フィンケ会見に思う(4・了)
(フィンケ会見に思う(3)から続く)
■クラブに対して監督としてこれだけは譲れないというものがあるか?
譲れないものとしては、コーチングスタッフの質やマネージメントなどいろいろありますが、一番は、インサイド、つまりクラブ内のチームスピリットです。結果を残すために私が重要視してきたものです。例えば、私が選手の一人と話し合いをしたときにその内容が次の日の新聞で載ってしまっている。選手が私と話したことをすべて話してしまった。それはお互いの信頼関係に響きますし、結果にも影響してしまうことがあります。ですから、クラブ内で話したこと、選手と内々に話したことを外に漏らさないようにするということが重要だと考えています。ただ、ジャーナリストの皆さんはいろいろなことを知りたいと思いますので、質問していただければ可能な限りお答えしたいと思います」
■SCフライブルクで16年間、チームスピリットを保つことは大変だったと思うが、何が重要?
フィンケ監督「保つことは確かに大変ですが、可能なことです。重要なのはチームが一つの方向を向いて進んでいくことです。その道は広いこともあるが、ときどき狭くなることもある。でも、進む道は同じ方向を向いているということ。クラブ内では衝突や意見の相違というのは必ず出てくると思いますが、私は調和を大切にする人間ではないので、意見を戦わせてその後に意見が正しくないと思えば譲歩しますし、そういった戦いを経て、浦和レッズはいい方向に進むと思います。同じ方向に向かって進めば必ずいい方向に進むと思います」
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監督がクラブに突きつけた最後の一線=「クラブ内のチームスピリット」「チームが一つの方向を向いて進んでいくこと」。これを浦和が保てるかどうか。
昨年来浦和はバラバラで、選手は不満をマスコミに漏らし放題。スタッフはスタッフで好き勝手にちびちびと仲良しの記者に情報を漏らし、獲得に動いている選手の名前が早々とだだ漏れになって既存選手の不満を昂じさせる始末。そして最大の失態は社長が「最後までゲルト支持」と公言しながらフィンケ招聘運動が公然のものとなり、しかもその後もゲルトを解任もせずに放置したこと。もう情報管理も、方向性の一致もへったくれもありません。
フィンケがこの浦和の問題にいち早く気づいたのは、おそらくオジェックの助言でしょうな。選手をコントロールしきれないオジェックにも問題がないとは言いませんが、選手の増長を許し、そして最後は監督を叩き切った浦和フロントへの恨みつらみがフィンケに吹き込まれたかも。
フィンケは「調和を大切にする人間ではない」と公言するくらいですし、そもそもサッカーの方向性がこれまでとかなり異なる様子なので、戸惑う選手・反感を抱く選手も少なくないでしょう。残念ながらスタメンを外される選手も出てくるかもしれません。しかし、そこで浦和がまたしても自壊するような気配-特に一部主力選手の放言-があるようなら、今度こそ「泣いて馬謖を斬る」厳しい処分が下されることと思います。ここで処分を躊躇うようだとフィンケが浦和に幻滅して早々と辞任する可能性があります。
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■実績のある選手が浦和には多いが、どの観点で先発メンバーを選ぶか?
フィンケ監督「非常にいい質問だと思います。選手の満足感や監督とジャーナリストとの間での衝突にも関わってくるテーマだと思います。私が選手を選ぶときの基準は、チームの中で11人のベストな選手を選ぶのではなくて、ピッチの上で一番結果をよく残せる11人を選びます。ですので、優れたプレーヤーでもベンチに座る可能性はあります。なぜなら、布陣の中でその選手が共に連動していい動きができなければ、メンバーに入れても無意味だからです」
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「実績のある選手が浦和には多い」って、リーグ7位&ナビスコ予選敗退&天皇杯5回戦敗退のクラブの選手にもはや実績もなにもないと思うんですが・・・
ギドもオジェックも怪我人が出ない限りスタメン固定。大崩れはしないものの、疲労困憊で動けない選手が続出し、結局走り負けで勝ち点を失てしまう試合も少なくありませんでした。戦術的要素が希薄で、個々人の能力に頼りきるサッカーの限界がそこにありました。
ゲルトは前2者とは異なりスタメンもフォーメーションも頻繁に変更しましたが、なぜかどう見ても調子が良くない選手に限ってスタメン固定で、「スタメン確約契約」でも結んでいるのではと勘ぐられる始末。こちらは選手選考の基準がまるで見えず、その点だけを取れば前2者より酷かったと思います。
久しぶりに個々人の能力ではなく、システムとの親和性、そしてその場の調子の良さを重視してスタメンを選ぶ監督が来たようです。「名前」でスタメンを確保してきた選手には非常に厳しい監督が。
ただスタメンをしばしば変更する際の弊害として、初期には連勝が難しいでしょうなぁ・・・
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