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2006.09.17

【観戦記】浦和 2-1 広島

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 内容で完敗しながらも結果だけは残す。このところずっとそんな試合を続けています。

 浦和の試合内容はとてもじゃないが優勝に値するチームのそれではありません。しかしそれでも優勝に絡めてしまうのがJリーグのレベルを物語っており、クラブチームがアジアで満足な成績を残せない所以なんでしょう。

 故障でワシントン、啓太がアウト。代わりに永井、酒井を起用。中盤は伸二が出場停止から戻ってポンテはベンチスタート。不振続きの平川はこの日もスタメンを確保し、暢久がベンチに。

 立ち上がりはまずまず良かったんじゃないですか。小野が前線で倒れこみながら平川にパス。平川はどフリーでGKと対峙しましたが、シュートは下田に弾かれてジ・エンド。まぁあれは平川のシュート能力じゃ多くを期待するほうが無理というものですな。

 あとは浦和がやや優勢なまま前半を過ごすものの決定機は作れず。広島は守備時には5バックと形容できるくらいに最終ラインにべたべた人数をかけ、しかもかなりラインを深めに敷いて浦和にスペースを与えない方針で臨んでいました。そのため浦和は中盤でやや優勢に立てるのですが、広島の人垣は微動だにせず。DFラインの前で横パスを繰りかえしているだけじゃ局面打開は無理で、引き気味の相手に苦戦した2004年終盤を想起させるようなゲーム展開。ワシントンがいれば全然違ったのでしょうが、永井・達也の2トップでは前線にボールが納まらず、2列目・3列目も飛び込みにくいんでしょうな。

 またこの日は達也が大不振。たまにカウンター気味のチャンスが訪れても、達也は全く相手DFをドリブルで交わせない。夏場1トップで酷使され、さらに中東でも激務を強いられたことによる疲労は1試合休んだくらいじゃ取れないんでしょう。前半で交代を命ぜられたのも已む無し。

 スコアレスのまま前半終了かと思ったのですが、ゲームが動いたのは前半35分。なぜか左サイドに残っていた闘莉王がクロス性のボールを上げたところ、それがなんとそのままゴールに吸い込まれて先制。てっきりまぐれと思ったのですが、どうも下田がニアにいたのでファーを狙ったみたいですね。正直すまんかった、闘莉王w

 広島の攻撃はウェズレイのキープ力に期待したタテポンを基本とした散発的なものに留まっていたので、内容はイマイチながらもこれで楽勝かと思ったのですがその後がいけません。集中力不足とGK山岸のミスが重なっての失点。左サイドの守備に回っていた永井がファウルを主張してチーム全体がそっちに気をとられたのだろうと思いますが、広島のショートコーナーへのケアが明らかに遅れました。これは今季磐田戦の失点とほぼ同じパターン。それに山岸の判断ミス-たぶんクロスを予想して重心が前に行ったところにニアに撃たれたというところでしょう。ウェズレイの驚異的なキープ力は健在。さすがに突破力には衰えを隠せないものの、名古屋時代にはFKをバンバン決めていたくらいなので、ウェズレイをあれだけどフリーにしてしまった時点でやられるべくしてやられたとしか言いようがありません。1-1での折り返しはゲーム内容相応でしょう。

 不振の達也に代えてギドは後半頭からポンテを投入。前線でタメを作る狙いだったと思いますが、運動量の少ない伸二・ポンテを併用したことで中盤の支配力を失い、浦和は大苦戦。長谷部・酒井はDFラインと同化するまでずるずる下がってしまって中盤には時折巨大な真空地帯が出現。大宮戦同様このあたりが啓太不在時の泣き所。前線のワシントン、中盤の啓太。そして最後尾であり最前線でもある闘莉王。この3人で持っているようなもんです、浦和は。

 広島は相変わらずウェズレイのキープ力頼みという色はぬぐえないものの、中盤で優位に立ったことを利してそのキープ力を信じて両WBや2列目、さらには1ボランチの青山あたりまでガンガン上がって浦和の両サイドを徹底攻撃。おまけにDFダバツが中央の真空地帯を突いてスルスルっと上がってきます。この辺の連動性・動き出しの速さ・人数のかけ具合がちょっとオシムテイスト。片やあまりにも動かない浦和。個人技頼みで連動性を欠く浦和。

 この日の試合内容を見る限り、広島はとても15位あたりに低迷するチームじゃありません。小野を更迭し、途中暫定監督で我慢しつつもまともな監督を連れてきたのが見事に奏功しています。広島は相変わらず若手の育成が上手いようですし(やや大人し目の選手ばかりというのは気になりますが)、来年は大化けするかもしれません。監督交代を焦ってさらに傷口を広げた近隣のチームと好対照ですな。

 浦和は両サイドが炎上し、いつ失点してもおかしくない状態に陥りましたが、そこを決められないのが広島の限界なんでしょう。サイドをあれだけ崩しているにも関わらず、寿人は後半シュートゼロ。こちらも達也同様お疲れなのでしょうか。

 ギドはたまらず伸二に代えて暢久を投入。この日はこれがズバリ当たりました。暢久が中盤で動き回ることで両ボランチが体勢を立て直すことに成功。広島はチャンス決めきれないでいるうちに全体の運動量が落ち、凡ミスも散見されるようになって形勢は五分五分に。さらに後半30分過ぎにギドは永井に代えて黒部を投入し、あとはお約束の闘莉王大作戦かと思ったのですが、アレックスの低いクロスをファーに詰めていた暢久が難なく押し込んでこれが決勝点に。途中出場のやりにくさを感じているようで、このところ全くいいところのなかった暢久が久しぶりに輝いた試合でした。

 アレのクロス-下田が手を出しても微妙に届かないところへ送った高精度のクロスとそれを信じて最後まで走った暢久。あたかも広島の攻撃を再現したかのような形で決勝点が生まれたのは皮肉なものです。

 広島は前田を投入して3トップで反撃を狙うものの(この時長谷部が最終ラインに入っていたような(^^?)、前にボールを送れないまま試合終了。

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 インタビューに呼ばれた後、暢久がピッチを周回。

 照れに照れまくってファン・サポーターへ満足に挨拶ができない暢久。それでも最古参。それでもキャプテン。それが山田暢久。

 
P.S.

 誕生日の坪井。左サイドからクロス1を上げ、最前線に突入する場面もありましたが得点はならず。

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