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2007.10.08

【観戦記】浦和 2-1 大分

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 怒怒哀哀が目一杯詰まった駒場スタジアム。

 浦和がJリーグを代表する強豪になった今でも、駒場で一方的に押し捲られる展開になるとあの日の、あの時の悪夢がフラッシュバックしてしまいます。

 サイドを何度も破られる。ラインが下がって中盤のプレスが効かず、際どいミドルシュートを撃たれる。最終ラインでかろうじてボールを掻き出すもこぼれ玉はことごとく相手に拾われる。

 選手は精一杯頑張って必死に耐えているのだけれどもあと一歩及ばず、ついに堤防決壊。Vゴール制度のあった頃はそんな試合が少なくありませんでした。

 早々と先制したけれども、その後はほぼ一方的に大分の攻勢に晒されて後半に同点に追いつかれる嫌な展開。弱かったあの頃ならそのままあっさり逆転されて、下手をすれば1-4くらいで負けていたと思います。

 しかし、今の浦和は違う。疲労困憊のため運動量で完敗し中盤で劣勢に陥って良いように振り回されても、最後の瞬間で相手のシュートをブロックする強力DF陣がいる。DFの網の目を潜り抜けてきたシュートを間一髪かつ確実に防ぎきるGKがいる。そして劣勢を耐えに耐え、そして数少ないチャンスを確実にものにするスーペルな攻撃陣がいる。

 負けに負け続けたあの頃と似たようなゲーム内容だが結果は雲泥の差。点が入りにくいフットボールならではの結果。

 7連戦の最後の試合。この試合を終えると一息つけることを心の拠所として選手達は頑張っていたのでしょうが、もはや気持ちだけではどうにもならないほど疲れきっていました。長谷部や永井の消耗っぷりは見ていて気の毒になるほどで、オジェックが選手交代を渋るのを訝しく思っていましたが、ワシントンの逆転ゴールをしぶとく守りきって勝ち点3を積み上げ。

 相手からすれば内容では完勝。全く負けた気がしないでしょう(で、妙に気を良くして次節別のチームにボコボコにされるのが下位チームのお約束・・・)が、終わってみれば負けているという横浜戦以来のお馴染みの展開。守りに守って一発を決めるリアリズムの権化。ACLとリーグ戦を併行して闘いながら共に結果を出すチームというものは興業性を犠牲にしないと成り立たないのかもしれません。

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<浦和>

---達也--シトン--
-----ポンテ----
平川--------永井
--長谷部--啓太---
-ネネ--闘莉王-阿部-
-----都築-----

81分:達也→内舘
88分:ポンテ→岡野

 このところ攻守とも精彩を欠いていた暢久はついにスタメン落ち。相馬が負傷中で平川を右に回せないので暢久の代役が悩ましいところでしたが、オジェックはなんと永井を起用。守備重視のオジェックにしては珍しい策ですが、大分が勝ち点1欲しさにベタ引きになると判断してでしょうか? 城南戦で負傷交代した坪井は軽症と伝えられていましたが、大事をとってかこちらもスタメン落ち。代わりにスタメンに入ったのは堀之内ではなく、なんとネネ。ベンチメンバー同士でターンオーバーしてどうすんねんとツッコミたくなりますが、こちらもネネの攻撃力を買っての起用でしょう。現有戦力で考えうる限りでの超攻撃的布陣。

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<大分>

---高松---山崎--
-----梅崎-----
鈴木--------藤田
--ホベルト---エジ---
-上本--森重--深谷-
-----下川-----

83分:山崎→松橋
83分:梅崎→金崎
85分;上本→根本

 大分は出場停止の右WB高橋の代役が謎でしたが、結局藤田を起用(これは大当たりで、浦和の左サイドで精力的に動き回っていました)。

 右WB永井が機能するかどうかがこの試合の鍵でしたが、オジェックの賭けは半ば成功、半ば失敗という微妙な結果に。

 長谷部のパスを受けて右サイドを疾走する永井。クロスをワシントンが押し込んで早々と先制。勝ち点1でも御の字という大分の野望(?)を打ち砕き、永井起用は大成功と思いましたが浦和の苦難はここから始まりました。

 当初から引いて守っているようには見受けられなかった大分ですが、いきなり先制点を取られて一層前に出ざるを得なくなり、むしろそれが却って大分にリズムを与えたといっていいかと思います。

 もともと大分は運動量が多いチームですが、浦和は連戦続きでいつにも増して運動量の差が顕著。中盤のプレスは効かず、サイドでボールをキープされ、WBとDFの間、あるいはWBの裏に走りこんでくる選手を捕まえきれない。クロス精度、シュート精度が低くて助かっているもののヒヤリとさせられる場面が続く気持ち悪い展開。浦和はほとんど反撃らしい反撃もできずに前半終了。

 駒場のピッチ状態が劣悪で、ポンテやワシントンがなかなかフォローにやって来ない味方のために時間を稼ぐべくボールキープを試みるものの、細かいボールコントロールに失敗してボールを奪われる場面も多々。一方の大分は荒れたピッチをものともせず、細かいパスを繋いで来ます。しかも足元から足元へ繋ぐのではなく、スペースへどんどん選手が走りこんで来てそこへボールが出る辺りはいかにも大分。

 後半も達也が惜しいシュートを一つ放ったくらいで大分優勢。永井は先制点をアシストした後完全に消えてしまい、DFラインとほぼ同一平面上の低い位置に押し込まれては苦手の守備に奔走する始末。そして案の定、永井の裏を鈴木に突かれてクロスを藤田に押し込まれてしまいました。何度も同じような攻撃を食らっていましたのでこの失点は驚きも何もありません。

 永井や長谷部は攻守ともほぼ何の役にも立っていない状態で、失点するまでオジェックが両者とも代えずに放置したのは納得いきませんが、同点に追いつかれた浦和は心なしかスピードアップ。万が一の時に備えてここまで省エネサッカーを繰り広げて燃料を蓄えておいたのでしょう。

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 そしてポンテが適当に放り込んだボールをワシントンがDFを背負ったまま胸トラップ&シュートというまるで練習のような砲撃で大分を突き放す。こういう一撃は日本人FWではまず無理で、まさにワシントンならでは。組織的なプロセスもへったくれもない得点でしたが、疲労困憊のチームが勝ち抜いてゆくにはまさにこういう得点が必要です。

 この失点で大分はややがっくり来たのか、あるいは単純に疲れたのか、その後はややプレーが雑になり、相変わらず攻勢に立ってはいるものの浦和の堅陣を脅かすには至らず。オジェックの内舘投入はそこそこ効きましたが(代えたのが達也というのは謎)、その後はポンテを岡野に代えただけで長谷部・永井はなんと最後まで引っ張り、交代枠を1つ余らせて試合終了。どんどん攻撃的な選手を入れてくるシャムスカと比べるとどうにも歯がゆいオジェックの策。守備固めを意図して後半30分くらいで永井→暢久の交代はあると思ったのですがね。

 いつも冷静沈着。相手のラフプレーや疑問符のつく判定にも動じず、じっとベンチで戦況を見つめていることの多いオジェック。この辺がギドとの年季の差でしょうが、この日は珍しくライン際に飛び出して激昂すること2度、3度。なんとか疲れきった選手達を鼓舞して勝ち点を掴み取りたいオジェックなりのパフォーマンスなんでしょうが、あれがこの試合が非常に苦しかったことを象徴していました。もっともパフォーマンス以前にやるべきことがあったように思いますが。

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P.S.

・揉め事があったときに都築が飛び出す一瞬のスピードはFWで通用するように思えて仕方がありません。

・この日はなぜか産業道路に掛かる歩道橋へ誘導する係員がいなかったし、バック2F入り口のチケットチェックもいませんでした。もう駒場の運営方法を忘れてしまったのかなぁ・・・

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受信: 2007.10.08 12:19

» 浦和 VS 大分   [騒がしい未来]
 厳しい試合でした。  が、この試合の観戦記はもうこのまま浦和御殿を引用してしまいたい。 【観戦記】浦和 2-1 大分 http://redsnowman.cocolog-nifty.com/urawa_goten/2007/10/post_697e.html 怒怒... [続きを読む]

受信: 2007.10.09 02:39

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