【TV観戦記】日本 0-1 ガーナ
オシム監督は良く言えば自分の信念を曲げない、悪く言えば頑固でわがままだから、協会スタッフはさぞ苦労されていることでしょう。今回の親善試合に独W杯16強、しかも有力選手を多数従えたガーナの招聘に成功したマッチメイクご担当の方々はグッジョブだと思います(もっとも過去4年間の安直な仕事振りへの贖罪を兼ねて、今後ともきっちり仕事してもらわんといかんのですが)。
ただガーナのパフォーマンスまで協会に責務を負わせるのは酷。ガーナは長旅の疲れもあったでしょうし、監督が就任してまもないということもあったでしょうし、またやはり所詮親善試合ということもあって本来の調子にはほど遠かったように思いました。そりゃ、絶妙のクロス・パスが出た!あるいは絶好のシュートチャンス!と思っても後ろから脚が出てくるとか、ちょっとしかスペースがないのにボールを受けて前を向けるとか、3人に囲まれているのにボールキープできるとか、ミドルレンジ、しかも角度のないところから枠内にシュートが撃てるとか、個人能力には驚愕すべきものがありましたが、まぁそれだけという感じ。
従って日本としては、焼け跡からの再建途上とはいえ、せめて引き分けて欲しかったわけですが、まぁそうは問屋が下ろさないといったところでしょうか。ガーナに一瞬の隙を突かれ、こちらはチャンスを生かせずに敗戦。時にDFからのロングボール、時にサイドから縦へ、そして時にダイレクトパスで何度かガーナDFラインの裏を突きながらも決定機は僅少。そしてそのわずかなチャンスを決められないようではガーナに勝つのは難しいといわざるを得ません。守備はガーナの攻撃が中央突破に偏り勝ち(特に前半)だったので、散発的にミドルシュートを許した以外は常に数的有利を確保してしっかり守れていたと思いますが、それだけでは勝てませんな。
システム的には巻1トップ+佐藤寿・山岸の2シャドーだったんでしょうか(テレビだとわかりにくくて・・・)。中央やや前に遠藤、後ろに啓太。左WBアレックス、右WB駒野。DF今野・阿部・水本。GK川口。
親善試合の気楽さもあって新戦力を多数テスト。とりわけ闘莉王・坪井の2枚看板を欠いたDF陣で若い水本と、本職ではない今野を試してまずまずの成果を得たのがこの試合の収穫でしょう。なにせ水本はエメルソンを完封したこともあるくらいですからスピード系に強いのは実証済み(それだけに股下を抜かれてのクロスを許したのは痛かった・・・)ですし、今野は2回ほど致命的なミスをしていたように思いましたがスッポンマーカーの仕事を全うしていたんじゃないでしょうか。
山岸智は評価が難しいです。後半の巻→佐藤寿→山岸智で、後方からゴール前に飛び込むのはいかにも山岸らしい(というかジェフっぽい)動き。あれを決めていれば合格でしたが、あとはただ動き回っているだけで特に印象なし。ややサイドに張り勝ちで、なんかアレックスとの相性は悪そうという気がしました。
点が欲しい日本は播戸・中村憲らを投入。播戸は気迫だけは買えるのですが、なんか空回り気味。中村憲は盛んにスルーパスを狙っていて悪くはないのですが、守備を固めたガーナ相手にあまり意味は無かったような・・・ オシムのサッカーは個々人のアイデアがシンクロしてナンボ(まぁガリガリの個人技サッカーでなければどこでもそうでしょうが)なんである程度慣れが必要で、新戦力がぱっと出ていきなり活躍するのは難しいかもしれません。
新戦力ではありませんが、羽生・我那覇・長谷部・二川と投入してはみたものの、得点の臭いは漂わず。これまで途中投入でチーム活性化に役立っていた羽生にいいところがなかったのが最も残念。長谷部も最後のシュートはせめて枠に飛ばさないとね・・・
スタメン組では佐藤寿が最も不憫。ワンタッチゴーラーが最終ラインまで下がって守備をやらされているって、あれほど不憫なことはない。まさに不適材不適所。本人のせいじゃないけど、たぶん達也が復調したら達也に代えられることでしょう。あとは駒野は本職の右で使うほうがはるかにマシなことと、中央での啓太・遠藤の組み合わせは悪くないのを確認できたくらいでしょうか。啓太にパスの精度を求めるのはやっぱり酷かなぁ・・・ アレックスは良くも悪くも普段どおり。
まぁオシムのやり方では成果が出るのに時間が掛かるのは明白なので、今しばらくは生煮え状態のチームで我慢するしかありませんな。とりわけ ポストプレーでは一定の仕事をしているものの、およそ得点を期待できそうにない巻。これをどうするのかが今後の最大の見物でしょう。
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