【観戦記】磐田 1-2 浦和
このところ獅子奮迅の活躍を見せていた永井が腰痛で出場を危ぶまれる事態に陥り、怪我明けの高原がスタメン起用された磐田戦。またしても立ち上がりが芳しくなく早々と先制を許し、その後はエジ&高原の2トップがほとんど機能せずに苦戦に陥りましたが、後半高原を下げて永井を投入し、同時に闘莉王を2列目に上げる「闘莉王大作戦」が奏功して逆転に成功。その後は磐田の反撃を難なく抑えて逃げ切り。
決して良い内容とは言えない試合ですし、なんとなく「闘莉王頼みの糞サッカー」的でもありますが、ゲルトの大胆な采配が勝ち点3を引き寄せました。内容が良くない試合でも勝ち点をしっかり積み上げ、故障者の回復と戦術の成熟を待つ。それが最終的な栄冠を掴むには必須事項です。
<浦和>
--エジ----高原--
-----梅崎-----
相馬--------平川
---闘莉王-啓太---
-阿部-堀之内--堤--
-----都築-----
HT:相馬→暢久
64分:梅崎→細貝
64分:高原→永井
<磐田>
---ジウ--萬代---
-----上田-----
成岡--------駒野
---犬塚--河村---
-茶野--大井--加賀-
-----川口-----
78分:成岡→名波
82分:ジウシーニョ→山崎
89分:上田→中山
腰痛の永井はベンチスタートで高原が先発。不振の暢久に代えて梅崎をスタメン起用したのは当然だとして、ボランチには結果を出している細貝ではなく怪我明けの啓太を起用してきました。
開始早々相馬が駒野に簡単に振り切られ、駒野のクロスをジウシーニョがズトンでたちまち失点。ジウシーニョには一応マーク(堀之内?)が付いていたのですがあっさり競り負け。新外国人FWのジウシーニョは当たりの模様で、その後も浦和守備陣を脅かしつづけました。
失点後も浦和の動きは芳しくなく、闘莉王の縦パスで相馬や梅崎を駒野の裏に走らせるのが精一杯で、パスがほとんど繋がらず。
観戦位置が低かったので縦の位置関係が判り難かったのですが、高原は1.5列目ではなくエジと平行に近い2トップだったように見えました。高原個人の動きは横浜戦・名古屋戦よりは良くなったと思いましたが、永井と比べると運動量が物足りない上に、何といってもボールを簡単に失ってしまうのが困り物。そのため平川は上がるに上がれず、右サイドは前半全く使い物になりませんでした。
前半20分あたりから浦和もようやくボールが回るようにはなり、左サイドを中心に攻撃を仕掛けますが決定機には持ち込めず、梅崎や闘莉王が枠内にミドルシュートを放つのが精一杯。逆に浦和が不用意にボールを失ってカウンターを食らう場面が何度かあり、ここで磐田が追加点を取っていればそれで試合は決まっていたかと思います。しかしそこで点が取れないのが今の磐田の実力。あまりにも雑な磐田の攻撃に浦和は助けられました。
ハーフタイムで暢久が一人アップしていたので後半頭からの投入は予期できたのですが、下げられたのはなんと相馬。平川が左WB、暢久が右WBへ。相馬&梅崎のコンビによる左サイド攻撃は浦和の生命線ともいえるものだけにこの交代は予想だにしなかったものでしたが、案の定この交代は失敗に終わり、左サイド攻撃は沈黙。
せめて守備力でも上がっていればまだマシなのですが、投入された暢久の出来も褒められたものではなく、結局両サイドから磐田の攻撃を許す始末。ゲルトの意図は前半やられ気味だった左サイドの守備力強化なんですが、放った手は自分のストロングポイントを捨てた縮小均衡策に過ぎないような・・・
思い切ったゲルト采配は無残な結果に終わりましたが、そこでさらに大博打を打ってくるのがゲルト流。いいところのない高原に代えて永井を投入するのは当然として、電池切れの梅崎に代えて投入したのは細貝。一見負けているのに守備的な選手を増やしてどうすんねん?という感じですが、ゲルトはなんと闘莉王を2列目に起用し、敵ゴールに近いところに橋頭堡を築く事実上の「闘莉王大作戦」に打って出ました。
-----エジ-----
--永井---闘莉王--
平川--------暢久
---細貝--啓太---
-阿部-堀之内--堤--
-----都築-----
腰痛を抱えた永井の動き自体はそれほどでもなかったのですが、この交代で浦和のサイド攻撃が復活。エジのポストプレーや裏を狙う動きも格段に良くなりました。そして投入された細貝が中盤でボールを拾いまくって前へ前へと進出。もちろん長谷部とはパス精度、ドリブルの破壊力とも比べ物になりませんが、細貝の前へ向かう姿勢によって浦和が勢いを取り戻したといっても差し支えないでしょう。
CK崩れの後に平川のクロスを闘莉王が競り勝って、落としたところを阿部がダイレクトボレー!
さらに左からの平川のクロスに飛び込んだ闘莉王がヘッドで逆転!!!
得点はいずれも見事なものでした。
逆転後は浦和が時間を潰しまくってそのまま逃げ切り。しかし、落ち着いてボールを回すことができず、最終ラインからボールをドッカーンと蹴りだして時間を潰すって優勝を狙うチームとしてそれで良いのか?という気も・・・ 梅崎がいないとエジ独りではコーナーでのボールキープはしんどそう・・・
勝つには勝ちましたが、磐田のしょぼい攻撃力に助けられたような感じも。磐田は仙台から萬代を獲得しましたが、とてもJ1レベルとは言い難く90分間ほとんど仕事できず。さらに劣勢に陥って投入されるのが名波・中山の両ベテランって人材不足も甚だしいような・・・ 同点に追いつかれた時点で名波を入れてゲームを落ち着かせるのはありだと思いますが、交代時期を完全に逸しました。しかも負けているのに中山を入れてファンサービスとは意味不明。
いったん劣勢に陥ると建て直しが効かないのは神戸vs磐田戦でも見受けられましたが、この試合も御多聞に漏れずといったところでしょうか?
浦和は浦和でエジ・高原の2トップが機能せず、腰痛持ちの永井が離脱すると攻撃力が激減する不安材料を抱えた状態。ポンテ復帰まで永井の好調が持続することを祈るしかないようです。
またこの日は磐田のCBがアレなんで闘莉王大作戦がものの見事に炸裂しましたが、CBが強い鹿島クラスになると当然ながら別の打開策が必要になります。達也が戻るまで梅崎を切り札として温存し、不調の暢久や高原で前半時間つぶしするしかないのかもしれませんね。
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