お裁きを待つ身で申すのもなんですが
いまやお白洲に跪いてお裁きを待つだけの身としてあれこれ申すのは気がひけますが、スポニチ(08.05.23)から。
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不祥事が相次ぐJリーグは22日、東京・本郷のJFAハウスでJ1とJ2の臨時合同実行委員会を開催。Jリーグ規約にクラブや選手への制裁を明確にする内規を新設することを決定した。内規はJ1が再開する6月28日までにまとめる予定で、鬼武健二チェアマン(68)は前例がない無観客試合や勝ち点はく奪の処分も加える方針を示した。
(中略)
実行委員会では、Jリーグ規約にある「制裁」を細分化するため内規を加えることが決まった。具体的には(1)スタジアムのセキュリティーに関して(2)道路交通法など法令の違反に関して(3)レフェリー、選手に対する異議、侮辱行為に関して――の3点。それぞれ違反の度合いによって、出場停止の期間、制裁金の額などを明確化する。
(後略)
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Jリーグ規約をお裁きを受ける身になって改めて読み返してみると、確かに「制裁」に関しては実にいい加減な規約なんですな。Jリーグ規約では制裁の基本根拠を
第148条〔チェアマンによる制裁および調査〕
チェアマンは,JクラブまたはJクラブに所属する個人(選手,監督,コーチ,役員その他の関係者を含む.以下同じ)が,本規約または本規約に付随する諸規程に違反したときは,制裁を科すことができる.
とし、制裁の種類を第149条に定めてありますが(クラブに課す制裁としては譴責、制裁金、勝点減、出場権剥奪、除名の5種類。無観客試合はないんですね・・・)、どういうケースにどの制裁を科すかについては、
第150条〔裁定委員会への諮問〕
チェアマンは,前2条による制裁の種類および内容に関し裁定委員会に諮問し,その答申に基づき制裁を決定する.
とあるだけ。要するに罪刑法定主義もへったくれもなくて、裁定委員会様が「閻魔大王」として君臨しています。
但し、規約第157条~162条になぜか制裁金の運営要領だけが詳細に記されていますが、これは当該条文に定められた違反行為については制裁金のみとし、勝点減等より重い制裁を科さない趣旨なのかどうかは判然としません。実際のところは「勝点減、出場権剥奪、除名」といった重大な処分を科す予定がなかったのでその運営規程がごっそり抜けていたのでしょう。
また現在の制裁金の運営要領(第157条~161条)はJリーグ規約違反に対するものがほとんどで、あとは第162条に刑罰法規違反の場合が定められているだけなので、道交法違反等様々なケースを想定して明文化するという趣旨かと。
従って今回鬼武椅子男が「クラブや選手への制裁を明確にする内規を新設することを決定」したのは当たり前と言えば当たり前のことで、特段評価に値する話ではありません。まぁあれこれと制裁を検討しないといけないような事態が生じてしまったのが残念と言えば残念ですが。
で、「Jリーグ存亡の危機」との仰せですが、スポンサー探しが難航したり、地上波中継がほとんどなくなってしまったりと不祥事があろうとなかろうと元々「Jリーグ存亡の危機」なんであって、罰則規定の強化・明文化よりもJリーグの魅力度向上こそ椅子男が力を入れるべき施策なんじゃないかと。審判の質的向上もその施策の一環じゃないでしょうか・・・(まぁ先日のCL決勝を見ているとスローインの判断ミスなんてあのレベルでもしょっちゅうあることはよく判りましたが)
ああ、一介の容疑者が出すぎたマネをして申し訳ありませんm(._.)m
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