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2008.03.16

【観戦記】浦和 0-2 名古屋

 前節に続き、相手が良いというよりは浦和が悪すぎて完敗。名古屋が強い感じはそれほどしませんでしたが、出来上がり途上にあることがはっきりと判るチームと依然五里霧中のチームとの差は歴然。おまけに1対1だとか、玉際での競り合いでも負けるようでは勝てるはずもありません。

 攻撃は前節よりやや良くなったように見受けられましたが、逆に(闘莉王の欠場が手伝ってか)守備が不安定になり、今後末代に渡って語り継がれるであろうようなお粗末な失点も飛び出して、その後は緊張の糸が切れて全く覇気の無い戦いぶりに終始。選手個々人は格段にレベルアップしているにも関わらず、10年前と大して変わらない絶望的な試合内容。試合の組み立て役がいないという難はあるものの、それ以外は日本を代表するといって差し支えない陣容を揃えながら、よくここまで酷い試合ができるものだとある意味感心してしまいました。

 個々人はそれなりに頑張っているのだが、連携が上手く取れないというのであれば時が解決してくれるのかもしれません。しかし、この試合を見ると攻守にわたってチームの意図が感じられず、当然ながら連携の取りようが無い。ボールを受けた選手はオロオロするばかり。連携があまりにも取れないゆえに選手に迷いが生じてプレーに自信を失っているようにも窺え、普段ではありえないようなミスが頻発しました。

 もはや「しっかり守ってカウンター」でも結構。選手の役割、攻守のタスクを明確にして最低限の連動性を確保しつつ、最後は個人能力で押し切るサッカーでチームを建て直しながら勝ち点を稼いでいかないと。当然ながらコンディション等の問題で持てる能力を発揮できていない選手はスタメンから外す。

 もっともワシントンやポンテのような群を抜いた個人能力を持つ選手はいないのは頭が痛いところですが、なにがしかチームの方向性を早く示さないとどうにもならないところに差し掛かっているのは明白。

 海図の無いまま漂流しているような試合は勘弁願いたいものです。

20080315nagoya

<浦和>

---高原--エジ---
-----暢久-----
相馬--------平川
---細貝--啓太---
-阿部--堀之内-坪井-
-----都築-----

HT:高原→永井
61分:啓太→梅崎

 闘莉王が肉離れで欠場。3バックの中央に堀之内が入るのは想定内でしたが、CBに細貝ではなく阿部を入れ、ボランチに細貝を起用したのが目を惹きました。先のサテライト瓦斯戦では細貝は何度も川口らにぶち破られていたので、単にストッパーとして使うのは怖いと判断されたのかもしれませんが。

<名古屋>

---玉田--四千---
------------
マギ-吉村--中村-小川
------------
阿部-吉田--竹内-青山
-----楢崎-----

75分:青山→三木
85分:マギヌン→杉本
89分:玉田→山口

 名古屋はなぜかバヤリッツアがベンチにも入らず、前節大活躍した竹内がCB。

 前半は圧倒的に名古屋ペース。浦和は立ち上がりが最悪で、堀之内が玉田のプレッシャーを受けてミスを連発。もはやベテランの域に入ったといってもいい堀之内が玉田一人のプレスを交わせずにあわやという場面を連発。これが前半の浦和のリズムを悪くしたといって差し支えないでしょう。

 とはいえ、浦和も全く無抵抗だったわけではなく、何度か中盤でボールを奪ってチャンスメーク。名古屋は果敢にDFラインを上げてくる割には中盤がそれほど強くないのでカウンターが狙いやすいのですが、残念ながら浦和の両FWは共に足元でボールを欲しがるタイプ。単純に名古屋のDFラインの裏を突くようなことは苦手のようで、カウンターの形は作れどもあと一歩のところでシュートには至らず。

 そうこうするうちに右サイドで数的優位を作られ、ノープレッシャー状態のマギヌンからヨンセンへクロスが通って失点。阿部が必死にヨンセンに食らいついていましたが、でかい相手との競り合いに滅法弱くてCBとしては難があるのは代表戦でもよく見るところ。

 ただ阿部を責めるのは少々酷で、それ以前にサイドを簡単に崩されているのが情けない。前節の名古屋の戦いぶりを見ていればサイドにストロングポイントがあるのは明白で、そこをオジェックがどう対処するのかが見物でしたが前半は全くの無為無策。昨年だとどちらかのWBを下げて4バック風にして対処することもありましたが、この日はただただ傍観。右サイドは炎上また炎上で、1失点で済んだのは幸運としか言いようがありません。

 両サイドが常に劣勢のため、浦和のWBは押し込まれて5バック状態。必然的に中央が薄くなり名古屋の波状攻撃を浴び放題。やっとボールを奪っても前の人数が少ないので攻撃の形が作れず。念願のボランチとして起用された細貝が時折最前線まで顔を出す積極性を見せているのがかすかな光明といっていいほど情けない前半でした。

 不発の両FWのどちちからと、攻守にいいところがない平川は早めに代えないと勝ち目が無いと思っていたところ、オジェックは後半頭から高原に代えて永井を起用。オジェックにしては珍しい英断でしたが、これは大正解。永井がやや右サイドに流れた1.5列目でボールを受け、スペースへ走る平川と縦の関係を作ってチャンスメーク。これが機能して浦和は俄然勢いを取り戻し、啓太のミドルシュートがポストを直撃するビッグチャンスを生んだのですが、この試合で良かったのはわずかに後半の15分間程度。

 
 オジェックが攻勢を強める趣旨で梅崎投入を決意したのは大いに結構なのですが、下げたのはなんと啓太。守備的な選手を外して攻撃的な選手を入れたつもりなのかもしれませんが、それってまるで下手くそなサカつく。今の浦和の最大の問題は無駄走りする選手が少ないことで、無駄走りを最も忠実に実行している啓太を外すなんて愚の骨頂。もっとも啓太もさほど調子が良かったわけではないのですが、細貝が攻、啓太が守という役割分担がそれなりに機能していたのをあえて崩すほど啓太が悪いとは思えず。梅崎に代えて下げるならどう見ても暢久でしょう。

 ついに浦和デビューを果たした梅崎は残念ながら空回り。気合が入っているのは十二分に判りましたが、残念ながら周囲と噛み合わず。

 オジェックの愚策によって浦和は急失速。攻め手を見出せないでいるうちに、浦和史上に残る大失態 -リスタートを焦った都築と、それに反応できなかった細貝の連携ミス- でやらずもがなの失点を許して事実上試合終了。阿部がピッチに大の字になってしまったのがそれを象徴していました。立ち上がりの堀之内に始まり、後半は坪井の致命的なパスミス、最後は都築の大失態と、守備陣がここまでボロボロになった試合は久しぶり。

 あとは完全にやる気を失ったのか、浦和は誰一人走ろうともせず、足元から足元へボールを繋ぐだけ。しかも名古屋のプレスにあってしばしばボールを取られる始末。ベンチはベンチでそんな悲惨な状態を変えようともせず、達也投入による悪あがきさえせずに交代枠を余らせたまま試合終了。

 6週間で直るような外傷ではなく、中枢がやられているような、ただただ情けない敗戦でした。

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