【観戦記】09年第8節:清水 2-2 浦和
後半逆転に成功し、セル&堀之内を投入していつもの逃げ切り体勢に入りながら逃げ切りに失敗。悔いが残る試合でしたが、試合内容は千葉戦に続いて芳しくなく、ドローという結果は許容範囲内でしょう。終盤は壮絶なカウンター合戦になって興業的には面白い試合でしたが、浦和は殴り合いに突入するまでボールこそ一方的に支配するものの決定機は僅少だったという意味で課題が多く残された試合だったと思います。
連戦時にフィンケが指向する運動量が要求されるサッカーをどの程度やれるか。当初から懸念された課題を早々と突きつけられた試合だと思います。ベタ引きの清水に対してボールは一方的に支配するもののなかなかシュートに持ち込めず、守っては終盤に中盤の守備が全く効かなくなったあたり、疲労の影響は隠せなかったと。フィンケ監督は「勝っているチームはいじらない」の鉄則に従ったのか、3試合連続同じスタメンで試合に臨みましたが、さすがに無理があったかもしれません。といっても代えが効きそうなのが細貝→アレックスくらいしかいないのが現状でしょうけど。
試合終了後両チームの選手の多くがピッチに倒れ込んでしまいました。浦和について言えば、走り負けて惨敗したのに試合終了後スタスタ帰る選手の姿を過去嫌ほど見てきただけに、ピッチに倒れこむ姿が実に新鮮でした。
---原口--エジ---
直輝-------ポンテ
---啓太--阿部---
細貝-闘莉王-坪井-暢久
-----都築-----
78分:原口→セル
80分:直輝→堀之内
---四千---原---
-----枝村-----
-山本真-伊東-パウロ-
児玉-岩下--青山-市川
-----西部-----
55分:原→岡崎
74分:枝村→永井
82分:市川→辻尾
連勝中の浦和が同一スタメンだったのに対し、清水は磐田に大敗し、柏には引き分けたものの苦戦を強いられたこともあってか(おそらくターンオーバーを考える余裕なんてないでしょう・・・)、長谷川監督が前節から大胆にスタメンをいじってきました。藤本・本田を下げて伊東・パウロと中盤の面子を入れかえたのはともかく、これまで清水の全得点(といっても4点ですが)を叩き出している岡崎をベンチスタートにしたところを見ると(岡崎に何かアクシデントでもなければ)明らかに浦和の運動量が落ちる後半勝負。
終盤殴り合いになって清水が点を取りましたから長谷川監督の狙いが的中したともいえますが、後半早々の岡崎投入自体は大して奏功せず、あろうことか2点取られて後半逆転を許しているのですからゲームプランどおりだったわけでもなく。
ただ長谷川監督の狙いは徹底していました。今年の清水の中盤はボックス型で4-2-2-2のフォーメーションのはずですが、この日はどう見ても3ボランチの4-3-1-2。しかも前線や中盤でむやみにボールを取りに行かず、リトリートして相手にスペースを与えないようにしながら守備固め。悪くいえば「プライドを捨ててホームで勝ち点1を拾いに行く」ような試合運びに徹してきました。闘莉王が原を引っ掛けてPKを取られて、清水が存外の先制点を得たこともあって清水は一層極端に守備シフト。
この「橙壁」の前で浦和は一方的にボールを回すものの、いつもよりも心なしか運動量が少ないのと、パスの精度に狂いが生じていることもあって、前半決定機を作るどころかシュートすら撃てず。サイドから中央に戻して直輝がボールを持ったあたりでは徹底的に潰されました。そのためかポンテがボールをキープして周囲を睥睨する場面がいつも以上に多く、なんだか前後半を通じて昨年までのサッカーが顔を覗かせている時間が多かったと思います。
直輝&原口の絡みが左サイドで多いせいか、ベタ引きの清水守備陣は浦和左サイドに惹きつけられる場面が多く、従ってサイドチェンジで一人ポツンと佇んでいる暢久にボールが通れば面白い展開になりそうなものですが、残念ながらこの日の暢久は再三サイドチェンジのボールを受けながらも攻撃でこれといった仕事ができず(周囲のサポートが遅いのもあるでしょうが)。 相手がベタ引きなので両SBの攻撃を期待したいところですが、残念ながら細貝もイマイチ、イマニ。
しかし清水の左SB?のミスを突いて浦和がカウンター気味に攻勢を掛け、清水右サイドを崩してからシュートの跳ね返りをポンテが押し込んでなんとか同点。清水の守備陣形が整っている状態では崩せそうになかっただけに、浦和にとってラッキーな同点劇でした。この得点に阿部が絡んでいますが、清水があれだけべた引きだと阿部が突入するのは至極当然。
同点に追いつかれた清水は後半やや前に出て来始め、その分浦和のチャンスも徐々に増え始めて、カウンターを喰らった際の浦和の戻りが遅くなりだしたと見たのかどうか、長谷川監督は早々と原に代えて岡崎を投入。しかしこの投入は時期尚早だったようで清水はこれといったチャンスを作れないまま。
逆に前半から何度か業を煮やしたかのように攻撃参加していた闘莉王の飛び出しがついに奏功して浦和が逆転に成功。右サイドに飛び出した闘莉王→ポンテ→直輝と繋がって、左サイドから切り込んだ直輝の素晴らしいゴールでした。
その後フィンケはお決まりのように、原口→セル、直輝→堀之内と代えて逃げ切りを図りましたが、残念ながら投入した選手も機能しなければ、全体の運動量も落ちてメロメロ。後半40分過ぎに喫した同点弾はセルが中盤でボールを奪われた後(=千葉戦でも同じミスを犯していますから、今後勝っている展開での起用は難しくなるんじゃ?)に波状攻撃を浴びたものですが、それ以前に細貝が左サイドを抉られて途中投入された永井に決定的な形でヘディングシュートを撃たれていますから遅かれ早かれ同点に追いつかれる運命だったかもしれません。
今年の浦和の守備の強さは中盤でのボール奪取にあって、そもそもGKはおろか最終ラインすら脅かされないことにあるのですから、中盤でボールが取れなくなって最終ラインの前をボールが行き交うようになった時点で多少の失点は覚悟しないといけないのでしょう。
連戦をどう凌ぐか。フィンケ監督はGWの連戦序盤にして大きな宿題を突きつけられたわけですが、それでも勝ち点1をゲット。この教訓を中2日で迎える新潟戦にどう生かすかが見物です。達也が依然復帰できないため、前目の選手をターンオーバーできないのが辛いところですが。
| 固定リンク