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2006.04.27

【観戦記】ナ杯:福岡1-3浦和

 相手があまりにも不甲斐ない試合の評価は非常に難しいものです。

 どのくらい不甲斐ないかというと、0-3となったハーフタイムにオブリがバックスタンド上段のダンマクを全て撤収してしまったという事実がそれを表しています。

 こちらも出場停止のポンテ・坪井に加え、ワシントン・啓太・三都主というところを欠いていますが、福岡は外国人を全てベンチからも外したのに加え、主力を多数温存。「ベストメンバー規定」をどうやってクリアしているのかは分かりませんが、過去2戦で見覚えのあるメンバーはDFの千代反田・長野・平島、FWの有光、林くらい。怪我人が戻ってきた関係もあるでしょうが、中盤のメンバーはずいぶん変わっていました。

 通常組まないメンバーでやっているせいだと思いますが、福岡はイージーミスが続出。攻守とも組織的な意図が感じられず、さらに悪いことに運動量も極めて緩慢で浦和にパスを回され放題。福岡とは4月に3回も闘いましたが、回を重ねるごとに福岡のゲーム内容は悪くなるばかり。リーグ戦はガチで闘ったけれども、ナビスコは捨てゲームと割り切っているのだろうと思いますが、この内容では平日の雨のナイトゲームに詰め掛けた福岡サポが浮かばれません。

 浦和は永井の1トップ。2列目に暢久&長谷部。小野はボランチの位置で配球に専念した感じ。両サイドをえぐり、2列目が積極的にエリア内へ飛び出し、たまには小野や酒井がミドルを撃ってみる等、ここ数試合にない多彩な攻めが展開できました。前半だけでシュート13本と一方的な展開。ただその割には決定的といえるチャンスは少なく、よく3点も入ったなという感は拭えません。まぁ清水戦@エコパのように撃てども撃てども入らないという日もあり、これまたもサッカーなんですが。

 先制点となった小野のCKは誰かに当たってネットを揺らしたように見えましたが、遠くてよくわからず(ゴール裏は全く分からなかったようで、得点者が放送されるまでしばし沈黙w)。今日の勝敗は事実上これで決定。

 2点目はサイドを駆け抜けた相馬のクロスを永井が中央で受け、DFを交わしてシュートを放ったもの。機能したとは言いがたい永井の1トップですが、点を取った以上あまり悪くはいえませんな。3点目は右サイドの暢久・平川のコンビが機能。平川のパスをエリア内で暢久が溜め、ボールを受けた平川のミドルシュートがゴールに突き刺さったもの。相変わらず平川はダメ押し点が得意です。

 後半頭から堀之内を細貝に交代。大差がついたのと堀之内が前半に一枚イエローを貰った関係でしょう。大虐殺劇が演じられるかと思ってワクテカしていたのですが、後半の浦和はすっかりスローダウン。ゲームは決まったことですし、GWの3連戦が待っているのでこんなところで消耗するのは嫌だ!という気持ち(あるいは魅惑の中洲が脳裏にちらついたか・・・)がありありと伝わってくるような省エネ&安全運転サッカーを展開。中盤で良い形でボールを奪っても前に出てゆく人数も少なければ出足も鈍く、帰陣の早い福岡守備陣を全く崩せず。後半30分までのシュート数わずかに1本というデータがその内容を雄弁に物語っています。

 福岡のほうは監督から何か言われたのか、あるいはオブリの抗議が効いたのかはわかりませんが、前半よりは動きが積極的になりました。相変わらず組織性は感じられないのですが、なんとかして1点は返そうという明確な意図だけは伝わってくるようになりました。よって決定機はほとんどないものの、後半はやや福岡が主導権を取り戻す形に。

 浦和の省エネサッカーも別に悪くはないのですが、それは相手を完封できればこその話。この日の試合運びは消極的過ぎて、とうとう右サイドを古賀に破られ、中央の有光にヘッドで合わされてしまいます。先の駒場での福岡戦といい、清水戦@エコパといい、右サイドからの失点が目立ち始めた浦和(悪いことに全部平川が右WBに入った時ですね。)。1-3の楽勝とはいえ、たぶん浦和の選手たちは反省会を開いていることでしょう。

 後半25分あたりからレギュラーの暢久、長谷部を赤星、黒部に相次いで交代。前半に3点取ってあるがゆえの余裕の交代ですが、残念ながら効果は今一つ。赤星はループシュートを2つ放ちましたが、いずれも枠を大きく外れ、ちょっと焦りすぎかなという印象。小技で唸らせる場面もあり、実戦を重ねれば面白くなるとは思うのですが。

 黒部は永井に代わって1トップに入りましたが、これまたシュート1本撃っただけ。黒部は途中で投入していきなり活躍できるタイプではなく、頭から使っているうちに段々と馴染んでくるタイプではないかと思うのですが、残念ながらこの日も結果は出ず。ギドの信頼を勝ち取るには至っていないようで、怪我明けの永井にいきなりポジションを奪われてしまいましたが、そもそも使い方が良くないような・・・ しかも悪いことに黒部が投入された時は2列目に永井・・・

 で、その1トップで起用された永井ですが、ワシントンや黒部と違って、中央でポストになることはハナから期待されていないようで、後方から直接永井にボールが入ることは殆どありません。現有のFW陣の中ではスピードだけは圧倒なので、サイドからDFラインの裏へボールを出して永井に決めさせるのが狙いだったのかもしれません-2点目はその狙いか-が、そんな形はあんまりなかったような・・・ そもそもトラップが上手くなく、従って最前線でのキープ力には難のある永井ほど1トップに不向きなFWはないと思いますが・・・ ただ永井が動き回ることでできるスペースを2列目が突くことができたというのは新たな発見かも。

 まぁあんまり機能したとは言いがたい永井の1トップですが、今日は90分リハビリに費やし、しかも存外の1得点を上げたということでチーム的にはまずまずなんでしょう。

 同じくリハビリ組の伸二は後方で終始ラクチンモード。ほとんど守りに入る必要のないボランチほど楽なポジションはないでしょう。残念なことにポンテが次節大宮戦も出場停止になってしまいましたが、ポンテ同様運動量の少ない伸二がポンテの代わりに2列目に入るべきかどうか、判断に迷うところ。

 この日最も残念だったのは相馬のイエロー。ダイブ臭いプレーを2度繰り返したことでイエローを貰ってしまいました。悪意はないのかもしれませんが、安易に転びすぎ。上川主審の判定は妥当と言わざるをえないでしょう。大会2枚目のイエローで次のナビスコ予選は出場停止。ただでさえ出場機会が限定的なのにもったいないことです。

 楽勝には違いありませんし、リーグ戦レギュラー組を休ませることも出来てなんらケチのつけどころのない試合だとは思いますが、冒頭申し上げたように相手が相手だったので諸手を上げて喜ぶような気分にはなれないのもまた確か。土曜の大宮戦で浦和の強さを再認識させてもらいたいものです。

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