【観戦記】09年第1節:鹿島 2-0 浦和
日暮れて道遠し。
やろうとしていることはおぼろげながら見えているものの、焦点が合っていないどころか像を形作ってすらいない。そんなところでしょうか。
フィンケが理想とするパスサッカー。十二分なトレーニング期間があったとはいえ、やはり2ヵ月かそこらで鹿島相手に通用するレベルに到達するわけがなく、攻守にわたって課題山積であることを見せつけられた試合でした。この調子だと6月の中断期間くらいまで相当辛い時期が続くかもしれません。
立ち上がりこそいきなり鹿島の左サイドを2度破って先行きに大いに期待を持たせましたが、後は終始鹿島の手のひらの上で踊っていた印象。鹿島は前半やや引き気味に構えて浦和の様子を伺いながらカウンター狙い。後半は中盤の圧力を高めて浦和の中盤を寸断。
2失点がいずれもセットプレーの浦和チャンスからカウンターを喰らったもので、しかも同じように左サイドをマルキーニョスに破られるというお恥ずかしいものでした。これらってパスサッカーへの転換とは何の関係もなく、単なる攻守の切り替えの遅さという数年来引きずっている問題そのものなんですが、それ以外にも中盤でのバスミスやボールロストから何度か大ピンチを招いていますのでよく2失点で済んだと思います。
攻めては最後までパス交換で鹿島DF陣を崩すことができず、2点ビハインドになってからは司令塔然とプレーするポンテと達也の単騎ドリブル突破、そしてセットプレーと昨年までの残り香がプンプンする攻撃になってしまったように窺えました。流れの中からでは後半の阿部のミドルシュートが最も可能性があったかなぁ・・・
比較的マシだった前半もボールを回している時間こそ長いのですが、決定的なパスが出せません。前半の鹿島は中盤でプレスを掛けてボールを取れなければ、徐々にラインを下げてスペースを潰す策に出ていたように見えましたが、浦和はそのDFラインの前でボールを繋いでいるだけ。リズムに緩急がなく、しかも概してパスが緩いのが気になりました。まぁこの辺りが熟成度の低さを物語っているのでしょう。
鹿島は達也だけ2人掛りでマークしておけば十分。さすがの達也も複数人を交わせるほどスペールではなく、相方の高原、そして後半投入されたエジも昨年と大差ない出来に終わってしまって残念。
スタメンに抜擢された原口は立ち上がりに右からのクロスをダイレクトでシュートを撃って華々しいスタートを切りましたが、その後は窮屈そうなプレーぶりで、左SBの平川共々沈黙。一応形にはなっている右サイドとは対照的に左サイドは終始細かいパスを回すだけに終わっていたような・・・
見かねたフィンケは2点ビハインドになってから、エジ、そしてなんと暢久を左SBに起用して打開を図りましたが、これまたほとんど機能せず。終盤セルを入れるとパスサッカーの片鱗すら見られないようになり、さしたる見せ場なく試合終了。FWやSHが盛んにポジションチェンジしていましたが、鹿島は混乱せずに自軍だけが混乱していたような・・・
後半は運動量が落ちて逆に鹿島にボールを回されるようになり、しかもパスミスやボールロストも増えてしまいました。ポンテや阿部がありえないミスするとたちまち大ピンチ。
闘莉王大作戦をロスタイムまで封印したこともあって竜頭蛇尾な試合内容といって差し支えありませんが、それでも今季やろうとすることの片鱗を窺えただけでこの試合はよしとせざるを得ないでしょう。
選手個々人を振り返れば、啓太がかなり良い状態を取り戻しているのを確認できたのは収穫でした。
新しい旅の始まりは飛行機でもなく、新幹線でもなく、各駅停車。しかも旧式の気動車。キハ40みたいな(笑)。
でも旅は確実に始まっています。そして目標ははるか彼方だけれども間違いなく前進しています。来週は前進スピードが加速している姿が見られると祈るばかりです。
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【浦和】
---高原--達也---
原口---ポンテ----
---啓太--阿部---
平川-闘莉王-坪井-細貝
-----都築-----
ポンテは右SHというより中央に近いポジション取りでまさに司令塔然。空いたスペースに盛んに細貝が進出。達也も絡んで鹿島左サイドを攻撃し、クロスを高原が中央で囮になってファーの原口へというのが一つの攻撃パターンでしたが、残念ながら決定機には至らず。細貝の代わりにボランチのどちらかがサイドに流れても良さそうなものですが、そうした場面はあまり見られず。
57分:原口→エジ
57分:平川→暢久
---高原--達也---
-----ポンテ--エジ
---啓太--阿部---
暢久-闘莉王-坪井-細貝
-----都築-----
暢久の左SBは非公開試合で練習していたのかなぁ?堤・アレックスはリハビリ中。野田は遠征帯同すら叶わない状態で、まさに窮余の一策としかいいようがありませんが、SBの人材不足をフィンケはどう解消してゆくのでしょうか?
エジは最初左SHに投入されましたが、ほどなく右へ。そして達也と頻繁にポジションチェンジ。
75分:高原→セル
---エジ--達也---
-----ポンテ--セル
---啓太--阿部---
暢久-闘莉王-坪井-細貝
-----都築-----
セルはドリブルで仕掛けるばかりでパスサッカーもへったくれもなかったように見受けられましたが・・・
【鹿島】
---興梠--マルキ--
ダニロ-------野沢
---青木--本山---
新井-伊野波-岩政-内田
-----曽ヶ端----
80分:興梠→田代
83分:野沢→増田
86分:ダニーロ→小笠原
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