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2006.06.08

対策と無策:川崎 2-1 浦和

 代表組をごっそり欠いていたとか、ナビスコのレギュレーションがどーのとか、審判がどーのとか、みっともない言い訳は止めてくれ!!!

 どこをどう見ても浦和の完敗じゃないですか。

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 結果として「アウェーゴール」ルールが適用される初のケースとして浦和のナビスコ杯準々決勝敗退が決まったわけですが、2戦を通じてのゲーム内容からみれば川崎の勝ち抜けは妥当といって差し支えないでしょう。敗因は明快で、川崎が曲がりなりにもワシントン対策を立ててきたのに対し、浦和は川崎の誇る前線の3人(ジュニーニョ、マルクス、我那覇)に対してさしたる策もないまま試合に臨んだためと言い切ってもいいかと思います。

 川崎はワシントンに対しベタベタにマークをつけて来ました。ワシントンにボールが渡ると3人くらいが囲みに来るような按配です。

 浦和は前半川崎の攻勢に気圧されてほとんど攻撃の形が作れず(PK含め、シュートはわずか3本・・・)、後半こそサイド主体に攻め立てましたが、フィニッシャーたるワシントンはベタベタにマークされてボールを出すに出せず。当然ながらワシントンは後半シュートゼロ。

 後半1点リードした川崎はベタ引き布陣&カウンター狙い。中盤でもたいしたプレスをかけてこないので、サイドへ展開するところまでは容易なのですが、フィニッシャーを押さえられて浦和は手も足も出ません。

 こうなると当たり前ながら2列目、3列目のフォローが大切なのですが、この試合はこれが全然だめ。後半の立ち上がりこそ永井や長谷部がエリア内に入ってシュートを放つ場面がありましたが、後は右からのパスを受けた暢久がバー直撃のシュートを放ったくらいで見せ場すら作れず。

 結果的に攻撃面では負傷でポンテを欠いたのが大きく響きました。ポンテがいれば、川崎もワシントンばかりにマークを集中させるわけにもいかなかったと思います。またポンテがいないことで玉の落ち着かせどころがなく、終始バタバタしてしまった感もありました。

 逆にいえば暢久・永井の2列目は川崎から見れば捨て置いても差し支えない程度の存在だったのでしょう。事実そうでしたし。

 ここ数試合の永井は2列目やや後方でパス出し役に回り、サイド攻撃の組み立てに一役買って「新境地開拓か?」と思わせるものがありました。しかし、この試合のようにワシントンが徹底的に押さえられている時に永井が後方でぷらぷらしていてはいかんでしょう。暢久は後半やや自分で点を取りに行こうという気構えを見せましたが、永井にはそれがあまり見受けられなかったのが非常に残念でした。途中セルに交代を命じられたのはやむを得ないと思います。

 しかし、交代出場のセルもこの状況を打開するにはまだまだ力不足。川崎のDF陣に潰されつづけ、簡単にボールを失う場面が目に付きました。RPによればどうも具体的な指示がなかったようで、それじゃ経験のないセルが不発に終わったのはセルだけを責めるわけには行きません。

 また平川に代えて投入された岡野は完全に不発だったどころか、簡単にボールを失ってカウンターのピンチを招いてすらいました。平川は前半こそマルコンに良いようにやられていましたが、後半持ち味を発揮していただけにあえて代える必要は無かったかもしれません。これは全くの結果論ですが。

 結局これらの交代は何の効果もなく、後半30分以降のシュートはわずか1本のみ。最後は黒部を投入してパワープレーに一縷の望みを託しましたが、川崎DFは高さはあるので、その攻撃は気休めみたいなもの。

 「攻守の切り替えの遅さ・単調な攻撃の繰り返し・ワシントンへのフォローの少なさ」と浦和の悪癖がこれだけ勢ぞろいしたのは、雨の瓦斯戦@味スタ以来でしょうか。得点が幸運なPK1点のみに留まったのも当然かと。

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 攻撃の不甲斐なさを先に論いましたが、むしろ2試合で5失点を食らった守備陣というか、川崎の攻撃に対する無為無策ぶりのほうがナビスコ杯敗退の主因というべきでしょう。

 立ち上がりから左WBのマルコンが盛んに浦和の右サイドに仕掛けてきます。平川の守備力ではやはりやや心もとなく、1対1で苦戦した挙句に自陣深いところまで侵入され、ゴールライン際から送られた低いクロスを我那覇に決められます。この日流れの中から取られた得点はこれだけでしたが、ゲーム開始早々中央でやや下がったジュニーニョにDFが釣られたあげく、浦和サイド(というより本来内舘の位置)で川崎の選手(マルクス?我那覇?)をどフリーにするという場面もありました。

 川崎の前3人は流動的なポジションを取りながら中央突破を図り、それが封じられた場合はフォローに来たWBやボランチの選手を使ってサイド攻撃を試みる(サイド攻撃はほとんど川崎の左サイドに偏るきらいはありますが・・・)といった、中から外、外から中というバランスが取れた、しかも分厚い攻撃を仕掛けてきます。また攻守の切り替えの早さはエメルソン在籍時の浦和を髣髴させるものがあります。

 これだけの攻撃力を持ったチームを無失点で押さえるというのは難しいと思いますし、特に坪井不在のDF陣はスピードに難があったというのも確かでしょうが、それにしても川崎の前3人に対して自然体で臨むというのはあまりにも無策でした。怪我をおして出場している闘莉王の不出来や、川崎のFW陣と対峙したときの堀之内や内舘の能力不足に原因を求めてしまうのは少々短絡的に過ぎるのではないでしょうか。

 立ち上がりの浦和の消極的な動きっぷりは「引き分けで可」という心理の表れかと思いますが、自然体で臨めばよくても殴り合いにしかならないというのは駒場の一戦でわかったはず。重要な試合を落としたことを代償に、中断明け後の等々力での再戦で川崎対策らしきものが出来上がっていることを切に望みます。

 また結果的に決勝点となった川崎の2点目-スローインを谷口がヘッドで反らして中央でどフリーのジュニーニョが決める-は集中力の欠如といわれても仕方ないものですが、その予兆は前半にもありました。川崎のCK時にショートコーナーをやろうとして川崎の選手がキッカーへ近づいていた時に、誰もそのマークに行かなかったのでニアで壁になっていたワシントンが慌ててマークに行って、結果として事なきを得るという場面。当然ながらその後ワシントンは激怒。

 どうしてここ一番で集中力が切れてしまうのか。またそれ以上に、どうして勝ちたいという気持ちで相手に負けてしまうのか。

 敗戦後の選手の弁にも集中力の欠如、気迫負けを認めるものが散見されますが、「もうナビスコ杯ごときではモチベーションにならない」と思い上がっているのではないのかと、訝しさすら覚える残念な試合でした。戦術的敗北はいくらでも立て直しが効くと思いますが、メンタル面で負けているというのは浦和にあってはならないことでしょうに・・・

 早々とナビスコが終了し、今季最大の目標であるリーグ制覇に集中できることを奇禍として精進していただきたいものです。

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