【TV観戦記】城南一和 2-2 浦和
いったんは逆転に成功しながらも残り10分ほどで同点に追いつかれるという浦和らしくない試合運び。しかし、アウェーで2点取っての引き分けは限りなく勝ちに等しい結果。前節新潟戦から中2日でのアウェー戦だったことを考えれば上出来といって差し支えありません。
ただ城南一和は前年Kリーグチャンピオン、しかも今年も首位を走るだけあって手強いチームでした。全北現代がラフプレーだらけの糞チームだったのに対し、城南一和は実に闘い甲斐のあるチーム。Kリーグが全北現代のようなDQNチームばかりではないことが判っただけでもこの一戦は意義深いものがありました。
韓国にせよ豪州にせよ、代表が死闘を繰り広げている国は、そのトップクラブもやはり強敵。Jリーグという半ば閉じた世界の中でいつもほぼ同じ面子で勝ったり負けたりを繰り広げているだけでは世界の中での自分のクラブの位置なんて絶対に判らない。強敵と何度もガチンコで闘ってアジアレベルとはいえ浦和の位置を相対比較・確認できただけでACLに出た甲斐があったというものです(ACLを単なる罰ゲームと捉えているクラブには縁遠い話でしょうが)。
雨でピッチはややスリッピー。坪井のトラップミスを掻っ攫って一気にゴールを陥れた辺りは敵ながら天晴れ。相手の凡ミスを確実に得点に結びつけるあたりはさすがです。
先制した後の試合運びにも城南の余裕を感じました。浦和がボールをキープする時間帯が長いのですが、浦和のFW、特にワシントンにボールが入った時は数人がかりで押さえ込んできます。そして浦和が攻め倦んでボールを失ったところからカウンターを仕掛けるのがおそらく城南の狙い。
浦和は平川を使って何度か左サイドから攻めこむものの、これはほとんど得点機に繋がらず。右サイドの暢久は守備に力点を置いたためかほとんど攻めに絡まず。それでもワシントン、ポンテ、達也の3人で2、3度得点機を作っていますので全く城南に歯が立たなかったわけではないのですが、ほぼ城南のペースで前半終了。
しかし後半頭から城南の監督は何を考えたのか、10番イタマールに代えて長身の9番キム・ドンヒョンを投入。イタマールと11番モッタのコンビは浦和守備陣にとって厄介な存在だっただけに、この交代は意味不明でした。
立ち上がりに浦和の中盤がDFラインに吸収される最悪の状況になって際どいシュートを何度か撃たれましたが、そこをなんとか凌いで浦和が反撃。相手のクリアボールを拾ってポンテがふわりと上げたクロスはワシントンを越えて達也へ。城南DF陣はシトンに気を取られたのか、小さな達也のヘッドが見事に決まりました。なんだかんだといっても前の3人で点を取ってしまうのは浦和の基本仕様。
その後はお互い攻め合いの様相になり、ワシントンがエリア内でキム・ドンヒョンに押し倒されてPKゲット。ポンテがそれを決めて逆転に成功。
疲労の色が濃い浦和の面子をどこでどの選手に代えるかが見物でしたがオジェックの打った手はなんと坪井→堀之内。坪井は失点の切っ掛けとなった凡ミスがあったとはいえそれ以外はそんなに悪くなかったので、何かアクシデントがあったとしか思えない交代。
点を取らないといけない城南がどんどん攻撃的な選手を入れて傘にかかって攻めて来るのに対し浦和は最終ラインで必死に防戦。時間が経つにつれて城南にも疲労から来るものと思われるミスが目立ち始めてなんとか浦和が凌ぎきるかと思いましたが、残り10分余で失点。
もっとも後半は何度かサイドをぶち破られては最後はバーに助けられたり、相手のシュートミスに助けられたりといった状況でしたので、同点弾を浴びるのは時間の問題。むしろ2点目を先に取られなかっただけ幸いといわざるをえないでしょう。
攻められっぱなしでカウンターが効かなくなっている時間帯に永井、あるいは岡野の投入が待たれましたが、永井が投入されたのは同点に追いつかれた後。オジェックは相変わらずあんまり選手交代が上手くありません。
アウェーで2点取っての引き分けというのは勝ちに等しい結果ですが、サイド(特に右)がやられ易いとか、中盤から飛び出してくる選手を捕まえられないとか、3バックの浦和が3トップのチームに対峙する場合の弱点を曝け出してしまったのも事実。瓦斯だとか甲府だとかJリーグの中下位レベルのチーム相手ならなんとでもなりますが、Kリーグのトップチーム相手ではこのままではやや心もとない感じ。
シーズン当初のオジェックなら4バックにシフトしそうなものですが、相手の手の内が判った時点でオジェックはどういう手を打ってくるのでしょうか。無為無策で臨んで撃ち合いに持ち込まれる最悪シナリオだけは勘弁してもらいたいものです。
まぁ第1戦で事実上決着をつけてしまうような大人気ないことはせず、不必要なほどに最後の最後までファン・サポーターを飽きさせないというのは浦和営業の常套手段。第1戦もそのシナリオに忠実に従っただけかもしれませんが(^^?
真紅の埼玉スタジアムでの決戦こそ臨むところ。平日ではありますが、シドニー戦を上回る5万人のファン・サポーターで強敵城南一和を迎撃したいものです。
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<浦和>
---達也---シトン-
-----ポンテ----
平川--------暢久
--長谷部--啓太---
-阿部--闘莉王-坪井-
-----都築-----
67分:坪井→堀之内
82分:達也→永井
93分:暢久→細貝
P.S.
・審判団に特に怪しげなところはなく一安心。たぶん城南サポ的には暢久がPKを取られなかったのが納得いかないと思いますが、それはその後の阿部のシミュレーションで主審なりに帳尻を合わせているような・・・
・雨のためか都築に心なしか安定感がなく、それ以上に暢久が攻守にわたって精彩を欠いていたのは気になりました。相馬の負傷で平川を右WBに回せないのがなんとも痛恨。WBの人材不足で暢久を休ませられないのでしょうが、暢久はかなり気の毒な状態。シーズン初めならオジェックも右WBに細貝を入れたかもしれませんが、目先の勝ちが大事な今となってはなかなかそういう冒険はやりにくいのでしょうなぁ・・・
・謎の坪井交代はやはりアクシデント。
●堀之内聖選手(浦和):
「ツボ(坪井)が傷んだこともあって、早い段階からいつでもいける準備だけはしていた。何とか2対1のまま凌げればよかったが…。」(J's Goalより抜粋)
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