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2008.10.23

【観戦記】ACL準決勝第2戦:浦和 1-3 G大阪

20081022acl1

 神戸戦の惨劇からすれば1-3の負けであってもよくやったというべき試合でした。少なくとも選手達は十二分に闘っていたと思います。痛みをこらえながらプレーを続ける闘莉王・阿部、急遽スタメン起用された堤、前線からしつこくボールを追いまわす高原。この敗戦を選手の責めに帰することはできないでしょう。

 しかし個々人がいくらベストを尽くしてもそれだけでは勝てないのがフットボール。選手どうしが共通のイメージを持って連動して動くチームにはまず勝てません。結果は文字通りの完敗でした。神戸戦で衝撃を受けたばかりなので、完敗にも関わらず帰路の心境は実にさばさばとしたもの。優勢だった前半に2点目を取って、ようやく勝負になったかどうかというくらい実力差がありました。

 後半早々と同点に追いつかれて第1戦のアドヴァンテージを失ってから浦和の攻撃は早々と手詰まりに陥ってしまいましたが、優勢だった前半から見え隠れしていた前線へのサポートの遅さが運動量の低下と共により顕著になった結果でしょう。この日の浦和は早めにFWへ放り込んでG大阪DFラインの裏を狙わせる攻撃が目立ちましたが、せっかくFWがDFライン裏に抜け出てもそのサポートがないのでたちまち攻撃終了。特になんとか個人で打開を図ろうとする高原が気の毒でした。

 それでも前半はセットプレーのチャンスを何度か掴み、その一つを高原のゴールに結びつけたのですから悪くはなかったのですが、後半は文字通り手も足も出ませんでした。ポンテは神戸戦と比べると格段にマシではありましたが、やはり全盛期にはほど遠くて決定的な仕事はできず。また浦和の両サイドからのクロスは簡単にG大阪DF陣に跳ね返されてしまいましたし、闘莉王は足の状態が試合中に悪化したのか、攻撃参加を自重気味。これじゃ点は入りません。

 逆転されてゲルトは錯乱したのか、堤に代えて達也を投入するも自軍が混乱しただけで、スカスカになった中盤を崩されてたちまち3点目を取られ事実上試合終了。まだ残り15分あるのに席を立つ観客が目立ち始めたのもむべなるかな。平川→永井の悪あがきも何の効果も見せ場もなく、浦和の08年ACLは予定調和のごとくあっけない幕切れとなりました。

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---高原--エジ---
-----ポンテ----
堤--阿部--暢久-平川
-堀之内-闘莉王-坪井-
-----山岸-----

76分:堤→達也
81分:平川→永井

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---ロニー---ルーカス---
-遠藤------二川-
---橋本--明神---
安田-山口--中澤-加地
-----藤ヶ谷----

HT:ロニー→佐々木
71分:安田→山崎
90分:ルーカス→播戸

 アウェーゴールのアドヴァンテージがある上に先制点まで上げたのですから、昨年までの浦和であれば必勝の展開だったはず。しかし、それを守りきれないどころか3失点も喰らってしまってはお話になりません。昨年と比べて激増した失点。CBないしボランチの補強を怠り、しかも啓太が長期離脱後パフォーマンスが上がらず、組織性はないけれども個の力でなんとか相手を封じていた浦和の守備は今年あっけなく崩壊。勝負強さのベースになるはずの守備がこの惨状では勝ち進むのは非常に難しいといわざるを得ません。

 西野はもともと後半勝負の作戦だったのでしょうか? G大阪の前半は慎重というよりも消極的とさえ言ってよいくらいの出来でしたが、何の役にも立っていないFWロニーを下げて佐々木を右SHに投入してルーカス1トップで中盤を厚くし、試合の主導権を奪い返したのは見事でした。1.5列目みたいなところにいる遠藤への対応があいまいなのはすぐに判りました。1トップ、あるいは3トップ気味に来る相手への対応は相変わらずのゲルトの無策ぶり・・・ そしてCKから山口の同点弾。G大阪戦では華麗なパス回しでものの見事に崩されて失点するよりも、むしろセットプレーで点を取られている気がしてなりませんが、よりによって最も気をつけないといけない山口がどフリーですか・・・

 さらに安田に代えて山崎投入直後のCKからの失点。これって相手の選手交代でマークがあいまいになってしまったという奴なのかなぁ・・・

 後半に入って両サイドを崩され気味になりながら浦和はなんとか踏ん張っていましたが、セットプレーでの2失点は誤算。さらに件の堤→達也という自殺的な采配でスカスカの中盤をあっさり崩されてまた失点。

 同点に追いつかれた時点で手詰まりに陥っている状況を打開すべく、キレがないエジに代えて達也なり永井なりを投入すると思ったのですが(っちゅーか、あれだけDFラインの裏狙いを続けるならエジ&高原の2トップという選択自体が間違ってますわ)、そこでゲルトが傍観したのが敗因でしょうな。まぁその時点でエジ→達也とか、堤→永井であっても今の浦和では苦戦は免れないでしょうが、せめて納得感だけは残して欲しかったもの。

 まだ天皇杯が残っていますが、短期間のトーナメントを闘うだけの勢いが浦和にないどころかただいま絶不調。この日の敗戦をもって事実上浦和の08年の闘いは終わり。もはや本気でACL出場権獲得とか天皇杯だとかを狙うのなら、少なくとも暫定監督を据えて文字通りカンフル剤を打つしかないでしょう。

 開幕時には想像もしなかった敗北感・絶望感に打ちひしがれる日々ですが、浦和がなくなってしまうわけではありません。

 廃墟と化し、灰燼と化したかのような浦和に再建の槌音を響かせるのが我が努めと信じて明日を過ごしてゆく所存です。

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