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2009.08.20

【観戦記】09年第22節:浦和 1-4 柏

 失点するまではそれほど悪くないどころか、今日こそは勝てると思ったんですけどねぇ・・・ 悲しいことに立て続けに2失点を喫すると反発する力に乏しい。そんな連敗中のチームにありがちな穴にはまり込んでしまいました。そしてその穴を広げてしまったのが後半のフィンケの采配だと思います。

 ただ采配云々といった戦術的なこと以前に根本的なところ、浦和が寄って立つべきところがあちこち崩壊しているように見受けられた試合でもありました。

 最も顕著なのは攻守とも選手の離合集散が明らかに好調時より遅くなっていること。攻めては前線で高原がボールをキープしてもフォローがないので、高原がたちまち2人に囲まれて結局ボールロストという場面が何度もありました。

 それ以上に悲惨なのは守備。浦和はポゼッションで優位に立つことを前提にDFラインを浅め、かつ2バック気味に構えることが多いので構造的にカウンターを 喰らいやすいのですが、好調時には相手にボールを取られても素早く攻守を切り替えて複数人で相手を囲い込んでボールを奪い返したり、たとえ奪えなくてもカウンターの基点となるような高精度のフィードを出させなかったりしていたはず。この試合はその守備がだめで、フィンケの謎采配と相まって4失点を喫してしまいました。

 啓太が出場停止で、代わってCBに入ったのは堀之内。攻撃能力皆無なのには目を瞑るとしても、運動量にも乏しくて守備もいいところなし。強行出場で守備放棄状態のポンテ、そして「夏の暢久(8月にしては涼しいほうだと思いますが・・・)」が連なる右サイドの「魔のトライアングル」は柏の左SH大津にいいようにかき回され、それが2失点に直結。

 守備のキーマンが2人とも出場停止で苦しいのは判りますが、動けない選手がぞろぞろスタメンに名を連ねているというのは、フィンケが指向していたサッカーの自己否定ではないのかと。この日のスタメンは原口と細貝以外はベテランだらけ。連敗で若手を使う勇気がなくなったのかもしれませんし、単に若手の実力不足なのかもしれませんが、動けないがゆえにベタ引きの相手を崩せず、動けないがゆえにこぼれ玉を悉く拾われ、動けないがゆえに中盤での組織的な守備ができずに簡単にカウンターを浴びるって、そもそも動けないことが判りきっている選手をスタメン起用していることに主因があるような気がしてなりません。

20090819no011

---高原--エジ---
原口-------ポンテ
---細貝-堀之内---
平川-阿部-闘莉王-暢久
-----都築-----

 冒頭にも記しましたが、失点するまではそんなに悪くなかったと思います。残留争いにどっぷり浸かっている柏は勝たないといけないのが災いしてか当初はベタ引きではなく、中途半端に前に出てきました。そこで浦和は柏DFラインの裏を突いて何度かチャンスメーク。右サイドでカウンターから原口→エジだとか、左サイドから原口→エジだとか、あるいはセットプレーからチャンスを生み出しましたが、またしてもというか何というかエジがこの日も大ブレーキ。振り返ってみれば、ここで点が入らなかったのが全てなんでしょうなぁ・・・

 柏の攻撃はロングボールを両SHに入れて浦和のSB裏を狙うだけの単純極まりないもの。暢久が普通の出来であればどうということはないはずだったのですが、まさかの2失点で得点力に乏しい浦和のゲームプランはたちまち崩壊。この日最も得点の臭いがしたのはセットプレーで、そのセットプレーで闘莉王が久々に1点取ったところまでは良かったのですが・・・

HT:暢久→梅崎

---高原--エジ---
原口---ポンテ--梅崎
-----堀之内----
細貝-阿部-闘莉王-平川
-----都築-----

1点ビハインドとなったフィンケの勝負手はなんと暢久→梅崎。守備の出来ない暢久ほど始末に困るものはないですから暢久を代えるのは上策だと思いますが、西澤を入れるでもなく、平川を右に回して左に永田を入れるでもなし。啓太が健在ならかろうじて成り立つ布陣だと思いますが、前半から何の役にも立っていない堀之内と、守備を全くしないポンテを中央に並べるなんて攻守のバランスを考えれば後半頭から打つべき策ではないでしょうに。西澤や永田をサイドに置くとその部分の守備力は落ちるかもしれませんが、中央に穴が開いているよりは格段にマシじゃないかと・・・

 気の毒なことにこの布陣で堀之内は中盤の底でボールを捌く場面が増えてしまい、当然ながら遠くへのパスなんて望むべくもないので近くの見方に捌いてお茶を濁すだけ。一見攻撃的な布陣にも見えますが、右サイドから平川や原口が合計3度ほどクロスを上げただけで、あとは沙汰止み。攻撃力に上積みがなく、守備力を確実に減退させた大失策だと思います。

 思えばポンテを中盤下がり目の位置に配置転換する策をフィンケはしばしば打っていますが、明らかに奏功したのは山形戦だけで、それ以外は失点のリスクが増えた割には得点力は上がらない結果に終っているような気がします。少なくともわずか1点差なのにハーフタイムから打つべき策ではないんじゃないかと。

73分:平川→セル

---高原--エジ---
原口---ポンテ--セル
-----堀之内----
細貝-阿部-闘莉王-梅崎
-----都築-----

 局面が一向に好転しないことに業を煮やしたのか、フィンケはさらに驚くべく策に打って出ました。結果的に試合中に両SBを変えてしまったわけですが、シーズン当初からSBの補強が急務だと誰もが口を揃えて言っていた懸念がこんなところで現実化。久々登場のセルの体の重たさ加減にも失望しましたが、この采配はもともとバランスが悪かったのをさらに悪化させただけに終わりました。

 直後に柏は切り札フランサを投入し、それがものの見事に奏功してダメ押しに成功。それ以前にも柏は何度かカウンターでチャンスを作り、それを外しまくっていましたが、フランサが同じようなミスをするわけがありません。

 ポンテのボールロストが主因となった4失点目で観客がどっと席を立ちましたが、こういうのって欧州じゃ当たり前の光景ですね?

 やろうとしていることは信ずるに値するけれども、やっていることには疑問符を付けざるを得ない。そんな試合でした。

20090819no010

---田中--ポポ---
大津--------菅沼
---杉山--栗沢---
小林-近藤--パク-蔵川
-----菅野-----

68分:ポポ→フランサ
73分:杉本→小林慶
81分:田中→ハモン

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