【観戦記】10年第4節:C大阪 2-3 浦和
C大阪(以下「桜」)戦らしいというか何というか、何とも落ち着きのない試合。どちらも守備に難があることを露呈しただけでなく、どちらも得点直後に失点を食らい、まぁ有体にいってしまえばどちらも強くはないことを1万6千人余の観客に示したような試合。
計5得点が入りましたが、スリリングとかエキサイティングとかそんな形容は全く相応しくない、低レベルな試合でした。
もっとも浦和は昇格組相手にアウェーできっちり勝ち点3が取れたのですから結果は申し分ありませんし、内容も攻撃面で山形戦より幾分進歩しているように見受けられました。1点目は事実上桜のプレゼントゴール、3点目は相手のミスにエジがつけこんで個人技で決めたようなものですが、阿部→エジの2点目は実に見事なもの。このゴールがこの日最大の収穫でした。こんなゴールが頻繁に見られるようになれば、浦和も1ステップ上ったと見ていいと思うのですが。
この日のスタメンは山形戦で全くいいところがなかった啓太を外してセルを左SH、柏木をボランチに。奇しくも「展望」で予想したとの全く同じになりましたが、この新フォーメーションの成果は微妙。柏木のほうは序盤こそ完全に消えていたものの、時間が経つにつれて展開力のあるところを見せたり、機を見て前に飛び出したり(達也の得点には多少柏木の飛び出しが寄与)と次第に馴染んでくる風でしたが、問題はやはりセル。わざわざ狭いところに突っ込んでくるまではいいのですが、そこからの玉離れが悪くて潰されるの繰り返しで正直いって攻撃の阻害要因。
そうこうしているうちに相手と交錯して痛み、原口に代えられてしまいましたが、フィンケがセルの負傷の様子を見ることもなくすぐさま代えたところを見ると負傷が交代の主因ではないかも。実際原口投入後のほうが明らかにボールの流れが良くなり、阿部→エジの得点は原口が右に流れて左サイドに出来たスペースをエジが使ったところから。
桜は3バックをあっさり放棄して5-2-2-1でべた引きになっているので、ドリブラーは相手を複数人引きつけてどこかしらにスペースを作る動きが求められているはずですが、セルはドリブルが自己目的と化しているのでどんなに迫力があってもチームとしては意味がないんですわ・・・今日の出来を見ればフィンケが原口よりセルを優先して使う理由が判然とせず。個人能力には捨てがたいものがあるセルをなんとか教育しようとしたもかもしれませんが・・・
胸のすくような2点目が決まって桜を突き放しても「今日は勝ったな、風呂でも入るか!」という気分にならないのが昨今の浦和。桜がやむなく前で出てくるようになると、後半20分過ぎくらいからあれほど優勢だった中盤でのボールポゼッションを簡単に失い、DFラインがズルズル下がるいつものぐだぐだタイム入り。
原口の守備があんまりな上に宇賀神は1対1の対応に難があって、左サイドで高橋に翻弄されるようになり、大炎上は時間の問題と思われたところでフィンケの放った手は達也→啓太。啓太を入れるということは完全に逃げ切りのサインなんですが、それならなんで守備貢献の低いポンテとの交代ではないのか??? しかも啓太のポジションがやや奇妙で、4-2-3-1のボランチといってしまうにはあまりにも前。阿部をアンカーとした4-1-4-1のように見えましたが、DFラインが下がったままなので啓太が前でプレスを掛けにいったところで単発ではさしたる効果はなし。
選手交代で却って悪くなったわけではないが、さほど良くなったようにも見えず。相変わらず浦和劣勢の時間帯が続いて、ついに右サイドからのクロスを押し込まれて同点。ポンテを右SHに置いたままゆえ起こるべくして起きたような・・・
幸いにもその直後にエジが桜を再度突き放し、ロスタイム近くになってフィンケはようやくポンテに代えて鹿取を投入し、ほうほうの体でなんとか逃げ切り。
FC東京戦以降3試合連続して先制点を挙げているにも関わらず、途中で失速して最後は相手に追い上げられるという判で押したような展開。リードしているんだから相手をいなすような、ボールをゆっくり回して半ば休む時間帯があってもいいでしょうし、相手の流れを切るような狡猾さがあってもいいと思うのですが、特段若手が多数出場していないにも関わらず何とも幼いというか拙い試合運び。フィンケのテキストをこなすのに未だ精一杯なんでしょうか?
-----アド-----
--香川-----乾--
尾亦-マル--アマ-高橋
-上本--羽田--茂庭-
-----キム-----
71分:茂庭→家長
77分:尾亦→石神
大宮戦・FC東京戦を見た限りでは全く印象に残らなかったFWアドリアーノですが、ついに本領発揮なんでしょうか?驚異的なボールキープ力を披露。香川もこれまたボールキープが巧みで、DFラインが下がった後の浦和DF陣はこの二人に随分苦しめられました。一方乾は何もやっていないに等しく、桜散る主因に。
また5バックの超守備的な構えにも関わらず2点取られた時点でゲームプランも崩壊。桜にとってはアドリアーノの覚醒だけが収穫の試合かなあ・・・ あとアマラウの存在感のなさには改めて驚きました。
---エジ--達也---
セル-------ポンテ
---阿部--柏木---
宇賀神-坪井-暢久-細貝
-----山岸-----
38分:セル→原口
69分:達也→啓太
88分:ポンテ→堀之内
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