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2007.02.27

【本】ダメな議論

ダメな議論(飯田泰之 ちくま新書)

 これまでにも類書はいくつもあったかと思いますが、本書は論理的思考-感情や直感よりも論理とデータによって様々な情報の有用性を判断する-を習慣づけるために5つのチェックポイントを掲げてみたもので、判りやすさでは右に出るものはないといっていいでしょう。

 チェックポイントは以下の5つ。これらをほとんどクリアできない議論は誤りであり、複数をクリアできないものはかなり怪しい議論というもの。

①定義の誤解・失敗はないか

例)「超能力は存在するのか?」→「超能力」の定義を明らかにしないと議論がかみ合わない。

②無内容または反証不可能な言説

例)「生きる力」の向上が教育政策に必要だ → 「生きる力」を図る物差しがなく、その達成度合いは検証不可能で提言として無内容

③難解な理論の不安定な結論

注)難解な理論を引用している場合、その前提がしっかり説明されているか?(前提がはっきり書かれていない場合、書き手はその適用範囲に自信がない可能性大)

④単純なデータ観察で否定されないか

例)「昔に比べて少年の殺人や放火が増えている」→ データを観察すると誤り

⑤比喩と例話に支えられた主張

注)実証分析がなく、比喩と例話で構成された主張は基本的に信頼できない。

 本書はデータ観察が容易、あるいは少なくともその試みが積極的になされている経済評論・社会評論に焦点を絞っていますが、「ダメな議論」を見極める手法そのものは汎用性を持ちます。サッカー評論もその例外ではないでしょう。

 Opta等の試みはありますが、サッカー評論は野球やアメリカンフットボールとは違ってゲーム内容を数値化・客観化して語るのは盛んとはいえず、客観性を著しく欠いた議論が横行しがち。おまけに定義のはっきりしない語句を巡って水掛け論が繰り返されがちです。

 「結論が出なくても議論そのものが楽しい」という方も多いかと思います(私もその一人です(^^;)が、より建設的な議論を志向される方、無駄な議論に首を突っ込んで時間を浪費したくない方は一読をお勧めします。

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