まるでJ2チームのような戦い方だが、この布陣にレッズは苦しんだ。
当然ながら前線にはほとんどスペースがない。テクニックのないトゥットは名古屋の守備網に引っかかるばかりで満足なプレーができず。エメルソンはDF大森の徹底したマークに苦しみ、小競り合いを繰り返すばかり。負傷の永井に代わって3トップの一角に入った達也は連携不足のせいかやや孤立気味。ドリブルで散発的に見せ場を作るに留まった。
また今日はエメとトゥットの連携が最悪。トリッキーなプレーが噛み合わないのは仕方ないとしても、簡単なワン・ツーすら決まらないようでは名古屋の堅陣を崩すことは難しい。
名古屋が引き気味なので両サイドも活発に攻撃参加を試みるも、暢久が2本ほど良いクロスを上げたくらいで後は見せ場なし。平川は岡山とのマッチアップに苦戦した感あり。奥谷主審は簡単にファウルを取る傾向があり、前半は山のようにCK・FKを得たが、大したチャンスにならないのは相変わらず。こちらに良いフリーキッカーがいないと、相手DFはエリア付近でもファウルで止めればいいから楽だろう。
名古屋の攻撃はカウンター一本。ウェズレイがキープしている間に後方から選手が飛び出すパターンで前半も2度ばかりひやっとさせられた。やられるとすればこのパターンしかないな、とまったりと構えていたところ、意外にも先制弾を浴びたのはウェズレイの個人技。坪井が交わされては致し方ない。
ボールは支配すれどもゴールの臭いがさっぱり漂ってこないまま後半も残り10分。ゴールライン際まで切り込んだ達也の折り返し、トゥットが絡んでこぼれたところを福田が蹴りこむ。いつもならこんな前の位置にいないはずの福田。得点を期待されず、中盤でのバランサーに徹していた福田が苦しい試合を救った。清水戦の俊也に続き、意外な男がレッズをがけっぷちから引き上げた。
延長になってしまえば、試合はレッズのもの。延長開始早々に左からのトゥットの低いクロスをエメが難なく蹴りこんでVゴール!!名古屋の今までの堅守は何だったんだぁ???とクビを傾げたくなるほどのあっけないゴールだった。
これからも守備的な相手に苦しむ時があるだろう。しかも次節鹿島戦はエメが出場停止。難敵が続くが、レッズは一歩一歩階段を登り続けて行ってほしい。
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