【観戦記】09年第9節 浦和 1-0 新潟
この試合、スコアレスドローで終るのと勝って終るのとではいぶ印象が違ったかもしれません。
1人少ない相手に万が一スコアレスドローで終ったとすれば、「圧倒的にボールを支配し、サイドを抉るところまでは行くけれども、敵陣を崩す形を持たない浦和」といった印象が強く残ったと思います。しかし幸いにもラストプレーで闘莉王のヘディングゴールが決まって1-0の勝利。従って「浦和のやりたいことは半ば以上成功し、新潟にはやりたいことをほとんどさせなかった素晴らしい試合内容であり、その内容に結果もついてきた」と評して良いかと思います。
もっともその「結果」はフィンケが狙いとするところのコンビネーションによるものではなく、ポンテCK→闘莉王ドッカーン!!! という06~07年に良く見たパターン。同じように終了間際に闘莉王が決勝点を叩き込んだ博多の森の一戦を思い出しました(奇しくも新潟のCB千代反田はこの時福岡在籍。ちょっとフラッシュバックしたかも(笑))ただ当時は試合そのものは見るに耐えないが結果だけはついて来たというもの。この日は試合自体見応えのあるもので、決勝点が結局「個の力」であったとしても決して悲観する必要は無いでしょう。厳しい連戦ですから、必ずしも意図したプロセス通りでなかったとしても勝ち点3を掴むことも大切。
「浦和のやりたいことは半ば以上成功」というのは前から盛んにプレスを掛けてくる相手にも悠々とパスを回してポゼッションを優位に保つことに成功した反面、コンビネーションで相手を崩す場面は少なかったため。清水戦同様疲労の影響もあるかと推量しますが、現在の浦和の到達時点が良く判る試合内容だったと思います。
---原口--エジ---
直輝-------ポンテ
---啓太--阿部---
細貝-闘莉王-坪井-暢久
-----都築-----
54分:原口→高原
70分:直輝→アレックス
ペトロ---大島--矢野-
--松下----丸塩--
-----本間-----
ジウ-永田--千代-内田
-----北野-----
68分:松下→チョ
68分:大島→純マーカス
試合は序盤から浦和ペース。新潟は千葉同様果敢にDFラインを上げて前から強烈にプレスを掛けてきますが、前目でボールを取ることは叶わず。浦和にボールを回されて新潟はDFラインを下げざるを得なくなります。しかも不思議なことに新潟は守備時には4-1-4-1っぽくなっていてサイドに2人いるはずなんですが、新潟右サイドは終始炎上。浦和の頻繁な縦のポジションチェンジ&SBの攻撃参加でサイドに人が付ききれなかった結果かもしれませんが、それでも9分9厘完封に成功しそうだったところからすれば、当初からサイドはある程度捨てて中で徹底的に跳ね返す作戦だったのかもしれません。清水戦もそうでしたが、直輝や原口が中央でボールを持った時は相手は全力で潰しにきます。疲れもあるのか、両者とも相手を交わせずにフィジカル負けしてボールを失い、カウンターの基点となってしまうこともしばしば。
マルシオが愚かにもイエロー2枚で退場になった後はまさにハーフコートゲームの様相を呈し、浦和は何度も両サイドに拠点を作って攻めの形を作りますが、なかなかシュートに持ち込めず。たまに撃つシュートは精度を欠いたり、勢いがなかったり。マルシオ退場後新潟は引き分け已む無しと割り切ってベタ引き&ペトロ頼みのカウンターに徹してきたので非常にやりにくかったとは思いますが、原口と直輝が退いた後は細かいコンビネーションによる崩しらしきものがどんどん無くなってしまい、次第に単純にサイドからクロスを上げるだけに。苦しくなると往々にして「浦和伝統の糞サッカー」に回帰しがちですなぁ・・・ポンテはお疲れでパスミスを連発。新潟のカウンターを誘発する致命的なミスも。
原口→高原は原口のお疲れ以上に、高原にエジと並んで中央に橋頭堡を作る意味があったのではと思ったのですが、高原は終始右サイドでプレー。そこには大抵ポンテがおるんで高原は何の役にも立っていないような・・・ アレックスのクロスの先には大抵エジしかおらず、エジにとって気の毒でした。
浦和は圧倒的にボールは支配するものの決定的な形は作れず、守る新潟は大して怖くなかっただろうなと思うのが正直なところ。「守りきる」と腹を括ってしまった相手をコンビネーションで崩せるほどのアイデアは浦和は持ち合わせていない。今のサッカーに取り込み始めて半年足らずではさすがに難しい注文のようです。
攻撃は釈然としない面も多々ありましたが、守備はほぼ完璧。危なかったのは後半立ち上がりに浦和右サイドを崩され、中央の大島にシュートを撃たれた場面。あとは前半半ばに一瞬フリーにしてしまたマルシオにミドルシュートを撃たれて枠を掠めたくらい。新潟の狙いとする「高い位置でボールを奪ってからのカウンター」を喰らった場面はほとんど無く、カウンターを喰らったとしても攻め込んで新潟DFラインにボールを奪われてから。但し、このパターンでカウンターを喰らってもボールの配球役となるマルシオを潰してしまえばOK。ペトロが何度かドリブルで3,4人を交わす個人技を見せていましたが、あんな低い位置から突っかけてもやがては潰されるだけ。
攻撃が上手くいかないことにいらだってか、マルシオはラフプレーを連発してイエロー2枚で退場。ペトロやマルシオの個人技に脅かされる局面があったものの、概して浦和の守備がいかに良く機能していたかをこの退場劇が象徴していたようにも思いました。
浦和は勝ったとはいえ、またしても1-0。次も中2日ですから目の覚めるような素晴らしいコンビネーションでの崩しというのは期待薄でしょうが、ここは石に齧りつく思いで凌ぎきってもらいたいものです。
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