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2006.12.30

【観戦記】浦和 2-1 鹿島

 「Ale、Forza Urawa、俺たちと共に・・・」

 強い北風に乗らずとも浦和のチャントがはっきり聞こえる青山の街。オフィスを飛び出して一目散に青山門へ。チャントは次第に大きくなり、時に小さくなりながら、その声は浦和が優勢でもなければ劣勢でもないことを聞き慣れた者に伝えていた。

 後半10分、1-0。

 試合を途中から見ることは滅多に無い。フットボールというものはおよそ90分通してみないと意味が無いとすら思う自分にとっては非常に残念なことだが、人生そうそう自分の思い通りに行くわけではない。夕暮れ迫る年の瀬、40分近くを浦和と共に過ごせたのは幸いというべきだろう。

 聖火台下で慌ててポジションを確認。坪井がいないことは事前に判っていたが、CB中央は内舘。出場停止で長谷部の抜けたボランチに伸二ではなく暢久を置いたところを見ると、さすがにギドもネネ・内舘・細貝の3バックは心配だったのだろう。

 ボール支配率は鹿島が優勢でボールを回しながらサイド攻撃中心に盛んにチャンスを作ってはいるが決定機には至らない。浦和としてはああいう手数のかかった攻めは大歓迎。鹿島の攻めはやや単調で中央からのミドルシュートが少ない(本山に際どいのを一発撃たれたが)ため浦和守備陣も読みやすかったと思う。鹿島はそのスタイルを固持しているうちは浦和を苦手にし続けることだろう。

 鹿島は何の役にも立っていないQBKと新井場に代えて深井とダ・シルバを投入。それでも流れの中から崩される気配はほとんどなく、セットプレーも小笠原なき今となっては怖さも半減と安堵していたのだが、なんとそのセットプレーで失点。ネネがマークを外したのか、岩政に完全に前に入られてしまった。

 ギドが啓太に代えて酒井を投入した意図は不明だが、同点に追いつかれた浦和はそれまでよりも若干攻めに重きを置いて反撃。相馬のクロスが曽ヶ端の前を横切るなど惜しいチャンスもあったがこちらも決定機には至らず。サイド中心の攻めだが、永井の1トップでは今日も苦しいか。

 またも延長やむなしという空気が流れ始めた時間帯、その空気を一掃したのはポンテ。左サイドからポンテ→小野のヒールパス→ポンテシュート! 得点自体はシュートがDF青木に当たって曽ヶ端が逆を突かれるという幸運なものだったが、それに至る過程が素晴らしかった。つまらん、つまらんと言われ続けて久しい06年浦和だが、これだけのタレントを抱えている浦和だから、たとえワシントンがいなくても、いやワシントンがいないからと言うべきか、本当はやろうと思えばとんでもないことができる。運動量の少ないポンテと伸二を2列目で併用するのはあまり望ましい姿ではないと思うけれども、超一流の技術を持ったもの同士だから噛み合った時の破壊力は抜群。チキが新人で入ってきた伸二を一発で認めたように、ポンテも復調著しい伸二に全幅の信頼を置いているのだろう(逆に相馬は全く信頼されていないのだが・・・)。06年を締めくくるに相応しい素晴らしいゴールだった。

 残り時間が少なくなって、手詰まり感著しい鹿島は簡単にパワープレーに転じたが、いくら浦和の3バックがレギュラー陣をごっそり欠いているとはいえ、縦に放り込むだけでは浦和守備陣は崩れようもない。ギドは交代出場早々に負傷した酒井に代えて堀之内を投入し、そのままボランチに。天皇杯4回戦で負傷して年内絶望と思われた漢が苦しいところで帰ってきた。

 最後の最後で鹿島のサイドからの放り込みを許してちょっとややこしくはなったが、浦和はなんとかボールを掻き出して試合終了。ワシントン、闘莉王、アレックス、長谷部、坪井、堀之内と6人のレギュラー陣を欠き、さらに主力である達也も欠きながら堂々の決勝進出。やや押され気味の展開だったことは否めないが、卓越した個人技をベースにチャンスを着実にモノにして勝ち進む浦和の姿は正に王者のそれだった。

 鹿島にしてみれば不運な決勝点に見えるかもしれないが、それを運がなかったで片付けているようではおそらくタイトルとは無縁であり続けるだろう。02年ナビスコ決勝の決勝点は小笠原のシュートが井原にあたってゴールに吸い込まれたものだが、君たちはそれをラッキーだと思っただろうか?

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 試合後は某パブで仲間と録画を見ながら反省会。結果が判っているので実に気楽なものだが、前半はやや劣勢だったようだ。浦和の右サイドからのクロス。ファーでどフリーだった野沢がボールに触れていれば鹿島が先制していただろう。セットプレーでも同じような形でファーの岩政(?)にチャンスがあった。だが空振りは空振り、枠外は枠外。鹿島はチャンスを多く作ってはいたが、それまでだった。

 方や浦和。細貝やネネにも惜しいチャンスがあったが、やはりここぞというところで頼りになったのは伸二。啓太の後方からのパスをダイレクトで、しかもやや前に出ているGKを巻いてゴールを狙うなんて、これまたトンでもない芸当だった。鹿島DF陣はほんのちょっと詰めるのが遅かったばかりに伸二の妙技を許し、曽ヶ端は懸命に手を伸ばしてもあとちょっとのところで手がボールに届かない。小笠原を失った今となっては、鹿島には浦和との圧倒的な個人能力の差を埋めるべきものは何も残っていなかった。浦和が6人ものレギュラー陣を欠いているにも関わらず。

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 J's Goalより

●岩政大樹選手(鹿島)
「決定力の差だと思う。シュート2本で2点取られた感じだから。崩された場面はほとんどなかったと思う。ボールもウチがキープしていたし。勝ちが得点だけで決まってしまうのは残念です」

 おそらく「負けはしたが内容では勝っていた」という旨のことを言いたいのだろう。だが、残念だが往年の鹿島というのは「内容にはさして見るべきところはないが、やたら勝負強いチーム」だったのだ。まるで06年浦和のように。鹿島入団以降何一つとして良いことが無い岩政君がそのことを知らないのは無理もないが、内容に救いを求めるのはおよそ鹿島らしくない。

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受信: 2006.12.31 02:16

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