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2007.08.12

【観戦記】浦和 1-1 柏

 組織性に勝る柏に対し、浦和は個人能力でなんとか対抗。

 柏の運動量が落ちた後半は浦和が先制し、そのまま個人能力で押し切るかと思いましたが、浦和らしからぬセットプレー時のミスで失点して残念ながら引き分け。決めるべき時に決められなかったのが痛かったのと、ビルトアップ時やサイドにボールが入った時のワシントン不在を痛感させられる試合でした。

 シュートは柏の倍の20本も撃っているのでそんなに悪い試合でもないのですが、オジェックが浦和に植えつけようとした組織性というものがいつの間にか失われ、浦和伝統の「やあやあ我こそは」の連続に逆戻りしているのが気になりました。勝てる試合、勝たないといけない試合でしたが、試合内容的には引き分けは妥当な結果だと思います。

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<スタメン>

---達也-------
--------ポンテ-
-----伸二-----
相馬--------暢久
--長谷部---啓太--
-阿部ー-闘莉王-坪井-
-----都築-----

 ワシントンが広島戦で負傷してしまい、その治療のため緊急帰国。来日の目処立たずということで、オジェックは急遽ポンテをFW起用しての3-5-2。といっても前半のポンテはFWとは言いがたいポジション取りで、伸二よりは心持ち前にいるかなぁという感じでしたが、残念ながらこのフォーメーションは前半あまり機能せず。

 柏は李や菅沼を中心に前線から猛然とプレッシング。もっとも複数人で浦和の選手を囲い込んで高い位置でボールを奪取するまでには至らず、個々人で一生懸命走っているレベルに留まっていますが、それでも浦和は積極的に前に出てくる柏を前にやや戸惑い気味。崩しのパス交換といい、サイドチェンジといい、肝心なところでミス続出。

 初めて埼スタを経験する選手が多いはずの柏ですが、臆するどころか実に伸び伸びとプレーしていました。

 浦和は柏のプレスをGKから中盤までのパス回しで簡単にいなせるところはさすがなのですが、そこからの展開に四苦八苦。攻撃に手数がかかってしまうと柏に引かれてしまい、達也を活かすべきスペースを消されてしまいます。相馬が何度もゴリゴリとドリブルで突っかけるのですが、そこからの展開に工夫がなくて決定機には至らず。

 ワシントンがいれば相手に少々引かれてもサイドからの放り込み&ワシントンのポストプレーで強引に打開を図ることもできます(今季のワシントンはシュート精度があまりにも期待はずれなだけで、攻撃組み立てへの貢献は依然高いと思います)。しかし、今回の陣容では前線にターゲットマンがいないためサイドからのハイクロスは、その精度が低いこともあいまってほとんど無意味。あまりにも不甲斐ない攻撃陣に業を煮やした闘莉王が飛び込んできてなんとかサイド攻撃が体を成すくらい。

 守備は守備で冷や冷やものでした。柏は中央にフランサ/李、右に太田、左に菅沼と3トップ気味に攻撃を仕掛けてきますが、フランサと李の縦のポジションチェンジというのが曲者。フランサは必ずしも最前線に張っているわけではなく、頻繁に中盤に下がって李とポジションチェンジ。このフランサを捕まえきれず、浦和の両ボランチまでもがずるずる下がってしまったのが前半の苦戦の原因の一つ。

 浦和は広島戦の反省か、両WBを高めにおいていましたが、元々守備が計算できない相馬はともかく、右の暢久も残暑厳しい折タリーモ-ド全開。浦和の3バックが柏の3トップと対峙して苦戦している中、浦和の両WBの守備が緩慢で柏のボランチやSBに両サイドのスペースへいいように飛び出され、何度も危険なボールをサイドから供給されましたが、CB陣がかろうじて防いで無失点で前半終了。

 柏サイドからすれば優勢だった前半に一点も取れなかったのが引き分けに終わった原因といって差し支えありません。

 前半はなんだかなぁな展開でしたが、パス回しで柏のプレスを翻弄したのがそれなりに効いてきたのか、柏の運動量は後半に入るとがたっと落ちて浦和が完全に中盤を制圧して一方的に攻勢を仕掛けます。菅沼対策のためか、暢久のポジションがやや下がった代わりにポンテが右に張り出す格好に。そして暢久が縦パスでポンテを走らせ、ポンテが卓越したボールキープ力を利して達也の足元へボールを配球。あとは達也が撃つも良し、あるいは中盤に折り返して飛び出してきた選手が撃つもよし。後半になってようやくワシントンがいない時なりの攻撃パターンを見出したような感じでした。このところ不振で、この日も前半やや彷徨い気味の長谷部がシュート意識を取り戻してきたのは収穫かと。

 しかし攻撃陣のシュートはなかなか決まらず、またしても業を煮やして前に上がってきた闘莉王が放った強引なシュートがようやく決まって先制。その後も長谷部の惜しいシュートがあったり、GKが飛び出して不在なのに伸二のシュートは枠外という場面もあり、なんどかあった決定的な場面を決めきれず。

 それでも立ち上がりの時間帯を除けば後半は柏にほとんどシュートを撃たれていなかったので、この1点で勝ちきるかと思ったのですが、なんとFKを古賀にどフリーの状態で決められて同点。長身の古賀は柏のセットプレーで最も注意すべき人物のはずですが、よりによってその古賀をどフリーにしてしまうとは堅守の浦和らしからぬ大失態。

 同点に追いつかれた浦和は消耗の激しい長谷部を下げて永井を投入。いつまでも最前線でポンテを走らせるわけにはいかないのでポンテを2列目に、伸二を3列目に下げましたが、結果的にオジェックはこの交代で自ら火消しをしてしまう格好に。それ以前に相馬に代えて投入された平川もそうですが、この日は交代選手が不発。交代直後はそこそこ左サイドを抉る動きをみせていた平川はまだしも、永井の出来は悲惨そのもの。監督の指示だったのかもしれませんが、達也と被るようなエリア中央でボールを待っていてはどうにもなりません。右サイド高い位置に張って勝負したほうがナンボかマシだったような・・・

 永井投入後、浦和の攻勢は完全に尻すぼみ。GK南が遅延行為を繰り返してとうとうイエローを取られ、古賀はふてぶてしくも再三傷んだふりをするなど、柏は完全に引き分け狙い。その後何度かカウンターの掛け合いを演じたものの、共に決定機には至らずに試合終了。今季何度も見た消化不良気味の試合になってしまいました。

 致命傷にはなりませんでしたが、啓太のパスミスの頻度が上がっているのは気になります。相変わらず精力的に動きまわっているので代え難いのだとは思いますが、いくらなんでも連戦で疲労困憊の啓太の守備負担はきつ過ぎ。次節ガンバ戦では啓太&阿部の2ボランチじゃないと中盤が持たないような気がしてなりません。

 また3トップ気味の相手に対し、浦和は後半から暢久を下げて阿部を左に張り出して4バックへ移行するものと思いましたが、オジェックはその策を採らず。後半暢久をやや下げたくらいで3バックで我慢した意図は不明(柏の運動量が落ちて結果オーライでしたが)。

 予想以上に早いタイミングで4バック移行を試み、かつ4バックに固執することなく、3バックと柔軟に切り替えていた辺りは昨年からの大きな進歩だと思ったのですが、その意味では今日の采配は残念。

 FC東京戦以降リーグ戦5連勝という結果が出ていることの裏返しなのか、スタメン・ベンチメンバー、フォーメーション、そして選手交代と硬直性が強まって、これじゃ昨年同様「結果に拘ったつまらないサッカー」に堕してしまうような感じがしました。サテライト戦で活躍したエーコや祐也がどちらもベンチ入りしなかったのもかなりがっかり。

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