木曽路(2)
木曽福島は中山道の宿場町というよりは、むしろ箱根・新居・碓氷と並ぶ江戸期の関所として有名でしょう。
関所は駅から1kmほど先、町の北外れといってもいいような小高い丘の上にありました。
関所跡地には東門・西門が復元されている他、関所資料館が建てられています。関所の重要な任務といえば「入鉄砲・出女」の監視ですが、資料館では関所に備えられた道具・武具と共に「通行手形」等各種証文を展示。また関所での取調べの様子を事細かく解説してありました。
木曾十一宿を含む木曾一帯は当初は天領、後に尾張藩預かりになりましたが、江戸期を通じて代官山村氏が治めていました。木曽福島には代官屋敷が置かれていましたが、高名な木曾檜を筆頭に森林資源に恵まれたせいか、往時は随分と豪奢なお屋敷だったようです。
木曽福島の「上の段」地区にも古い町並みが残っていますが、
奈良井のような本物を見た後なので、ちゃっちいというか、ロケセット風に見えてしまうのは少々気の毒でした。
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上松は木曾福島から一つ南に下った小さな宿場町。その面影は申し訳程度で、今はむしろ木曾木材の集散地として知られています。鉄的には赤沢自然休養林内の森林鉄道で有名。
またそれ以上に有名なのは「寝覚の床」。花崗岩が木曽川に侵食されて出来上がった奇観ですが、それに加えて水力発電のために木曽川の水位が下がって巨大な岩が河原に表れたとのこと。
となると、古の歌人が見ていた寝覚の床と現在のそれとは相当違うことになります
自然の力と人の力の合作による景勝地というのはちょっと珍しいかも。
中央西線の車窓からもちょっとだけ見えます。
台風が過ぎたばかりだったので、増水で観光できなかったらどうしようと思ったのですが、さすがにそれほどのことはなし。でも足場が悪かったので、寝覚の床を岩伝いに歩いてみるのは断念。
P.S.
昼食代わりに塩尻で駅弁「とりめし」(カワカミ 610円)を購入。
とりめしといえば、あっさり目の炊き込みごはんに鶏そぼろ。そして鶏肉が少々というのが定番ですが、塩尻の「とりめし」が変わっているのは野沢菜がどっさり載っていること。塩気を抑え気味の野沢菜が、とりめしの脂っぽさを巧く打ち消しています。往々にして単調な味わいになりがちなとりめしですが、それを野沢菜が救った格好。2切れの鶏肉は薄くコロモをつけて揚げてあるのでしょうか。非常にコストパフォーマンスの高い逸品だと思います。
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