【観戦記】浦和L 1-2 日テレ
いやぁ残念。惜しい、誠に惜しい。
強敵日テレベレーザ相手に前半から積極的なゲーム運び。先制弾を食らうも心は折れることなく後半猛反撃に転じ、安藤同点ゴールで大いに見せ場を作るものの、最後に突き放されて奮闘及ばず惜敗。一昔前のトップチームそのまんまの負け方で、強敵相手に良くやったという思いが半分、負けた悔しさが半分となんだか懐かしいモヤモヤ感を抱いたまま家路に着きました。
たかが1点、されど1点。その1点に依然大きな力の差が横たわっていることを見せつけられたような試合でもありましたが、今年6月のリーグ戦では0-3の得点差以上にタコ殴りにされたことを思えば大善戦。しかもベレーザ戦を意識して特に守備的に闘ったわけではなく、極々自然体で臨んでの惜敗ですから後々のことを考えれば敗れたとはいえ収穫大といっていいでしょう。
観客2,803人。大半が暇を持て余したうぃあーでしたが、この内容なら次もまた見に来ようと思ったことでしょう。
ベレーザとの力の差はトップチームが02年ナビスコ決勝で感じた鹿島との差よりかなり大きいけれども、大昔のヴェルディ、あるいは一昔前の磐田との差ほどは大きくない。澤や酒井、荒川らが第一線を退く頃にはその差は劇的に縮まっているかもしれない。もっともベレーザは下部組織が優秀なので一筋縄ではいかないでしょうが、先々に期待が持てる試合でした。
敗れはしましたが持てるものを出し尽くした選手達を責めることはできません。
監督の采配は後手に回った感がありました。またカップ戦なりのスペシャルな闘い方で臨むべきだったという考え方もあるでしょうし、私もそれが正論だと思います。しかし小手先の策を弄してどうにかなる相手でもなく、リーグ戦に続いて真っ向勝負を挑んだ永井監督の勇気も褒められてしかるべきでしょう。
となると、3回もハンド臭いプレーを流し、明らかにユニフォームを掴んで引き倒しているのにそれも流し、挙句の果てにはGKのエリア外でのハンドすら危うく流しそうになった(もちろん赤サポ騒然)主審に「お前は緑の血が流れとんのか( ゚Д゚)ゴルァ!!!」と怒りの矛先が向かってしまうのはお約束。もっともいずれも結果には何の関係もありませんが。
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<スタメン>
---北本--安藤---
-柳田------土橋-
---高橋--庭田---
西口-矢野--田代-森本
-----山郷-----
SUB:池田、木原、堀田、松田、窪田
前節東電戦はベンチスタートだった柳田が左SHに復帰してベストメンバー。ベンチには若林の代わりに堀田がイン。フォーメーションはいつも通りの4-4-2。登録上は北本1トップですが、布陣は明らかに安藤との2トップ。
ベレーザは怪我で荒川が不在で、岩清水や弥生、宇津木、小野寺がベンチスタート。スタメンにはFW岩渕やGK松林といった見知らぬ名前も。
東電戦では総じて動きが悪く、中一日で臨むこの一戦も苦戦を予想しましたが、あに図らんや浦和の動きは劇的に良くなっていました。手強いとはいえ所詮L2の東電はなんとか振り切れると算段し、決勝にコンディションを合わせてきたのでしょうか?
浦和は強敵ベレーザ相手に怯むことなく積極的に前に出て守備。ベレーザも4-4-2の布陣ですが、浦和のプレスを嫌ってか澤がかなり引き気味のポジションを取るのでMF大野トップ下の3ボランチのようにも見えます。そしてその澤から左SB西口の裏へズバっとスルーパスを通されること2度。また大野やFW永里のスピードに振り回される場面もありましたが最終ラインで何とか踏ん張ります。浦和の両CBはスピードがないので裏を取られるのが非常に怖かったでしょうが、極力相手を前で潰す浦和の積極策はなかなかに効いていました。
しかし問題は攻撃。浦和の両FWはスピードがないので強敵相手の常道であるカウンターができず、いったんFWに当ててサイドへ展開というもどかしい手段を取らざるを得ません。またそもそもFWにボールを収めることも難しければ、ベレーザの中盤のプレスが厳しいので簡単にサイドに展開することもできず、ようやく土橋に出たと思えばきっちり2人にマークされて手も足も出ず。さらに左サイドからの攻めがほとんど機能しないところを見ると柳田のコンディションも依然良くなかったのかもしれません。
従って前半スコアレスで折り返せれば十分と思っていたのですが、38分に永里が先制。右SB近賀がスルスルっと中へ切り込んできてそれへの対処が遅れ、遅ればせながらマークに付いた西口?が交わされてしまったところで勝負あり。永里へのパスは誰かに当たったようにも見えましたが、ボールは永里の前に転がってしっかり決められてしまいました。
ベレーザに先制されてしまったのは痛恨事でしたが、ここで心が折れなかったのがこの日なにより嬉しかったこと。後半も立ち上がりこそベレーザに押し込まれましたが、15分辺りからベレーザは急速に消耗してらしからぬパスミスが続発。浦和得意のサイド攻撃が形になりはじめていきなり猛反撃。両サイドからクロスが入り始め、セットプレーによるチャンスも掴み始めます。
浦和の得点は65分。田代のロングフィードがベレーザDFラインの裏に通り、いち早くボールを拾った安藤がDF二人を引きずったままゴール!!! 当然ながら浦和はイケイケモードに突入し、安藤や北本が惜しいシュートを放ちましたが、ベレーザの監督はこの流れをぶった切る好采配を見せました。FW岩渕に代えてMF弥生を投入(大野がFWへ)。弥生に中盤でボールキープさせてゲームを落ち着かせるのが狙いでしょう。さらに土橋に対峙しつづけてヘロヘロの左SB豊田に代えて宇津木を投入。この投入により浦和の生命線ともいえる右サイド攻撃が無力化し、ゲームの流れはイーブンになってしまいました。
決勝点はエリア前で右から左へボールを回されて、左サイドでフリーになっていた近賀に決められたもの。前目での守備が効かず、押し込まれてボールを回されると浦和は辛い。
失点直後に永井監督は窪田を投入。
<84分:庭田→窪田>
---北本--窪田---
-安藤--柳田--土橋-
-----高橋-----
西口-矢野--田代-森本
-----山郷-----
安藤を左に回すというリーグ戦ではほとんど見られない布陣。残念ながらこの布陣はほとんど機能することなく、結局ベレーザの逃げ切りを許してしまいました。いつもなら前半から走らされまくって後半スタミナ切れになる土橋を代えるのですが、この日に限って土橋を90分起用した(対面がフレッシュになったにも関わらず!)のは腑に落ちないところ。
引き分けでもOKのリーグ戦なら上手くいっている時間帯での選手交代なんかありえないでしょうが、実力上位の相手に立ち向かうカップ戦決勝ならイケイケの時間帯で積極的に追加点を取りにゆく無謀に近い采配(具体的には土橋以外揃いも揃ってスピードがないのだから、スピードのある松田か堀田を庭田に代えて投入! うぃあーは伝統的にスピードのある選手が大好きだ!!!)があっても良かったでしょう。またベレーザの采配に対していかにも後手に回ってしまった感も否めません。もっとも投入できる控え選手のレベルに差があったといってしまえばそれまでで、采配云々でどうなるものでもないものかもしれませんが。
両チームとも代表組を多数抱え、コンディションが十分ではなかった点を割り引く必要があるでしょうが、ベレーザの後姿がほのかに見え始めた感のあった惜敗。その差は一朝一夕には縮まらないでしょうが、わずかながらも確実に縮まっています。
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