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2006.06.19

【感想】日本 0-0 クロアチア

 試合終了後、「勝てた試合だった」とのコメントを残す選手もいましたが、それには強い違和感がありました。確かに柳沢の「痛恨の股抜きシュート」を筆頭に何度か決定機はありました。日本が手も足も出ないほどクロアチアは強くなく、「勝てた」と評するのも完全に間違っているわけではありません。

 しかし、日本以上にクロアチアにも決定機があり、どちらがより得点の臭いが強いチャンスを数多く作り出せたかという意味においてはクロアチアに分があります。総じていえば「負けなくてよかった試合」と評するのがより妥当だと思います。

 試合終了後引分けでもニコニコ顔だった客席の女性がネット等で叩かれていますが、日本の実力がアンゴラやトリニダード・トバコと大差がないことを弁え、国外開催のW杯で歴史的な勝ち点1、しかも欧州の中堅国クロアチアから勝ち点を奪えたことを素直に讃える超現実主義者なのかもしれませんね。

 クロアチアは日本の4バックの左半分、すなわち三都主・宮本が守る領域が脆弱なのを了知して右WBのスルナを中心に再三攻勢を仕掛けてきました。その作戦は図にあたってPKを獲得した他何度も決定機を得ますが、それを悉く決められず。

 また日本に高さがないという弱点も執拗に突いて、敵陣深いところでのスローインはおしなべてロングスロー。また山のようにCKの機会も得、どフリーでヘッディングシュートという場面もありましたが、これもやはり決められず。

 一方日本もクロアチアDFにスピードがないのを見て取って、加地やアレックスがそれぞれ2度ほど縦に抜け出て鋭いクロスを上げましたが、なかなかシュートには至らず。終盤左サイドを突破したアレックスのクロスに誰も足を伸ばさなかったあたりが日本攻撃陣の限界を見る思い。

 加地が高原とのワンツーで中央に切れ込み、左でフリーになっていた柳沢にパスが出たのがこの日最大のチャンスだったのですが、柳沢のダイレクトシュートはGKの股を抜いて枠を反れるという椿事に。

 今日のジーコの選手交代はいつになく積極的。ハーフタイムに福西に代えて稲本を投入。稲本の突進力を利用して攻めに転じるには時間が早いように思ったのですが、試合終了後の監督会見では「福西のニコへのマークが甘かったので、変えなくてはならなかった。」とのこと。それなら多少合点が行きます。

 誤算だったのは柳沢に代えて投入した玉田の不振。相手が疲れてきたところでスピードのある玉田を投入するのは間違っていないのですが、玉田は監督の期待を裏切る低パフォーマンスに終始。後半16分からの投入なのに最後のバテようはスタメンと変わりなく、途中主審と衝突する不運もあって結局シュートゼロに。左サイドに抜け出たビッグチャンスで放ったのはシュートだったのか、クロスだったのか。

 謎だったのは大黒の投入。高原の出来も良いとは言えないのですが、中盤、特に中村が後半ほとんど動けなくなって良い形で前線にボールを配球できないのが後半苦戦の主因であるにも関わらず、それを放置したのはいただけません。高熱を出して休んでいた選手を猛暑の中90分引っ張ってしまうこと自体異常なんですが。

 結局双方それなりに相手を研究してチャンスを掴むものの「決定力不足の展示会」と化し、しかも後半30分あたりからは暑さにまいって「ミスパスの披露会」とも化してしまって、W杯としてははなはだレベルの低い試合となってしまいました。計算上は両チームともまだ決勝トーナメント出場のチャンスはありますが、この試合内容で決勝トーナメントに残るとはコートジボアールあたりに申し訳が立ちません。共に合掌。

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