太田焼きそば
富士宮・横手と共に焼きそばによる街興しに奮闘中の太田(群馬県)へ行って来ました。
とりあえず太田駅構内の観光案内所(といっても実態はただのパンフレット置き場)で「太田焼きそば」のパンフレットを入手。
最初に訪れたのは「峯岸大和屋」。
「やきそば」の暖簾が揺れていますが、それがなければどう見ても和菓子屋が本業で、その片手間で焼きそばを作っている感じ。和菓子と焼きそばには共通項がほとんどありませんが、焼きそばを売るに至った経緯にはつっこまないのが大人の態度というものでしょう。
店内にはテーブルが4卓ほどあるだけで非常に手狭。焼きそばをテイクアウトする人が大半のようですが、それでも客用の各種新聞が置いてあるところを見ると店内で食べることを想定していないわけでもなさそう。やきそば(中)を注文。315円也。
中といってもかなり小ぶり。値段相応といってしまえばそれまでですが、「並」といってしかるべきサイズです。麺はかなり太め、かつ柔らかめ。心持ち水っ気を感じるので限りなく焼きうどんに近い味わい。焼きそばにしてはあっさりかつやや甘め目の味付け。具は細かく刻んだキャベツが入っているだけで肉はなし。これも値段相応でしょうか。
太田金山城でひと汗かいた後に訪れたのはパンフレットで見つけた「ともちゃん」へ。こちらの外観は絵に描いたような焼きそば屋です。
暖簾をくぐると店内はいたって雑然。「食べて行かれますか?」と店主に聞かれました。昼飯時はとっくに終わったが夕飯には早いという中途半端な時間帯とはいえ、あんまりといえばあんまり。こちらもテイクアウトが主体の店のようです。
肉入り焼きそばを注文。500円也。
具は細かく刻んだキャベツと豚肉。細麺でかなり油がきつく、辛目の味付け。どこからどう見てもその辺の屋台で売っている焼きそばと変わりないような・・・ 麺・肉とも量が多く、コストパフォーマンスが良かった点だけは褒めておきましょう。
ちなみに太田市の公式サイトを見ると、
中島飛行機から現在の富士重工にいたるまで、日本を代表する工業の町として栄える太田。一見無関係に思えるこの工業が、太田に焼きそばを根付かせる原因となりました。
太田に焼きそばが広まったのは戦後。ラビットスクーターやスバル360などのヒット商品を生み出していた富士重工や関連工場には、東北地方からの多数の人が出稼ぎに来ました。東北には古くから焼きそばが存在し、その中には、現在も焼きそばの町として名乗りをあげている秋田県横手市があり、この人達が太田に焼きそばを持ち込んだのでは、とされています。また焼きそばは、安くてボリュームがあり、汁が無いのでのびることなく、いつでも気軽に食べられるところが、工場で働く人たちに受け入れられた要因でもあるのでしょう。昭和20~30年代には、「子育て呑龍」で知られる大光院の参道に、屋台をはじめ数多くの焼きそば屋があったそうです。
とあって、そもそも太田焼きそばのルーツが横手にあることを認めています。
また「上州太田焼きそばのれん会」の説明によると太田焼きそばは各店バラバラで、太田ならではの特徴というものがない。麺にはっきりとした特色がある富士宮・横手と対照的。
この2点から、太田が富士宮・横手に比肩する「3大焼きそば」を名乗るにはかなり格下感は否めないと思います。
喩えて言えば、キャンディーズの「ミキちゃん」やたのきんトリオの「よっちゃん」ですな(両者の往年のファンには申し訳ないですが)。まぁ人口の割には焼きそば屋が多いことは確かですが。
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