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2006.07.23

【観戦記】川崎 0-2 浦和

 完勝。しかも暢久退場で数的不利に陥りながらの完勝でした。

 前節無様な敗戦を喫したばかり。ナビスコ杯で苦杯を舐めた川崎にワシントンを欠く浦和は引分けで御の字と思って等々力へ向ったのですが思いもよらぬ結果に。この二日間の鬱々が一気に吹き飛びました。

 「聞いて極楽 見て地獄」

 「アウェーで良い試合をしたと聞いてホームの試合を見に行ったらとんでもない惨敗だった」というのはかつての浦和ではよくあった話。チーム状態の不安定さにかけては右に出るものがなかった(←自慢してどうする!!!)のですが、今節に関して言えばその不安定さが良い方に転んだといっていいのかもしれません。

 新潟戦との差異は一目瞭然。中盤が機能すれば浦和は強い。それだけです。

 長谷部が戻ってボランチに入り、伸二は永井に代わって2列目に。長谷部は啓太と良い連携を保ちながらボールを追い、伸二はやはり運動量が多いとは言いがたいのですが彼なりに動く。これで中盤の守備は一気に改善。川崎の強力FW陣へのボール供給を寸断できたのが今日の勝因の一つでした。

 さらにナビスコ杯と違ってDFに坪井がいるのが効きました。ナビスコ杯ではスピードのある川崎FW陣が浦和守備網をズタズタに切り裂いたわけですが、坪井がいるとジュニーニョも我那覇も何もできません。我那覇はシュートゼロ。ジュニーニョも3本のシュートはすべて枠外。坪井一人で3人くらい防いでいる感すらありました。

 加えて闘莉王。川崎が苦し紛れに放り込んでくるハイクロスは全部闘莉王がカット。まさに鉄壁。数的不利に陥って闘莉王の攻撃参加ができなくなったのが却って守備強化に奏効したのかもしれません。

 7月としては割りと涼し目だったことも幸いして、暢久退場後も運動量はほとんど落ちず、結局のところ川崎に与えたチャンスは松下のポスト直撃シュートと中村のミドルシュートだけでしょうか。この日は守備に見所が多かったように思いました。

 立ち上がりはまさに一進一退。守備こそ見違えるように改善されたものの、攻守の切り替えの遅さは相変わらず。1トップだと中盤でボールを奪っても攻め手の数が少なく、WBやボランチが上がってきて浦和が攻勢をかける頃には川崎の守備網はすっかり出来上がってしまいます。

 試合開始前の練習でやっていたように、サイドから低くて速いボールを入れようとする意図も窺えましたがこれも不発。ギリギリの勝負になりそうだなと思っていたところで、一気に局面を打開してくれたのは達也でした。攻撃参加してきた闘莉王のパスを受けて前を向いた達也が3人のDFを前に置きながらシュート! やや遠目からのシュートでしたが、米山の詰めが甘くてシュートコースが空いたところに思い切りよく放ったのがものの見事に決まりました。寺田が負傷して米山がDFに入っているわけですが、「(相対的にいえば)空中戦には強いが地上戦には弱い」川崎DF陣の特性は大して変わっていないようです。

 先制してしまえばゲームは浦和のもの。暢久退場で浦和は堅守&カウンターに徹するしかなくなりましたが、その狙い通りに終盤に永井が追加点。川崎は接触転倒した選手に気を取られて足が止まったように見受けられましたが、その隙に浦和は3対2でカウンター。達也に代わって投入された永井はGKにぶつけることなくきっちり決めてくれました。

 その前にも平川が2度ばかり決定機を作っているので2-0のスコアは試合内容通りといっていいでしょう。マルコンの守備が下手なのはナビスコ杯で実証済み。平川vsマルコンの対決はいつも攻め合いの様相を呈しますが、平川がタックルに来たマルコンを交わして縦に抜ける場面もあり、今日はやや平川優勢だったでしょうか。

 この試合はベンチワークも完璧。守備固めといっていい長谷部→内舘の交代(その直後内舘が左サイドを駆け上がって相手を交わしに行くのには参りましたが・・・)。平川がマルコンを交わしにいって3度ばかり立て続けに失敗し、最後は足が攣ってしまった時点ですかさず相馬を投入(内舘が右SBへ入り、相馬がボランチ)。最後は疲労困憊の達也に代えて永井。全く問題ありません。

 守らないといけない局面で相馬と三都主を併用するとは今季初には考えられなかった布陣ですが、相馬はいつの間にかギドの評価を著しく上げているようです(逆に言えば酒井の立場が辛くなった・・・)。

 川崎は前半中盤を制圧され、暢久退場後はスペースを消されて全くいいところなし。運動量で浦和を凌駕したとも言いがたく、早めの選手交代もさしたる効果がなく、手詰まり感が漂うまま試合終了。正直なんでこのチームが首位にいるのか不可思議に思えて仕方ありませんでした。マギヌンがフィットしていないのも大きいのでしょうが、この内容なら今季のチーム目標通りベスト4入りが精一杯のところでしょう。

P.S.

 浦和とは極めて相性が悪いことで知られる柏原主審。浦和嫌いは相変わらずでした。暢久への2枚目のイエローは肘が入っているようにも見えるので致し方ないとしても、達也へのファウルをほとんど取らないのには参りました。

 今日は川崎に勝ったことよりも柏原に勝ったような気さえしました。

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