【観戦記】09年第27節:浦和 1-2 横浜M
立ち上がり早々失点したものの前半の出来はそう悪いものではなく、川崎戦の流れを汲んだ「フィンケサッカーVer.2」の様相を見せていたのですが、前半ロスタイムの失点で何かが切れてしまったのか、後半は全く良いところなく惨敗。
8連敗中は「ポゼッションでは勝っていたが、大して得点機を作れないでいるうちにカウンターを喰らって失点し、そのままズルズルと敗戦」と要約できる試合内容だったのに対し、この試合は何一つ相手に勝るものがありませんでした(勝っているのはイエローカードの数くらいか(自嘲))。「良い内容の試合が続かない」のは浦和の悪しき伝統(=まぁ要するに「中長期的に見れば弱い」ということ)ですが、この試合もご多聞に漏れず。
まるで川崎戦の快勝で燃え尽きてしまったかのように、川崎戦では全く見られなかった不用意・不注意なプレーが続出しました。その最たるものが2失点目の啓太のプレーでしょう。自陣エリア内で相手を背負って苦しい体勢なのでセーフティーにボールを蹴りだしてタッチに逃げても良かったのにボールキープ。それだけならまだ良いのですが、2人に囲まれ、相手に引っ張られてファウルを取ってもらえるものとセルフジャッジしたあげくにボールロスト。老衰著しく、判定ぶれまくりの岡田の笛を過信したのがそもそもの間違いで、その後執拗に抗議してイエローをもらわなかったのは不幸中の幸いというべき。
立ち上がりの失点でセットプレーで最も警戒すべき中澤をフリーにしている(その前に渡邉にボールをそらされていますし・・・)のもあんまりですが、それ以外にも前半から闘莉王がなぜか徘徊をはじめたり、プレゼントパスを出してしまったり。
さらにいえばこの試合を通じて中盤の狭い局面で両チーム潰し合いを演じている場面が非常に多かった(その結果痛んでしまう選手も多々)のですが、玉際の競り合いで浦和は負けまくり。川崎戦では玉際の競り合いを悉く制していたのと正反対。
これだけ悪材料が揃えばどう転んでも苦戦は免れないところですが、その状態をさらに悪化させたのがフィンケの選手交代。この日のポンテは簡単にボールを失うわ、たまにキープしたと思えば好機に玉離れが悪いわと散々。調子が悪いのを自覚しているのか、審判に当り散らしていたので後半早い時間帯にポンテを達也に代えて4-2-2-2に変更、あるいた単純に直輝投入だろうと思っていたのですがフィンケが放った手はなんと啓太と梅崎の2枚下げ。どちらも良くもないが悪くもない出来だっただけにこの交代は全くの謎でした。
直輝はコンディションが十分でないことも相まって。攻守ともさしたる働きができず。達也は必死に動いてはいるのですが、周囲とほとんど噛みあわず完全に空回り。達也は年初は代表に呼ばれ、その後怪我で長期離脱を余儀なくされましたからエジや原口とのコンビネーションができていないように見受けられました。現状では点が欲しいところで出てきてもこうなっちゃうのかなぁ・・・
そしてフィンケが放った最後の一手はポンテ→高原。もういまさらポンテを代えても時すでに遅し。スペースがなく、しかも1対1に強い人材が居並ぶ横浜M相手にFWをうじゃうじゃ並べても点が入るわけがありません。終盤は闘莉王がCHに上がって阿部がCBに下がりましたが、前が渋滞気味なのに動けない選手を中盤に入れる意味がさっぱり判らん・・・闘莉王を前線に出して「大作戦」のほうがまだマシやろうに・・・ しかも両SBが全く動けなくなってしまったのに、1点ビハインドの局面で峻希を入れる選択肢を自ら潰しているっちゅーのもなんだかなぁ・・・・
相手が強くて力負けしたならまだ諦めがつくのですが、なんか浦和が勝手に自滅したような試合って切ないですなぁ・・・ 長期低迷に陥って久しい横浜Mに「低迷から脱出することの難しさ」を教えられたような試合でした。
-----エジ-----
原口---ポンテ--梅崎
---啓太--阿部---
細貝-闘莉王-坪井-暢久
-----山岸-----
64分:啓太→達也
64分:梅崎→直輝
73分:ポンテ→高原
繰り返しになりますが、前半はそんなに悪くなかったんですなぁ・・・ ボールを奪われてももはや遮二無二前からボールを取りに行かず、いったん陣形をコンパクトに整えて低めの位置でプレスをかけてボール奪取。そしてカウンターアタック。ただそのカウンターの過程で人数を掛ける。川崎戦からの良い流れがしっかり続いていました。ポンテ→暢久→エジミウソンと綺麗に繋がって早い時間帯に同点。その後もエジ&原口のコンビネーションを軸に何度かいい形が作れました。
「パスサッカー」への拘りはどこからどう見てもまるっきり捨てていますが、攻守共に個人能力に頼らず人数を掛けて組織的に機能させる。その一点だけは年初から一貫性を保っており、8連敗を通じてフィンケも新境地に達したのだろうと思っていたんですがねぇ・・・
ところが後半は攻めでは達也、守りでは坪井が個々人で奮戦するだけ。ハナから動けない選手、疲労で動けなくなった選手がゴロゴロする最悪の戦場で「コンビネーションサッカー」もへったくれもなし。前半坂田を盛んに縦パスで走らせるだけで何の工夫もなかった横浜Mでしたが、後半それまでどちらかといえば休んでいた渡邉や狩野がペースを上げてきたのに気迫負けしたのか、浦和は自陣深い位置でミス続出。ゆっくりかつ確実にパスを回して横浜Mのプレスを交わせなくなり、なんとも落ち着きのない状態に陥ってしまったあたりは「フィンケサッカーVer.2」へ移行するにあたっての副作用なのかどうか。
---坂田--渡邉---
狩野-------長谷川
---松田--河合---
小宮山-中澤-栗原-田中
-----榎本-----
77分:長谷川→金井
80分;狩野→田代
86分:渡邉→金
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