Jリーグ観戦者調査2007
05年、06年と標記の話題を取り上げましたが、このデータを読むにあたっての注意事項を改めて掲げておきます。
----------------------------------
・わざわざアンケートに協力しようとする人はそもそもかなり熱心なサッカーファンである可能性が高く、サンプリング方法に問題がある。
・この調査は各クラブとも1試合しか調査対象になっていないので、その時の対戦相手や天候、調査時期によって結果が左右される可能性があり、Jリーグ全体の傾向を掴むには有益であってもクラブ別の傾向を判断するには相当の注意が必要でしょう。
・従って、クラブ別の傾向を分析するには少なくとも過去の調査結果を参照し、時系列的変動を追うくらいのことは必須。
----------------------------------
ということで、05年に書いたコメントが06年、07年にどの程度当てはまるのか検証してみましょう。
・Jリーグが若年層ファンの開拓に失敗しているのは明らか。Jリーグバブル後も生き残った連中が何度もスタジアムに来ているだけというのが正鵠に近いか。
→現時点でもそのまんまで、06年W杯の惨敗によりさらに事態は悪化したかもしれません。もっとも日本全体の平均年齢が上がっているため観戦者の平均年齢が上がるのはある程度仕方ないところもありますが。
・初観戦の観客が減る一方、ほぼ全試合の観客が増加。固定ファンに支えられるJリーグ。チケット入手方法の中でシーチケ購入者比率が高いところからも明らか。
→J1初観戦の観客ウェイトは着実に減少(11.1%→10.8%→8.7%)し、16回以上観戦するコア層が急増(19.5%→31.6%→35.7%)。
・固定客の多さが突出する浦和 固定客不在の名古屋w
→相変わらず浦和の固定客の多さはJで突出。名古屋も05年調査時よりは固定客が増えてはいますが、他J1チームよりはかなり少ないことに変わりありません。
・徒党を組んでわらわらやってくる浦和 若者がポツーンと一人観戦の東京V
→浦和の同伴者数は相変わらず異常な多さ。東京Vも相変わらず一人客が多いようですが、J2に紛れるとさほど目立たなくなります。
・高齢化の極み清水。さすが往年の王国。
→清水と大分の年齢層が相対的に高いことは変わりありませんが、他のチームが急速に追いついてきたので目立たなくなりました。新潟の伸びは驚異的(37.0→40.0)ですが、冒頭に掲げたようにこの調査はサンプリングに問題があるのでもうちょっとトレンドを追う必要があるかと。
・大宮は子供客が多いというのは嘘だったのか???
→ややデータにぶれが見られますが、平均的に見れば大宮は子供客が多いどころか、むしろ少ないほうに入るようです。07年は18才以下が1.8%と極端に少ないようですが、何かあったのでしょうか?
・横浜M、磐田は半分以上女性客だと思っていました。スマン。
→J1だけ見ると両チームとも女性客が特に多いわけではなさそうですね。イメージと全然違うのですが、なぜだろう?
・離れる鹿ギャルw 観客年齢の急速な高齢化&女性比率の減少が顕著。
→女性客の比率は04年から06年にかけて漸減しましたが、07年になって増加に転じました。現金なものですw 高齢化のほうは04年→05年に急速に進んだ後はほぼ横ばいに留まっています。
・依然として首都圏からの観客が相当いる鹿島。
→地元客離れ対策をあれこれ模索しているようですが、データ上はほとんど効果が見られません。平均アクセス時間はむしろ延びる傾向にあります(87.7分→89.8分→109.3分)。居住地「鹿嶋市」がわずか5.5%しかいない(今年から集計単位を都道府県別から区市町村別に変えたのでトレンドは不明)のは衝撃的な事実。
・驚異の地元密着川崎。川向こうが東京なので活動区域外居住者比率は高いけど、アクセス時間・費用でダントツ。シーチケ比率も高い。但しレジャー感覚多し。
→ここも相変わらず。集計単位を都道府県別から区市町村別に変えたことでその地元密着振りが鮮明になりました。07年に招待券比率が急増しているのは特殊要因でしょうか?
・新潟人気は県内一極集中だけど、県が広いからアクセス時間・料金はそこそこかかる。シーチケ比率の高さはさすが。
→J1全体を眺めると新潟のアクセス時間は明らかに短いほうに入ります(ここ数年変化なし)。道路事情の良い県でスタジアムまで車で来られるのが一因でしょうか?
・情報入手経路はテレビが一位。NHK地上波撤退となると痛手。
→何度か弊ブログでも話題にしていますが、目先の放映権料に目がくらんでスカパーに優先権を与え、その結果としてNHK-BSでのJリーグ中継が大幅に減ってしまったのは新規ファン開拓の観点からいえばJリーグ最大の失策でしょう。
・情報入手経路に「マッチデイプログラム」が堂々登場の浦和。一般紙を読まない浦和w
→とうというMDPがランク外になってしまいました。特に有料公式サイトができてから、情報発信媒体としてのMDPの位置付けが難しくなってきたように思います。なおうぃあーもようやく一般紙を読み始めたようです。
・口コミが侮れない新潟・大分・広島。さすが○舎。
→「友人・知人・家族」が情報入手経路で登場するクラブは愛媛だけになってしまいました。社会学者はデータを駆使して「世間の絆が薄れてきた」と大いに嘆くに違いありませんw
・サッカーが好きではなく、クラブも好きではなく、好きな選手もいないが、チケットをもらったので観戦に出かける名古屋。当然固定客に成長せず。
→「地元に貢献しているとはさらさら思っておらず、周囲でも話題になっていないが、たまたまスケジュールが空いていたのでコンビニでチケットを買って見に行く名古屋」に成長しました。
・クラブの応援のためにひたすら出かけ、レジャーのつもりで弁当を広げていると邪険にされ、チケットがもらえない浦和。
→全く変化が見られません。
・対戦相手がクソでも、スケジュールの都合がつかなくても見に来る浦和。たまには仕事せーよw
→調査日の対戦相手を調べたところ、大笑いしました。
・地域のためには何の役にも立っていない東京V・柏。
→柏の地元貢献度が06年から急上昇しています。東京Vの地元徹底軽視はもはや清々しいほど。
・それどころか、観戦動機として何一つ上位に上がってこない柏ってどうなっているのか?
→「サッカー観戦が好きだから」が突如06年から急上昇。「好きなクラブの応援に」「レジャーとして」も同様。J2暮らしで何かを掴んだのが手に取るように判ります。
・地域貢献に報い、周囲で話題になっているから出かける大分。但し明るい話題とは限らんw
→ここもあまり変っていないのですが、05年調査ほど際立った特長ではなくなっています。
----------------------------------
ついでに06年調査から見た浦和サポ像も再掲しておきます。こちらはそのまんま07年でも通用しそうですね。
・リーグでは比較的若い浦和
・30代がやたら多い浦和
・怖くて(?)子供を連れて来れない浦和(しかし、その数少ない子供は「キッズスペース」でエリート教育)
・女性が少ない浦和
・ホーム皆勤は当たり前の浦和
・友達と徒党を組んでやってくる浦和(平均7人強はリーグで突出)
・シーチケ保有も当たり前の浦和
・招待券皆無の浦和
・熱心にオヒサルサイトを見る浦和(昼間から何回もF5キー押してんじゃねぇよw)
・好きなクラブの応援にやってくる浦和
・サッカー観戦は断じて「レジャー」ではなく、対戦相手に関係なくやってくる浦和
| 固定リンク