【観戦記】09年第6節:浦和 1-0 京都
京都は攻守とも全くいいところなし。浦和は早々とエジが先制した後も後半15分くらいまで一方的に攻め続けて何度か決定機を掴み、京都は後半20分くらいに立て続けにチャンスがあっただけでそれ以外は終始沈黙していましたから、もうちょっと点差がついて文字通り浦和快勝となってしかるべき試合でしたが、またしても浦和は2点目が取れず。
攻撃の形は出来ているし、フィニッシュにも至っているので監督としてはこれ以上手が打ちようが無いのかもしれませんが、微妙に受け手と出し手の呼吸がずれてブレイクしそうでブレイクしない、勝ってはいるがまだまだ完成形にはほど遠い。そういうことなんでしょう。練習あるのみ。
また後半半ば以降のぐだぐだ模様には悪い意味での懐かしさを覚えますが、「動けなくなっても粘り強く凌ぐ」「終盤になったら無理に追加点を狙わずになりふり構わず勝ち点3を取りに行く」というのはフィンケ以前の浦和の遺産。未完成のコンビネーションサッカーとリアリズムとの奇妙な融合が1-0の連続となって表れているのかもしれません。
---原口--エジ---
直輝-------ポンテ
---啓太--阿部---
細貝-闘莉王-坪井-暢久
-----都築-----
58分:原口→高原
86分:阿部→堀之内
89分:ポンテ→セル
-----パウリ----
安藤---デエゴ--渡邉
---佐藤--シジ---
染谷-李---水本-角田
-----水谷-----
HT:パウリーニョ→豊田
HT:安藤→林
62分:シジクレイ→加藤
浦和は達也が負傷欠場して原口がスタメン。前節から左SBをアレに代えて細貝。京都は事前予想通り。
京都は守備が堅いとの前評判でしたが、この試合を見た限りでは限りなくザル。前半京都の中盤のプレスはいたって緩慢(CHに入ったシジクレイは地上戦を仕掛けられると大して役に立ちません・・・残念、そんなシジクレイ)で、浦和にパスを回され放題。京都はそれなりにコンパクトな陣形、それなりに後方に人数をかけてはいるのですが、如何せん肝心の玉際でさっぱり寄せてきません。しかもポンテにプレスが掛かっていないのに京都がDFラインを上げたのは自殺行為で、ポンテの縦パスからエジが李を振り切って早々と先制。その直後にもなぜかエジがファウルを取られてノーゴールになりましたが、縦パス一本で京都DFライン裏を狙う展開が前半何回か見受けられました。
これで京都はびびったのかDFラインを上げられなくなり、ベタ引きで守るしかなくなりました。当然ながらますます浦和のパス回しに翻弄される結果に。基本的にエジが右サイド高い位置、ポンテは中央やや後方にポジションを取っていましたが、直輝と原口が動き回り、京都は浦和の4人を全く掴まえられていない印象。従前のように「浦和の攻撃はポンテを抑えておけばOK!」というものではなくなっているので、守りのポイントを絞りきれずにいる様子。
浦和は敵陣にスペースがないなりに、阿部がミドルシュートを放ったり、両サイドから揺さぶってみたり。暢久はやや攻撃を自重気味でしたが、細貝が盛んに攻撃参加。ただ残念ながら細貝のSBとしての攻撃能力には依然疑問符がつき、攻撃参加がさして効果的でないどころか単に京都にカウンターのチャンスを与えていただけのような・・・ アレックスが怪我明けなので無理使いできず、当面細貝との併用になりそうですが、その間左SBは浦和の「工事現場」のままなのかも。
むしろ暢久のほうが攻撃参加の回数が少ないなりにちゃんとチャンスに繋がっている印象。また暢久が攻撃に絡む回数が少ない代わりといっては何ですが、この試合では前半阿部が再三最前線に顔を出していました。集中を欠いたようなプレーも見受けられて阿部自身の出来はイマイチでしたが、流動的に動く前の4人に阿部や両SBがバランスを取りながらも攻撃に絡んでくればより一層浦和の得点チャンスが増えるものと思われます。
浦和の守備は前半完璧に機能。そもそもボールを取られないので守備機会自体少ないのですが、前線でボールを失ってもすかさず攻守を切り替えて複数人で京都のボールホルダーにプレッシング。京都はなすすべなくボールを取られるか、さもなければ慌ててパウリーニョにボールを出すくらいしか手が無く、しかもパウリーニョに出るボールは坪井や闘莉王に読まれまくりで、両CBがパウリーニョに渡る前に楽々カット。京都の最も怖い攻撃パターン=ディエゴ→パウリーニョは一度も機能することがなく、パウリーニョは哀れにも前半だけで豊田に代えられてしまいました。
後半もなお浦和が優勢。ポンテの浮き玉を受けて原口がエリア内に突入し、胸トラップ&シュートは9分9厘決まったと思いましたが、シュートをGKにぶつけてしまいました。その後も原口は一発際どいシュートを放ったもののわずかに枠を外れ、その直後になぜかフィンケは原口に代えて高原を投入。絶好機を外したものの原口の出来は悪くないどころが上々だったのでこの交代は実に不可思議。後の連戦を考慮したものとしか言いようがありませんが、この交代を機に浦和は急速にぐだぐだモード入り。全体の運動量も落ちてしまったので高原だけを責めるのは酷かもしれませんが、前でボールをキープするでもなく、京都DFラインの裏に抜けるでもなく、簡単に周囲に叩いて潤滑油となるわけでもない高原・・・エジのように高原にも覚醒の時が来るのでしょうか?
後半20分あたりに細貝のミスを機に左サイドを破られて佐藤勇にバー直撃弾を浴びたのを皮切りに3度京都にチャンスを与えましたが、そこを何とか凌ぐとゲームは低レベルでの均衡状態に。後半頭から投入されたトヨクバこと豊田は全く何の役にも立たず。京都のクロスの質もあれですが、多少良いボールが入っても豊田が闘莉王に勝てる見込みが全くない以上、得点の可能性は限りなく低かったかと。京都の収穫は3人目の交代で右SHに入った加藤だけかなぁ・・・
浦和は浦和でボールを満足に繋げなくなり、単に前線に蹴りだす場面が目立つ状態に。後半40分を過ぎると時間稼ぎモード入り。京都の中盤はもはやスカスカなのでカウンターを狙いたそうな選手もいたような気がしましたが、エジはお疲れなのかその目指す方向はゴールではなく左コーナー(笑) 5分もあったロスタイムを潰しに潰してなりふり構わず逃げ切り。最後まで攻撃の手を緩めないバルサへの道は遥か彼方。そんなものをフィンケが目指しているかどうか、定かではありませんが。
2点目を取ってさえいれば後半半ば以降のぐだぐだ模様も安心して眺められますし、3点目が取れれば西澤や林の投入機会もできてなおさら結構なんですが、時折パッパッと点くだけの「直りかけの電球」みたいな浦和に今しばらくお付き合いするしかないのかもしれません。
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