【観戦記】横浜M 1-0 浦和
今年の浦和は始動が遅く、しかもグアムキャンプでは一年間闘える体力を鍛えることに重点を置いたため、実戦練習はわずかに愛媛と非公開練習試合を行ったのみ。あとは何度か紅白戦をやっているとはいえ、これじゃ連携の深まりようがなく、最初から面白いサッカーが見れるわけはないと半ば覚悟して出かけたつもりですが、浦和の出来の悪さは想像のはるか斜め上を行っていました。
いやぁ、これほどまでにメロメロとは。特に前の3人。
同じ負け試合でも相手が強くて負けた場合はある意味敵ながら良いものを見せてもらったとさばさばして家路に着けるのですが、相手は特にどうということはないが自チームがどうしようもなくダメダメで負けた場合は精神的にかなりダメージが残ります。歴史的に戦績の良くない開幕戦ですが、ここまで内容が悪い開幕戦は実に久しぶりです。マリノスは決定機を3度作ってその一つを決めたのに対し、浦和の決定機は皆無。強いて言えば暢久のダイレクトボレーが惜しかったくらいですから敗戦はやむを得ないでしょう。
試合は立ち上がりからマリノスペース。浦和はほとんどFWにボールが収まらず(鞠DF陣が浦和の2トップにボールが入ったところで厳しくマーク。これが効いていました)、たまにボールが入ったと思えばそのフォローがなく、とにかく前の3人がバラバラに動いている状態で攻めの形が全くできず。時折阿部や啓太が加勢に来ますが、そこでパスミスが飛び出してカウンターを許すことも。
守っては陣形がやや間延びしてDFラインとボランチの間へしばしばマリノス攻撃陣(山瀬とかロペスとか小宮山とか・・・)の侵入を許す始末。さらに両サイドもやや劣勢で、左サイドを隼磨に破られて前半20分前後に立て続けに2度決定機を作られてしまいました。
幸いにも相手の決定力の無さに助けられた後は心なしか浦和がペースを取り戻しましたが、浦和がボールを持つ時間が多少長くなっただけでマリノスの守備陣形は微動だにせず、浦和は個人で持ち込んで無理目のミドルシュートを放つのが精一杯。ボールが出てくるのを信じて走るようなことが全然出来ていないためか、中盤でボールを持ったまま徒に考え込むような場面が90分を通じてしばしば見受けられました。
運良く前半を無失点で凌ぎ、後半の立ち上がりはこの試合を通じて一番まともな時間帯だったと思います。相変わらず決定機には至りませんが、一応パスを繋ぎながらエリア内にいる高原やエジにまでボールが渡るようになり、後は振り向きざまのシュートなり、落としたところを後方からズドンなり何となく形らしきものがおぼろげながら見えてきました。しかし、それがはっきりとした形を成さない間に失点。
直接的には坪井のクリアが甘くて、それが簡単に小宮山に渡ってしまったところから生じたものですが、その前に啓太から出た縦パスを高原がセンターライン付近であっさり失って2次攻撃を浴びたことのほうが問題でしょう。高原にせよ、エジにせよ、思ったほど前線でボールキープできなかったのは大きな誤算。もっともこれはマリノスDF陣を褒めるべきかもしれませんが。
先制してさほど時間が経たないうちにロニーが遅延行為で2枚目のイエローをもらって退場。浦和は数的優位になりましたが、ベタ引きになったマリノス守備陣の前に手も足も出ず。オジェックはこの日良いところがなかった暢久を早々に諦めて永井を投入するも戦局に変化なく、さらに堀之内を下げて達也を投入して3-3-4っぽいフォーメーションにしましたが、単に前が渋滞しただけでこれまた何の効果もなし(スペースが全くない状態の達也ほどかわいそうなものはないなぁ・・・)。なんら数的優位を感じることがないまま敗戦というのはオフト初期にまで立ち戻った感も。
マリノスの中央はとにかく堅いのでサイドから攻めるしかないのですが、サイドから良質のボールが入らないのは昨年同様。たまに可能性のあるボールが入っても、残念そこは中澤だったりします。
ロニーがやや引き気味のポジションを取っているせいか、ロニー退場以前から堀之内や坪井が再三攻撃参加を見せていましたが、マリノス守備陣には事実上捨て置かれていた模様。闘莉王はオジェックに大島番を言いつけられたのか、攻撃参加は1度きり(しかも肝心なところでバシっと中澤に止められてしまう・・・)。最後の最後まで闘莉王大作戦は発動されることなく、闘莉王はさぞかし憤懣やるかたないことでしょう。目先の勝ち点を拾いにゆくなら闘莉王が最前線で中澤と一緒に潰れてもらうくらいの手を打つべきでしたが、オジェックは今年の形らしきものを最後まで追い求めて轟沈の道を選びました。
ポンテもアレックスもいないので、セットプレーは全部暢久が蹴っていましたが、これまた得点の臭い皆無。CK、FKの後に何度もカウンターを食らうテイタラクで、久しぶりに「浦和のセットプレーは大ピンチ」を見せていただきました。これもオフト時代以来です。
一人少なくなったマリノスは単にベタ引きで守るだけでなく、コンディションに問題があるロペスに代えてスピードのある坂田を入れ、カウンターをちらつかせながら時間稼ぎ。これがまたトップヘヴィーで攻守のバランスが崩れまくっている浦和に対して実に効果的でした。テキ屋、やるじゃん。
結局のところ前半半ばから浦和がボールを持っている時間がやや長いものの、ゴールを陥れる算段の立たないままただだらだらボールを持っているだけで、結局セットプレー崩れも含めてマリノスのカウンターの餌食になるだけだった。そんな試合内容だったと要約できます。
前線も酷けりゃ、それをフォローする中盤も酷い。連携の悪さ、意思疎通の悪さというものは時間をかけないとどうしようもありません。例年スロースターターの浦和ですが、今年は例年以上にダメかもしれません。戦術大転換で事実上チームは作り直し。新戦力を加え、かつ監督も変え、さらに準備期間が短かったのに等しいくらいの状態ですね。昨年はブルズカップとゼロックス杯でボロボロにされましたが、今年は炎上の暇も無くいきなり公式戦を迎えていいところ無く敗戦。まぁリーグ戦緒戦で大炎上しなくて良かったと無理やり前向きに考えるしかないかと。
なおこの時点でスタメンをコロコロ変えたところで悪循環に嵌りがちですが、トップ下梅崎は案外早く実現しそうな気がしてなりません。
*今日の良かった探し=オジェックの選手交代が比較的早かったこと
<浦和>
---高原--エジ---
-----暢久-----
相馬--------平川
---阿部--啓太---
-堀之内-闘莉王-坪井-
-----都築-----
69分:暢久→永井
75分:堀之内→達也
最後はこんな感じ?
-----高原-----
-達也------エジ-
-----永井-----
---阿部--啓太---
相馬-闘莉王-坪井-平川
-----都築-----
<横浜M>
---大島--ロニー--
-----ロペス----
小宮山-------隼磨
---山瀬兄--松田--
-田中裕-中澤--ロス-
-----榎本-----
73分:ロペス→坂田
P.S.
何やら新コールらしきものをやっていましたが、はっきりと判ったのは坪井のみ(井原のコールを転用)。サポーターのほうも実戦練習不足でした(^^;
| 固定リンク