伊予路(7)
(伊予路(6)から続く)
以前日経で「八幡浜のちゃんぽん」が採り上げられていたのを思い出して、松山へ戻る途中にちょっと途中下車。八幡浜(やわたはま)は四国の西端。豊予海峡を挟んで大分と向かい合う港町です。
ちゃんぽんの本場長崎とは遠く離れた八幡浜に、しかも周辺の街には全く広がらずにぽつーんと八幡浜にちゃんぽん文化圏がある理由は全くの謎ですが、三方を山に囲まれた港町にちゃんぽん店が集中立地しています。
日曜の昼というのに人気がまったくないアーケード街。空洞化の極みみたいな街です。
アーケード街とはちょっと外れたところにちゃんぽんの老舗「丸山」がありました。
早速ちゃんぽん(550円)と小ライス(100円)を注文。店ではこれを「ちゃん定」と呼んでいるようです。店内はテーブルが3卓と小上がりがある程度。さほど広い店ではありません。先客に地元の家族連れとJR四国関連会社の方々。
八幡浜のちゃんぽんが長崎のそれと全く違うところはスープがとんこつベースではないところ。店によって多少違うのかもしれませんが、丸山のは鶏がらベースにちょっと魚介系が入り混じったような、濃い目の醤油ラーメンのそれに良く似たスープでした。しかし、丸くて太目でしかもコシが強目のストレート麺ですとか、具にあんかけのもやしやきくらげ、キャベツ、にんじん、そして細切れ豚肉が多めに入っているといったあたりは確かにちゃんぽん風。大き目のじゃこ天やかまぼこが入っているあたりが八幡浜のオリジナリティーなんでしょうか。
値段からある程度類推できるようにちゃんぽんの割にはさほど量が多くありません。従って空腹時には大盛りにするか、小ライスを付けるのが妥当だと思いますが、写真でも判るようにちゃんぽんの割には具が少ないのも難点。従ってライスを付けても具だけではおかずが足らず、最後はスープを飲みながらご飯を押し込むような按配になってしまいました。
総じてあっさりした味わいで、ちゃんぽんを食ったというよりは太麺の醤油ラーメンを食ったに近い食後感ですが、まぁこういうのも悪くないかと思います。
心配事とすれば、この「八幡浜ちゃんぽん」にインスパイアされたとか称して、本場長崎が「和風ちゃんぽん」としてパクって売り出すんじゃないかと。あのとんこつ臭が苦手でちゃんぽんが嫌いな客もいるでしょうから、品揃えの一環として「和風ちゃんぽん」を置くところが出てきてもおかしくないような・・・
まぁこちらの心配事のほうは相乗効果で元祖「和風ちゃんぽん」の八幡浜が有名になればそれでいいようにも思いますが、もう一つの心配事はより現実的で、それはちゃんぽん店の郊外移転。冒頭述べたように八幡浜の商店街は空洞化を通り越してもはや壊滅状態。従って現在は商店街に散在しているちゃんぽん店が有名になって客足が伸びるとともに駐車場が確保しやすい郊外に移転してしまう事態は十分考えられます。佐野みたいな街になっちゃうと悲しいですね。
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