« (メモ)浦和‐F東京 | トップページ | スタジアムの風景:瓦斯戦2007 »

2007.08.26

【観戦記】浦和 3-2 F東京

 「おまえらこんな試合で勝って嬉しいのか?」と問われれば、「すいません」と頭を垂れるしかないような試合でしたが、それでも勝ちは勝ち。時間が経つにつれてぐだぐだ感が加速するしょぼい内容ながらも数少ないチャンスをしっかり決めて勝ち点3をゲット。

 勝ち点よりも総得点を重要視している、ある意味倒錯した価値観を持ったチームが酷暑下での連戦で理想とする試合運びができずに立て続けに勝ち点を落としている間に、糞つまらないながらも効率的かつリアリズムに徹した浦和が着々と首位固め。「この戦力でこれかよ?」と言われれば返す言葉もないのですが、夏のサッカーに内容を求めるのは酷というべきで、今はどんな内容であれ勝ち点を積み上げたもの勝ちだと思います。もっとも涼しくなっても浦和が見ていて楽しいサッカーをやっているという保証は全くありませんが。

 FC東京(以下「瓦斯」)は下位に低迷していますが、玉際の出足で浦和を上回り、しかもサイドから何度もチャンスを作っているので決して悪い内容ではなかったと思います。しかしいくら良い形を作っても決定力に乏しいのが瓦斯の一向に解消されない問題点。シュート数で浦和を上回りながらも、終わって見れば決定力の差で浦和に負けているというのは典型的な対浦和戦の負けパターンで、そういう意味では悪い内容ではないが瓦斯が勝てる見込みはほとんどない試合といってもいいでしょう。

--------------------------------

<浦和スタメン>

---達也--永井---
-----ポンテ----
平川--------暢久
--長谷部---啓太--
-阿部ー-闘莉王-堀之内
-----都築-----

87分 ポンテ→内舘
89分 永井→伸二
89分 闘莉王→ネネ

 浦和は坪井に代えて堀之内がスタメン。練習中に坪井が傷んだという話が出ていましたが、その後坪井は全体練習に復帰していたのでこのスタメン入れ替えには非常に驚きました。土・水・土と連戦なので大事を取ったということなのでしょうか。負傷明けの伸二はベンチスタート。前目の選手は好調なのでこれはやむなし。

<瓦斯スタメン>

---ルーカス--赤嶺---
リチェーリ -------石川
---浅利--梶山---
金沢-藤山--今野-徳永
-----塩田-----

56分 リチェーリ→平山
63分 浅利→福西
76分 石川→栗澤

 瓦斯は前節から右SHを川口→石川に入れ替えただけ。新聞では今野をボランチに上げるという話も出ていましたが、結局茂庭がダメな模様。ルーカスは結構中盤に下がってくるので実質的には赤嶺の1トップに近い感じ。

 浦和の立ち上がりは悪くはなく、人数をかけて積極的に攻勢をかけて相手エリア近くでFKをもらったり、あるいは暢久のクロスを達也がどフリーでヘッドを決定的な場面もあったのですが先制点はならず。その後早くも運動量が落ちてやや手詰まりになり、逆にこぼれ玉を瓦斯に拾われる時間が続いて嫌な予感がしたのですが、案の定失点。闘莉王のクリアボールを瓦斯に拾われ、ルーカスのスルーパスでリチェーリにDFラインの裏へ抜け出されてしまいました(スピードのない闘莉王の対応もトホホでしたが・・・)。

 坪井不在 & 啓太はお疲れ & 攻守とも何の役にも立っていない長谷部と悪条件が揃ってスピードのあるリチェーリを軸とした瓦斯のサイド攻撃にはかなり悩まされましたが、失点はまさに懸念された形そのもの。

 しかし先制点を取られてからやおら動き出すというのは浦和の仕様で、ただいま絶好調の平川が甲府戦同様サイドチェンジのパスを受けて縦に疾走。対峙する徳永をものともせず、クロスを達也が、そして堀之内が立て続けにゴール!!!

 達也のゴールはマークについていたDF藤山の対応がしょぼすぎるような気もしますが、堀之内のゴールはお見事!(ここも競り負けているのは藤山w) この場面では闘莉王も上がってたので二枚のDFが流れの中で前線に上がっていた勘定になり、極度にリスクをしょっているという意味では全く浦和的ではないのですが、誰もが予想していない局面で飛び込んでくる堀之内のステルス性能恐るべし。そういえば昨年の長居でも「なんでそこに堀之内?」というゴールを決めていました。

20070825gas4

 後半はリードした浦和がカウンターで追加点を狙うような展開ながら一進一退。ヒロミはそこで何を思ったのか、リチェーリに代えて平山を投入。この試合で最も脅威的だった選手を下げてくれたのでこれは大助かり。浦和はポンテが3点目を取って(ゴールキックを暢久が反らして、それを拾ったポンテがそのまま決めたもの。前線で達也と今野がもつれあって転倒し、ファウルだと思って足を止めた瓦斯DF陣の失態)これで勝負ありと思ったのですが、残念ながら浦和のぐだぐだ模様はここから加速してしまいました。

 両ボランチ、特に長谷部が良くありません。中盤のプレスが効いていないのでDFラインを上げるに上げられず、瓦斯はサイドに圧力をかけてくるので浦和の両WBも下がって5バック状態。こうなってしまうと両サイドから放り込まれ放題になってしまい、瓦斯のFWがマトモなら失点は免れなかったでしょう。

 また前の3人も疲労困憊で、カウンターの体勢に入っても孤立無援。

 ヒロミが矢継ぎ早に前目の選手を代えてくるのに対してオジェックはなぜか傍観。中盤消失&DFラインずるずる後退という最悪の状況に追い込まれた浦和。食らった失点は相手FK時の集中力不足という実にくだらないものでしたが、どういう形であれこの時間帯の失点はさもありなんというべきものでしょう。

 しかし優勢な局面で追加点が取れないのが瓦斯の瓦斯たる所以。平山は点を取るという以外のところではそこそこ仕事をしていたように思いましたが、負けている局面で投入されたにも関わらず得点の可能性を感じさせるシュートが撃てないようではやはりFW失格でしょう。

 結局オジェックは時間稼ぎともいえる時間帯になってようやく3選手を投入しただけ。万が一同点にされていればオジェックの無策ぶりが糾弾されかねないところでしたが、瓦斯が後半35分あたりから急速に消耗したことも相まって結果オーライ。終盤は瓦斯にシュートを撃たせることなくなんとか逃げ切り。

 まぁこんな内容でも土日の埼スタでは久しぶりの勝利なので悪い気はしないのですが、夏休み最後の思い出として埼スタにやってきた子供たちには申し訳なかったような・・・ クソ暑い中での連戦で、機能していない両ボランチを放置したオジェックの狙いは不可解で、オシム流に言えば「負けたほうが学ぶことの多い試合」だったと思いますが、そんな試合でもとにかく勝ち点3を拾ってゆくのがリーグ制覇には重要です。

--------------------------------

 あとは雑感を箇条書き風に。

・シュートゼロというのは寂しくもありますが、永井はここ3戦では出色の出来といって差し支えないでしょう。2トップの一角として最前線で拠点となるばかりでなく、達也やポンテと適切な距離を保って彼らの動きを支援。しかも左右へのボール捌きまでこなしていました。これだけできればワシントンの帰国が少々遅れても何の心配もありません。好調が持続しないのが永井の通弊ではありますが。

・一方長谷部は攻守とも全く良い所がありません。中盤でボールを奪ってドリブルで前へ突っかけても決定的な仕事はできずに結局誰かに預けて終わりという攻撃面の消極性はこのところずっとそうなので今更つっこんでも仕方ありませんが、この日はそれ以上に守備が出来ませんでした。相方の啓太がヘロヘロということもありますが、この試合瓦斯に再三サイド攻撃を許し、さらにDFラインがずるずる下がらざるを得なかったのは長谷部の不出来によるところが大きいと思います。また長谷部がボールを持ったところを瓦斯に狙われているような感じすらあり、実際危険な場所・局面でボールを失ってしまうことも2度、3度。

・都築もこのところミスキックが多発しており、全般に安定感に欠ける出来。何か集中を欠いてしまうような出来事でもあったのでしょうか?

・啓太は警告累積で次節神戸戦出場停止。いまやA代表の常連、かつほぼフル出場している上、今年はACLもあったので夏場の連戦はかなりきついかと思います。このところパスミスを犯す回数が増えたり(この試合では目立ちませんでしたが)、もう一歩相手に詰め寄せられなかったりと疲労の色が隠せなかっただけに、出場停止を奇禍として心身ともリフレッシュしてくれるといいのですが。

|

« (メモ)浦和‐F東京 | トップページ | スタジアムの風景:瓦斯戦2007 »

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【観戦記】浦和 3-2 F東京:

« (メモ)浦和‐F東京 | トップページ | スタジアムの風景:瓦斯戦2007 »