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2008.07.28

【観戦記】鹿島 1-1 浦和

 一部サポーターとの対談をきっかけにスタメン及び選手配置を見直すという、もはや誰が監督であるかすら判らなくなってしまうほど混迷を極めた浦和。机上論としてはようやくまともなスタメン・選手配置となったものの、残念ながらほとんどぶっつけ本番なのが災いして連携不足は否めず。前半はチームの完成度の差が如実に表れて浦和は劣勢。長い雷雨中断を経て、再開直後に小笠原にゴールを決められてしまいました。

 そのままズルズルと敗戦かと思われましたが、後半やおら前に出始めた浦和が鹿島を次第に押し込み始め、セカンドボールを拾い捲って両サイドから猛攻撃。攻撃のバリエーションの少なさ、クロスの質に問題があるのは丸判りながら、サイド攻撃がかろうじて実を結んで達也が同点弾。試合は引き分けに終わったものの、浦和の選手及びファン・サポーターの士気を高揚させるには十分な試合内容で、試合後には長らく封印されていた"We are REDS!"コールも。

 トップ下に起用された永井が全く機能しなかったのは誤算で、阿部&啓太の負担は相当大きかったでしょうが、それでもようやくまともに動けるボランチが揃って浦和が尻上がりに調子を上げたこと。闘莉王が攻撃参加を自重したのが奏功して、鹿島に追加点を与えなかったこと。最後に投入されたセルが目覚しい働きで、今後の攻撃の切り札として期待できそうなこと。浦和がどん底を脱せそうな明るい兆しがいくつかあって、引き分けに終わったとはいえ先行き希望の持てる試合だと思います。

 浦和が好調なら後半一気に逆転できたでしょうし、鹿島が好調なら浦和の攻撃をいなしてカウンターで追加点を取っていたでしょう。そのどちらもなかった結果、今年のJリーグは大混戦に。チームの完成度は鹿島のほうが高いのは明白でしたが、その鹿島も手が届かないほど強いわけではないようで、暫く根競べが続きそうです。

20080727kashima1

---達也--高原---
-----永井-----
相馬-阿部--啓太-平川
-堀之内-闘莉王-坪井-
-----都築-----

62分:相馬→梅崎
73分:高原→エジミウソン
77分:永井→エスクデロ

--マルキ---興梠--
--ダニーロ-----本山-
---青木--小笠原--
新井場-大岩-岩政-中後
-----曽ヶ端----

76分:ダニーロ→中田
82分:興梠→マルシーニョ
88分:本山→野沢

 まるで勝ったかのような高揚感で試合を終えましたが、前半はお粗末でした。例によってサイドでボールを持たれた時の対応に問題がありすぎ。SB、特に新井場が前方に進出してくると誰が応対するのか依然として判然としないようで、その度に浦和のマークが混乱。鹿島のパス&ゴーの連続に浦和は翻弄され、サイドに付けば中央が空き、中央をケアすればサイドから中へ切り込まれると散々。見るに見かねたのか、達也が新井場を追いかけて最終ラインまで守備に回る場面も。その過程で達也がイエローをもらってしまいましたが、最前線で鹿島のDFラインに常にプレッシャーを掛けなければいけない達也をそこまで酷使しちゃいかんでしょう。

 前後半を通じて気になったのは永井の動きが悪いこと。コンディションが良くないのでしょうか。前からプレスを掛けることもなく、かといって攻撃で決定的な仕事をするでもなく。達也が新井場を追いかけるハメになったのは永井のサボりも大きな原因でしょう(平川のミス連発にも参りましたが・・・)。また永井がプレッシングをさぼっているため、小笠原が深い位置ながらどフリーでいる時間が非常に長かったように思います。そして失点は前方に進出してきた小笠原がフリーだったことに起因。シュートレンジの広い小笠原をあんなに泳がしてはいかんでしょう。中断明け直後の失点だったので、得てして集中力の問題に帰せられそうですが、半ば以上中断前から失点が予想されたパターンではなかったかと。

 また堀之内も興梠やポジションチェンジで左へ回ったダニーロへの応対で苦戦。逆サイドの坪井が劇的な復活を見せていたのと対照的でしたが、闘莉王が最後の砦となって追加点を許さず。立ちあがりこそ川崎戦同様簡単に前に釣り出されてしまうこともありましたが、時間が経つにつれて本来の職務感覚を取り戻して最後尾を堅持。劣勢、あるいは逆にイケイケの時間が相当あったにも関わらず攻撃参加を自重したあたり、ある意味闘莉王らしくない好判断でした。

 意外なことに鹿島も案外中盤でくだらないミスを連発。ボールを失った小笠原が後方から高原の喉に手を掛けてイエローを貰った場面が象徴的で、浦和は鹿島のミスを突いて何度かカウンター攻撃を見せましたが、浦和は悲しいほどFWへのフォローが遅い。両FWが単騎攻撃を仕掛けては簡単に潰される場面もしばしば。何とかサイドに持ち出してもそこでは鹿島に数的優位を作られて身動きが取れず。ボランチが加勢して同数になって、パス交換から縦への仕掛けで左サイド中心になんとか形をつくるところまでは行きますが、決定機を作るところまでには至らず。

20080727kashima2

 まぁ目先最適スタメン&ポジションとはいえ、まだまだ付け焼刃感が否めない前半でしたが、後半は一転して浦和ペース。先制されて前へ出るしかなくなった浦和の出足が俄然良くなりました。もともと動いていた達也や阿部はもちろん、他の選手も積極的に前でボールを奪う姿勢を見せ始め、あれだけ劣勢だった中盤の主導権を奪い返すのに成功。好調時の鹿島なら前掛りになった浦和をカウンターで仕留めることくらい朝飯前だったでしょうが、それが奏功しかかった場面はわずか。それどころか前半鉄壁と思われた鹿島のサイドの守備はボロボロになり、浦和の波状攻撃を浴びてしまいました。

 鹿島の両サイドがスカスカになった原因は正直よく判らんのですが、4-2-2-2のフォーメーションでSBを積極的に攻撃参加させる鹿島のスタイルはもともとSBの負担が甚大で、SBの出来にチーム全体のパフォーマンスが左右されがち。内田に代わって右SBに入った中後の力不足は否めないところだし、前半飛ばしまくった新井場は消耗著しい様子で、それらが徐々に鹿島の足を引っ張ったのかも。また彼らをフォローすべき小笠原も90分動き回るタイプではないし(実際後半消えまくり・・・)、前に陣取るダニーロや本山はもともと90分持たない。青木一人じゃいくら不出来な浦和相手とはいえ中盤を支えられんわなぁという感じでしょうか。

 経験豊かなオリベイラなら一転して劣勢に陥った鹿島を選手交代で立て直すことくらい容易だったかもしれませんが、(試合終了後に知ったことですが)オリベイラは愚かにも雷雨中断中に退席処分を食らってしまいました。能力が高いことは確かなのですが、勝てないと審判に言いがかりをつけたり、日程に文句を言ったりと何かと笑いの種になってしまうオリベイラ。まぁその言い分はもっともなこともままありますが、この日はこの退席処分が命取り。奥野コーチが繰り出したダニーロ→中田は何の効果もなし(3ボランチかなと思ったのですが、どう見ても小笠原を前に出して4-2-2-2のままだったような・・・)。

 ゲルトは早々と梅崎を用意。てっきり不甲斐ない永井(一度だけ右サイドから達也へ高精度のクロスを上げましたが・・・)に代えるものと思いましたが、下げたのはなんと相馬。まさに「ゲルトの面目躍如」な交代劇ながら梅崎の爆発に期待が掛かりましたが、梅崎は盛んにドリブルで鹿島DF陣を脅かすものの決定的な仕事はできず、またクロスは直接GKに渡ってしまうことが多くて、わざわざ相馬を代えた意味は見出せず。ゲルトは中後が穴だと思っての交代なんでしょうけどなぁ・・・

 鹿島DF陣の前に沈黙したままの高原(味方のフォローが遅いのは不憫ですが・・・)が太腿を痛めていったんピッチ外へ。なんとかピッチに復帰しようかというところでゲルトがすかさずエジミウソンを投入したもんだから高原は激怒!!! って激怒するほど仕事しとらんがなぁ・・・

 で、浦和のファン・サポーターの99.99%を失意のどん底に突き落とすエジミウソン投入。出来のほどは全く改善した素振りもありませんでしたが、そのエジがナイスアシストを記録してしまうものですから世の中判りません。まぁ同点劇はエジが頑張ったというよりその後に投入されたセルの御蔭というべきでしょうが。高い位置でボールを奪ってそのまま中央へドリブル突進→DFを引きつけてがら空きの右サイドへパス→エジがGKとDFラインの間に高精度のクロス→セルがニアでDFを引きつけて潰れ、ファーの達也がシュート! まさにチャンスメークからフィニッシュまでトップ下として理想的な動き。とかく張り切りすぎのセルですから90分使えるかどうかは怪しいのですが、永井も梅崎もパフォーマンスを落としている現在、セルは切り札として面白い存在になりそうです。

20080727kashima3

 終盤は平川が何度もどフリーになりましたが、最後の最後まで可能性のあるクロスは上がらず。セル投入まで事実上トップ下不在だったことも相まって中央突破というバリエーションを見せることなく(中央でのスイッチでフリーの達也がシュートもGK正面が一度あったくらいか)、精度に乏しいサイド攻撃に固執しては中央で跳ね返されるという、一歩間違えれば大分戦同様の惨敗を喫するところでしたが、大分戦と違って選手個々人に闘う意思がはっきりと見てとれたのがこの試合の何よりの収穫でした。

 チームの完成度を見れば完敗を喫しても不思議はない、実際前半そうなりかかった試合でしたが、それを引き分けにまで持ち込んだのは浦和の闘う意思であり、逆に言えば鹿島は首位の余裕なのか勝利への拘りがあまり感じられなかった。青臭い精神論に帰着してしまいましたが、そういう試合だったかと思います。

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