【観戦記】09年第5節:名古屋 0-1 浦和
昨年再三苦杯を舐めさせられた名古屋。厳しい試合になると予想されましたが、名古屋はやはりACLのダメージが抜けないのか概して動きが悪く、浦和が後半半ばまで中盤をほぼ制圧。得点は原口の1点に留まりましたが、それ以外にも決定的なチャンスは何度かあり、相手のGKが楢崎でなければもう1、2点入っていてもおかしくない展開。守っては後半半ば以降の名古屋の反撃をほぼ完全に防ぎ、1-0という点差以上の完勝だったと思います。
中盤で名古屋を制圧。相手の出来に疑問符がつくとはいえ、緒戦鹿島以来の手強い相手と目された名古屋に浦和が自分の持ち味を存分に出し、かつ相手の持ち味を出させなかったのは選手達にとって大きな自信になったことでしょう。
試合を見る上で予習していたことが随分参考になりました。前半名古屋のFWやSHは積極的に前からチェースしてきますが、CHはそれほどプレスをかけてこないので、浦和はDFが慌てさえしなければ比較的簡単に名古屋のチェーシングをいなして(といっても何度か怪しげな場面はありましたが)、ショートパスを繋ぎながらボールを前に運べます。
前目でボールが取れない名古屋はDFラインをズルズル下げて守備。当然名古屋DFライン裏にはスペースなんてほとんどありませんから攻略は難儀なんですが、名古屋はバイタルエリアの守備が甘い(っちゅーか両CHは何をやっているんだという気も・・・)ので浦和はDFラインの前からシュート。残念ながらこのパターンでの得点はありませんでしたが、ベタ引きになった相手の攻略は大分戦と比べても一段と進歩しているように思いました。
優勢ながらもなかなか先取点が取れなかった前半、セットプレーからの流れで最前線にいた闘莉王の落としが効いて、エジが繋いで前半途中投入の原口が先制。原口のシュートコースがぽっかり空いていて狙い済ましたかのような綺麗なゴールでした。
後半に入ってもなお浦和優勢。パス交換でエリア内に突入したポンテのシュートは9分9厘決まると思いましたが、楢崎に当たってしまいゴールならず。後半も半ば過ぎになると浦和の運動量が落ちてボールを繋げなくなり、チャンスはカウンターのみになってしまいましたが、達也のアクシデントで一人余分に選手交代を強いられ、前目の選手を入れ替えて再活性化を図るのが難しい以上やむを得ないでしょう。カウンターからエジが独走した絶好機は決めたかったけどね。でもエジは守備面での貢献が非常に大きいので点が取れなくても非難には値しません。
攻撃面もさることながら、この日良かったと思ったのは浦和の守備。昨年名古屋にボコボコにやられたわけですが、終わってみればピンチらしいピンチは1,2回くらい。名古屋ご自慢のサイド攻撃は完全に不発。いやぁ、監督が代わって半年足らず。変われば変わるものです。
名古屋のSBが攻撃体勢に入ると浦和はFWがすかさずチェース。どう見ても守備が上手そうには見えない原口も深い位置まで懸命に追います。ここで防げずにSBの前方進出を許しても、名古屋のSB・SHには浦和のSB・CHが対峙して少なくとも同数を確保(サイドでアホほど数的優位を作られた昨年とは隔世の感・・・)。名古屋がサイドでまごまごしていると浦和のSHがやってきて往々にして3人がかりでボール奪取。前半はそういう場面が多かったように思います。
劣勢の名古屋。ピクシーは何を思ったのか、後半頭から玉田に代えて杉本を投入。スピードしかない杉本をそんなに早い時間帯に入れて何がしたかったのか不明(あとで聞くところによれば玉田は練習中に負傷していたとのこと。)ですが、強いて合理的な理由をあげるとすればコンビネーションでサイドを崩すのが難しかったので、個人能力で突破を図ったのかも。実際後半は杉本やマギヌンが単騎突破を図る場面が目立ちだし、一度左サイドからダヴィにクロスが通ってあわやという場面を作られ、さらに1対1の守備に難があるアレックスがイエローを頂戴するに至りました。
従ってピクシーの狙いは全くの的外れではなかったのでしょうが、そこでフィンケはすかさずアレックスを下げて細貝を左SBに投入。細貝はSBとしての攻撃能力は課題山積ですが、守備に専念させれば何の問題もありません。この絶妙なパッチワークにより名古屋の右サイド攻撃は事実上終了。っちゅーか、ロングボールでサイドの選手を単騎むりやり走らせるってなんだか昨年までの浦和臭漂う攻撃。っちゅーか、名古屋の美学ってこの日はどこにも見出せなかったような・・・
サイド攻撃が完全に行き詰まった名古屋に残された道はダヴィ頼みの○サッカー。サイドを崩しかけてもクロスは全部弾き返され、巻を投入して早々とパワープレーを試みましたが、闘莉王を擁する浦和守備陣にパワープレーが通用するはずがありません。名古屋はロスタイムのダヴィのシュートが惜しかった(といっても枠を大きく外れていますが)くらいでいいところなく敗戦。サブに劣勢の局面を打開できる選手が名古屋には一人もいないことが露呈した感のある試合でもありました。
浦和の課題は今季イエローカードが非常に多いことでしょう。終始前掛りなのでカウンターを喰らいやすく、抜け出されかかった相手をイエロー覚悟で止めざるを得ない場面が多いからかと思いますが、この調子だとリーグ終盤は主力を欠きまくるかもしれません。もっともそこで今のベンチメンバー、あるいはサテライトのメンバーが奮起してくれれば何の問題もないのですが。
---達也--エジ---
直輝-------ポンテ
---啓太--阿部---
アレ-闘莉王-坪井-暢久
-----都築-----
22分:達也→原口
50分:アレ→細貝
83分:ポンテ→高原
達也は練習時から調子が悪そうで開始早々相手がプレゼントしてくれたビッグチャンスを決められず、そうこうしているうちに負傷でもしたのか早々と交代。
ポンテはなぜか増川に因縁をつけられ、双方エキサイトしてイエローをもらい、2枚目をもらうことを恐れたのか、フィンケがすかさず高原を投入。
まぁ負けているチームが審判に噛み付いたり、下手な芝居をかましたりしながらどんどん時間を浪費してくれるので助かりましたが。
---ダビ--玉田---
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小川-吉村--中村-マギ
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阿部-増川--バギ-田中
-----楢崎-----
HT:玉田→杉本
68分:阿部→巻
68分:吉村→山口
巻投入後は小川がSBに下がるのかと思いましたがその位置は非常に高く、事実上3-4-3だったのかも?
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