キヨスク閉店に思う
首都圏のキヨスク、3分の1が臨時休業…リストラ補充失敗(読売)
要するに
・正社員では採算が取れない店舗が増えてきた。
・2004年からレジの導入などを進めるとともに、契約社員やアルバイトへの切り替えを開始
・ところが契約社員やアルバイトが予定通り集まらず、やむなく一部店舗を閉店
ということですな。
JR東が度重なる車両故障・信号故障はそっちのけで「駅ナカ」営業に血眼になるのを見てもわかるように、大都市の駅構内の「キヨスク」は潜在的には物凄い収益性を持っています。ただ如何せん正社員ではコストが高すぎて採算が取れない。そこで契約社員やアルバイトへの切り替えを進めるのは正しい方向でしょう。
しかし折悪しく今は空前の求人難。近所のスーパーや飲食店でも営業時間を短縮する例を目にしますが、労働環境良好とは言いがたい狭小な店舗で「職人技」を要求されるキヨスクになかなか人が集まらないのは当然でしょう。
また報道によれば契約社員やアルバイトへの切り替えと併行して正社員の早期退職勧奨を進めているようなので、もともと東日本キヨスクは正社員の補充の目処が立とうが立つまいが不採算店舗を閉めるつもりだったのではないかという気もします。しかしキヨスク閉店で利用者の不満が高まっていることでわかるように、キヨスクにニーズがあること自体は間違いありません。
「コスト削減の過程を誤って収益機会を逃している」ボンクラな子会社が独占的に駅構内で営業している。いや独占的に構内営業しているからボンクラになる。そんなことを考えさせられました。
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首都圏のキヨスク、3分の1が臨時休業…リストラ補充失敗
電車に乗る前に雑誌を買おうとしたら、売店のシャッターが閉じていた――。最近そんな経験をした人が少なくないはずだ。首都圏のJR駅で、スタンド型売店「キヨスク」の3分の1が臨時休業するという異常事態が続いている。
店舗を運営するJR東日本の子会社が人員整理を進めた結果、販売員が十分に確保できなくなったという。休業店再開のメドは立っておらず、駅利用者の不満は高まる一方だ。
JR東管内でキヨスクを運営する「東日本キヨスク」によると、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県の約560店舗のうち、現在185店舗が臨時休業中。閉鎖は昨秋から都心の主要駅で始まり、今では近郊の駅にも拡大している。
31店舗中8店舗が休業中の東京駅。通勤・通学客が多く利用する山手線と京浜東北線のホームは、2店舗のうち1店舗でシャッターが下りている。〈しばらくの間、閉店させて頂きます〉。そう書かれた張り紙と最寄り店の地図が掲示されているだけで、休業の理由に関する説明は一切ない。
東日本キヨスクでは、100品目を超す商品の値段を記憶していて料金の暗算もできるという“職人技”を持つ正社員に販売を担当させてきた。しかし、採算が取れない店舗が増えてきたため、人件費を削減しようと、2004年からレジの導入などを進めるとともに、契約社員やアルバイトへの切り替えを始めた。
さらに、昨年8月には正社員の早期退職を募り、今年3月までに販売員だった約400人が退職。今月からはキヨスクの店舗から正社員が姿を消している。
同社によると、全店舗を維持するためには500人以上の契約社員が必要。このため500人の確保を目標に契約社員を募集し、不足分はアルバイトで補う予定だったが、契約社員は130人しか集まらず、アルバイトの応募もほとんどなかったという。同社は「ポスターや求人雑誌などで募集したが期待通りの反応がなかった。周知が不十分だったのかもしれない」と話している。
同社は、現在休業中の店舗について、販売員が確保できれば再開する方針。一方で、主要駅にある「NEWDAYS(ニューデイズ)」を中心に、駅構内のコンビニ店を増やしてきており、「再開までの間は他のキヨスクやコンビニを利用してほしい」としている。
しかし、キヨスクが少ない駅やコンビニのない駅もあり、横浜線、南武線などの10駅では、駅構内から売店が完全に消えた。東京駅のキヨスクで新聞や雑誌をよく買うという男性会社員(68)は、「レジに行列ができるコンビニよりキヨスクの方が便利。早く再開してほしい」と話していた。
(2007年4月13日15時33分 読売新聞)
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