【観戦記】浦和 1-0 大分
引分けどころか敗色すら漂う厳しいゲームをよく拾いました。やはり60分近く10人で闘った川崎戦で選手は消耗していたのでしょう。危うく昨年の二の舞になるところをよく勝ちました。長いリーグ戦ではこういう試合で勝ち点3を取るのが重要。そう考えて慰めにするしかありませんね。
試合内容は悲惨だった新潟戦と大差ないといって差し支えありません。90分を通じてゲームはほぼ大分ペース。但し残念ながら新潟と違って大分にはゲームを決めるべき選手がいませんでした。大分にマグノアウベスが健在だったら間違いなく負けていたことでしょう。
逆に浦和は良い流れを掴めないまま90分を終える可能性も高かったのですが、一瞬の隙をついてゲームを決める選手=田中達也がいたのが幸いしました。そして見事なスルーパスでアシストしたのはなんと内舘。意外といってはウッチーに失礼ですが、控え選手の差も多少勝敗に影響したかもしれません。
浦和の立ち上がりは悪くはなく、達也・小野・平川がパス交換で右サイドから攻撃する意図が窺われました。しかしこれが15分くらいでフェードアウトするともういけません。攻撃は徹頭徹尾達也頼み。
達也が下がってきてボールを中盤に叩く → 中盤の選手がDFラインの裏に達也を走らせる → 達也ボールを受けるもフォローがなく、角度のないところから仕方なくシュート!
前半はこれの繰り返し。最初から最後まで全部達也。これじゃ達也は億単位でサラリーを貰わないと割に合いません。とにかく達也へのフォローがなかった。伸二はまだ多少その意識があるのですが、永井は攻守にわたって90分間ほとんど機能せず。その永井と中断開け後あまりコンディションが良くないように見える三都主が前半チームの足を引っ張っていたように思いました。
セットプレー崩れか何かでたまたま前線に残っていた闘莉王にボールが渡り、その闘莉王が達也にボールを流すのが一番得点の臭いがするっていうのが、今の浦和に何が足りないのかを如実に示しているような気がします。
足元から足元へチンタラボールを繋ぐだけで浦和の攻撃もなかなか様になりませんが、大分も前半やや自重気味。ボールを奪って素早く前線に送ってサイドに開いた選手を走らせる意図は見えましたが、チャンスは根本や高橋に裏へ抜け出されたのがあったくらい。
事前情報では運動量豊富との話でしたが、高松が前から積極的にディフェンスしてくるのが目立つ程度で、それほど激しくプレスを掛けてくる訳でもなく、大分の前半はバランスを保って0-0で凌ぐことを目標にしていたように思いました。そしてその目標が完遂されたんですから浦和のほうが手数は多いとしても大分ペースといって差し支えないと思います。
浦和は後半頭から三都主に代えて相馬を投入。攻撃に冴えがないだけではなく、再三三都主の裏を狙われていたので妥当な交代でしょう。っていうか、このくそ暑い中の連戦で3戦とも三都主先発というほうが疑問ですが、ギドにしては早めの見切りでした。
ただこの交代は残念ながらさほど効果がありませんでした。浦和の運動量は後半に入って激減。もともと遅い攻守の切り替えはさらに遅くなり、達也の孤立は深まるばかり。
「いつ見ても波乱万丈」というのは浦和の歴史そのものですが、運動量が少なくて「いつ見ても数的不利」というのはいったいどういうことなのでしょうか?
永井は本来そんなに動かないわけではないのですが、この日はホント試合開始当初から体重そう。伸二のほうがまだ格段マシと思えるほどでしたが、ギドは永井&伸二の「不動の2シャドー」をそのまま放置するほど愚かではなく、内舘を投入して長谷部を前に上げます。下げたのが相対的にマシと思われた伸二だったのは意外でしたが、川崎戦で90分出ていることを考慮したものでしょうか?
試合を決めるスルーパスを出したのが前に出た長谷部ではなく内舘だったというのは驚愕すべき事態でしたが、結果的にこの采配が奏効。あとはへろへろになった達也を下げて酒井を投入し、不恰好ながらもなんとか逃げ切り。永井は1トップになってから最後の気力を振り絞って動きがよくなった気もしましたが、カウンターからビッグチャンスで失速・・・今日は最後まで永井の日ではありませんでした。
一方後半勝負をかけてきた大分は運動量を上げて中盤でボールを拾い捲って前半からの狙いである浦和のWBの裏狙いを徹底してやってきました。シャムスカの特徴は相手の嫌がることを徹底してやるところにあるのでしょうか。
浦和は平川が完全に疲労してしまい、後半投入された相馬もやはり守備がそれほど得意でないこともあって、梅崎・松橋・高橋といったところを十分に捕まえられません。そのため最終ラインでかろうじて跳ね返す場面が長く続きましたが、この浦和の最終ラインでの「板子一枚での防ぎ」を破れるだけの選手が大分にはいないのが幸い。
中盤から右にかけて啓太、左で坪井、中央で闘莉王が奮戦し、さらに山岸の再三の好セーブにも救われてなんとか無失点で切り抜けての辛勝。
くそ暑い中での連戦に内容を求めるのが無理なのかもしれませんが、1トップへのフォローの遅さはかねてから指摘されているところでもあり、選手起用も含め疑問符だらけ。それでも負けるよりは良かったというのが総括でしょうか。
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