油麩丼
(前回からの続き)
登米に出掛けたもう一つの目的が「油麩丼」。日経夕刊に紹介されていたのが油麩丼を知ったきっかけです。
油麩は登米の特産で、麩を油で揚げたもの。但しそれを丼物になったのはさほど昔のことではないようで、日経によると「鶏肉も豚肉も使わない丼を作ってほしい」という注文を受けて旅館が作ったのが始まりとのこと。
最初に油麩丼を試してみたのはバス停傍の観光物産センター「遠山乃里」内にある「とよま茶屋 館山」。「とよま丼」の名で油麩丼が売られていました。小さな冷奴や味噌汁、デザートにヨーグルトがついて750円。
油麩が狐色なので見た目はカツ丼に似ていますが、味わいは親子丼あるいは単なる玉子丼に近い甘辛さ。やはり油麩といえども所詮は麩というわけか、出汁が浸みていることは浸みているのですが、それでも非常にあっさりした味わいで、特段腹に溜まることもなくあっというまに平らげてしまいました。具に紅しょうがや細かく刻んだシイタケも。
正直なんだこんなものかと思いましたが、物産センターのようなところで出される物は概して老舗のそれとははなはだかけ離れているのが通例。一品をもって全てを語るのもいかがなものかと思い、もう一軒「ぶんき茶屋」で油麩丼を食べてみました。
こちらは味噌汁、漬物付きで550円と良心的。運悪く人手不足の店に小グループ客が相次いでやって来たようで30分近く待たされました(たまたま放映していた「風林火山」の再放送が半分以上終わってしまった!)が、ようやくやって来た一品がこちら。
「館山」と比べると重箱にご飯がぎっしり詰まっていて、ボリューム満点。しかも麩の油加減がかなり強めなせいか、ややカツ丼に近い味わいです。玉子の量も「館山」より明らかに多い。量と油っぽさで最後は箸が進まなくなってしまいました。(そもそも立て続けに2杯も食べるな!というツッコミはさておき)こちらを最初に食べていれば油麩丼に対する印象はずいぶん違っていたかもしれませんが、旨いかと言われると微妙・・・
おそらく店によって麩の油加減や出汁の取り方で少々味わいが異なってくるでしょうが、だからといって際立った個性があるわけでもなく、その辺をどう評価するかは微妙なところです。
なお宮城産米のアンテナショップが神田にあって、そこで油麩丼を食べられるようです。ただこの店、夕方は早仕舞いする上に土日は開いていないんですね。まるでお役所そのもので、アンテナショップの機能を果たしているのかどうか・・・
(了)
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