【観戦記】09年第11節 浦和 2-3 川崎
2度先手を取りながら微妙なPKで同点に追いつかれて流れが変わったこともあって後味の良くない試合になってしまいましたが、攻守とも浦和の出来は良くなく、唯一無二の武器であるカウンターを活かしきった川崎の試合であったのは否めないところ。浦和はセットプレー及びその後の流れの中からよくぞ2点ももぎ取ったというべきで、それ以外チャンスらしいチャンスはなし。決定機の数は川崎のほうが圧倒的に多く、贔屓目に見ても浦和は引き分けに持ってゆくのが精一杯だったと思います。
浦和は負傷でポンテを欠き、代わりにセルを入れた他はいつもの面々。体調不良が伝えられた細貝もスタメン出場。
浦和の試合内容はGWの連戦を重ねるごとに悪くなっていましたが、この日はとうとう破断点をブレイクしてしまった模様。川崎は体力的な問題もあってか、無理に中盤でボールを取りに来ないので一応ボールをキープすることはできました。しかし、川崎守備陣を崩しきれないどころかシュートさえ撃てないでいるうちにボールを奪われ、川崎の狙いとするカウンターを喰らう場面がしばしば。まぁ端的にいえば本年緒戦の鹿島戦の内容に立ち戻ってしまいました。
GWの連戦をほぼスタメン固定でここまでやって来ましたから早晩こうなってしまうことは覚悟していましたが、この日非常に残念だったのはポンテの故障でスタメン出場の機会を得たセルがフィンケの目指す「コンビネーションサッカー」を未だ消化しきれていないのが顕かになってしまったこと。
「パス&ゴー」「スペースへの走りこみ」といった直輝が再三繰り返しているプレーをなかなかこなせず、足元でボールをもらってドリブル突破という浦和の旧弊にどっぷり浸かったプレーに終始。守備も実効性があるとはいいがたく、1-1に追いつかれたのは左SBに回った森へのプレスが甚だ緩慢だったことに起因。セルに代わって峻希が投入されてから短かったけれどもボールが回りだした時間帯もあっただけに、セルの地位は非常に厳しいものになりました。
高原は徐々に復調の気配を見せつつあるとはいえ運動量が少ない点ではセルと大差が無く、終盤に投入されたアレックスもやはり動きが悪く、かつ判断が遅い模様。控えの出来を見るとフィンケも無理があると判りつつも戦術理解の進んだ、あるいは物理的に戦術的要求に応えうる限られたメンバーを連続的に起用せざるを得ないのでしょう。
峻希のスローインをエリア内で高原→阿部と繋いで闘莉王がゴール。しかし今度は闘莉王が微妙なPK(帰って画像を見たらPKは妥当でした)を取られて2-2の同点。
川崎戦らしい点の取り合い。あろうことか浦和のほうが先に足が止まって非常に難しい試合になりましたが、ACLで疲弊している川崎も相当消耗しており、終盤チャンスがあるのは間違いないところ。しかし闘莉王は何を思ったのか、2-2に追いつかれた直後に突如最前線に踊りだして「勝手に大作戦」。PKを与えた責任を取りに言ったつもりなんでしょうが、まだ15分以上も時間が残っているのにこれはあまりにも軽率。案の定カウンターを喰らってテセに逆転弾を喰らってしまいました。あのカウンターの場面での川崎の素早い動き出しと、動けなかった浦和。鹿島戦の構図そのものでしたが、そういう状況を浦和、というか闘莉王自ら作り出してしまったのは甚だ遺憾。2-2で我慢して最後の5分に賭けるような試合運びが望まれるところでした。
直輝→アレックスの交代後はサイドからの放り込み一辺倒という昨年のサッカーそのものになってしまい、得点の臭いがしないまま試合終了。
柏戦の2失点に続いてこの試合はとうとう3失点。単純にカウンターを喰らう、あるいは中盤でのプレスが効かずに相手の効果的なパス出しを許すとやられ方に差異はありますが、最終ラインが相手FWに脅かされた時に見せる脆さは4バックの成熟度の低さから来るものかどうか。まぁ今年は最終ラインで跳ね返すのではなく、その前で未然に防ぐのを基本としてますから、前~中盤がダメで攻撃がダメなら守備もダメになるのは当然のなりゆき。
フィンケサッカーが浸透しているメンバーはあまりにも少なく、その疲弊によって攻守ともチームは停滞。稚拙な試合運びも手伝って相手の注文どおりカウンターに嵌って敗戦。チーム立ち上げから半年足らずですから、戦術理解が進んだ選手が少ないのはやむを得ないことなのでしょうが、試合運びのほうはそれなりに経験のある選手が数多くいるのですから非常に勿体無いことです。
-----エジ-----
原口---直輝---セル
---啓太--阿部---
細貝-闘莉王-坪井-暢久
-----都築-----
58分:原口→高原
63分:セル→峻希
86分:直輝→アレックス
--ジュニ--テセ---
尾藤--------中村
---谷口--横山---
村上-寺田--菊地--森
-----川島-----
*4-3-3だったかもしれませんが、ヴィトールの位置が2トップよりも相対的に低く、中村はMFの中では高い位置にいたので4-2-2-2で表記。
23分:寺田→井川
55分:村上→レナチーニョ
--ジュニ--テセ---
尾藤--------レナ
---谷口--中村---
森--菊地--横山-井川
-----川島-----
89分:ジュニーニョ→山岸
| 固定リンク