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2006.09.25

Jクラブ個別経営情報で遊ぶ(2)

浦和、58億円でトップ クラブ営業収入をJが初公開(埼玉新聞Web)

 サッカーのJリーグは19日、今季昇格した愛媛を除く1、2部30クラブの2005年度の収支、利益など経営情報を初めて開示した。Jリーグは経営諮問委員会を設置した1999年から平均値や分布表などでJリーグクラブの経営状況を公開してきたが、個別の状況を開示するのは初めて。

 営業収入では浦和がトップの58億500万円。続く横浜Mが48億2200万円で、40億円を超えているのはこの2クラブのみ。浦和は経常利益でも3億7100万円とトップで、Jリーグ随一の「ビッグクラブ」ぶりが数字でも明確になった。大宮は営業収入22億4200万円でJ118クラブ中15位。経常利益は900万円だった。

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これがJクラブ経営状況公開に関する平均的な反応。

やっぱ、浦和はすげー!!! よし、来年は○○を強奪だぁぁぁ!!! 

とつい考えがちですが、それではあまりに頭が劣っています。浦和が既に公開済みの経営情報をよく嫁!

 浦和は04/4~05/1の10ヶ月変則決算(ちなみに川崎・大分も同じ)。この影響が非常にでかいのです。浦和の経営情報を見ると05年の主催試合入場者数は04年より15万人も増えているのに入場料収入が増えるどころか微減していることに注意しましょう。この説明として「アッパーを値下げしたから(SC席設置)」という珍説が流布しているようですが、日頃のアッパーの売れ行きを見ればその説明は胡散臭いことこの上なし。05年は決算期が変更されたので、04年と比べて2月・3月の収入・費用が抜けているだけと考えるのが自然です。ちなみに単純に15万人の動員増がそのまま増収に寄与したと仮定し、入場料単価を保守的に見積もって2000円(=A席)だすれば3億円の増収になります。

 従って他クラブとの差はJリーグ公開データよりもさらにでかく、

来年は○○も△△も××も強奪だぁぁぁ!!! 

と反応するのが正しい赤サポだと思います。

 数字遊びをする上で、浦和・川崎・大分の3チームの収入・費用は他チームより過小に出ている可能性が強いことに注意してください。

 ちなみに埼玉新聞では経常利益についても言及していますが、スポーツクラブの場合(上場していれば話は全く別ですが)基本的に利益の多寡を比較しても意味がないと思います。というのは、極論すれば株主が配当や株価上昇といった形で利益還元を求めているわけではないからです。

 もっとも損失を計上していると後々クラブの存続が危うくなるので問題ですが、利益の大小比較はさしたる意味が無いといってもいいでしょう。例えば収益見込みの多寡に応じて親会社が広告料を調整するクラブもあるでしょうし(この場合税務上の問題はあるかもしれませんが)、本業の収益を「レッズランド」のような形で地元に積極的に還元しているため最終的な収益が小さめに出ているクラブもあるでしょう。もちろん収益を計上し、万一の事態に備えて内部留保を厚くしようとするクラブもあるでしょう。

というわけでクラブの利益に関する情報は損失の多寡だけ気にすれば十分じゃないでしょうか。

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