東京V譲渡問題
鹿島vs川崎の試合中断による善後処理だとか、広島の「ベストメンバー規程」違反だとか重要議題テンコ盛りの一週間でしたが、大トリを務めたのが東京Vの株主変更問題。
15日に理事会で東京ヴェルディホールディングス株式会社(以下「VHD」)譲渡が承認された直後には詳細な発表が無く、翌16日の東京V臨時株主総会後の発表を待つという形になっていましたが、東京Vの発表は有体にいえば「なんじゃそりゃ???」といった代物。譲渡先のVHDが何者であるかについてすら一切触れず。
それに業を煮やしたのかどうかは判りませんが、17日にJリーグからVHDへの譲渡について詳細が発表されました。
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Jリーグは9月15日に開催した理事会で、東京ヴェルディを運営する株式会社日本テレビフットボールクラブの株式譲渡につき、下記条件のもと、承認いたしましたのでお知らせいたします。
(中略)
・2009年度の東京ヴェルディの運営費用については、日本テレビ放送網株式会社が責任を持つ。
・東京ヴェルディホールディングス株式会社がJリーグ理事会に提出した2010年度の事業計画のうち、スポンサー料収入5億4千万円について、2009年11月16日(月)までに契約を確定し計画の金額を満たすこと。
・スポンサー契約が事業計画の金額に満たない場合は、2009年シーズンをもって退会する。その場合においても、東京ヴェルディは今シーズンのJ2リーグ戦を最後まで全うする。
・東京ヴェルディホールディグス株式会社は、日本サッカー協会寄附行為・諸規程、Jリーグ定款・規約規程を遵守する。
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どう見ても極めて厳しい内容です。
東京VがJ1に在籍していた08年における広告料収入は約4億2千万円。その前年(J2)は3億円。日テレの看板を背負っていてもこの数字ですから、VHDにとって5億4千万円というのは容易な数字ではありません。海野社長@甲府ばりの超人的な営業努力がないとしんどい目標で、結局日テレがクラブ存続のためにスポンサーとして資金援助する可能性が高いと思いますが・・・
またスポンサーが目標どおり集まったとしても、入場料収入・分配金を07年の数字(入場料2億円、分配金1億4千万円)をベースとし、その他収入をJ2平均よりやや少ない3億円だと仮定して、総収入は11.8億円。今の甲府や福岡とほぼ同じ財政規模。
この財政規模で年間約4億円といわれる練習場賃借だとか、クラブ職員95人が手付かずってちょっとありえないと思いますが・・・ スタジアムはおいそれと代替地なんて見つからないので当面味スタ継続使用はやむを得ない(どう見ても今の東京Vには大きすぎですが、駒沢はナイトゲームができず、西が丘は小さすぎる上にアマチュアゲームとの兼用困難・・・)でしょうけど。VHDの資本金はわずか2千万円。ちょっと赤字が続くとすぐに債務超過になってしまいます。
一部新聞では「地方移転」なんて記事が出ていましたが、経費節減の観点に立てばあながち暴論ともいえず・・・
これといった資産も持っていないし、後ろ盾もはっきりしない会社にお金を貸してくれるところなんてなかなかないでしょうし(溝畑社長@大分みたいに私財を注ぎ込むことになるかも・・・)、これまでの経緯が経緯なんで「公的支援」も全く見込めないでしょうし、11月の理事会で無事譲渡承認となっても極めて厳しいクラブ運営を迫られそうです。目先日テレが継続的にスポンサー料注入だとか、よみうりランド賃借料減免といった形で資金援助しないとしんどそうですが、資本関係が全く無い会社に肩入れするのも限度があるでしょうし・・・
東京Vは親会社の放漫経営&地域基盤構築失敗による破綻寸前行きというなんともアレなケースですが、経営難に陥っているクラブはごろごろあります。万が一東京Vが退会となると、ずっと拡大路線だったJリーグの挫折を象徴する出来事となり、かなり経営が厳しいと噂されるクラブのJ撤退の引き金になってしまうかもしれません・・・
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