【観戦記】10年第7節:浦和 3-0 川崎
久しぶりにJ1らしいJ1相手の一戦。強打の川崎相手に撃ち合いにもつれ込む可能性が高いと思いましたが、序盤の2得点が効いて意外にも3-0の大差で快勝。
カウンターこそ強烈だが、先制点を取られて相手に引かれると個人技の連続しか打開策がなくてすぐに行き詰まってしまう川崎の弱点は等々力での浦和戦で何度も露呈済み。
終ってみれば川崎に完璧に守備網を崩されたのは前半終わり近く、DFラインが下がったところを谷口に食らった一発くらい(幸いにもGK正面で山岸がセーブ)。後は何度か浦和の左サイドをやられそうになった場面がありましたが、山岸を脅かすような枠内シュートには至らず。
浦和最大のピンチは後半サヌの与えたPK(そもそもエリアの外ではないかという疑いが・・・)でしたが、レナチーニョのシュートを読んで山岸が片手一本でセーブ。ここで1点を返されていれば試合の行方は判らなかったと思われるだけに実に大きなセーブでした。04年のナビスコ決勝とCSで相次いでPK戦に敗れたことから「PKに弱い」という烙印を押されてしまった感のある山岸ですが、先日の加藤の2度のPKセーブに触発されたのかここ一番で大仕事を果たしました。
その後は川崎の3外国人がてんでバラバラに攻めかかるだけのお決まりの自爆コース。「川崎に組織というものは存在するのか?」と訝しくなるほど稚拙な攻撃を繰り返していましたが、かつての浦和そっくりで実に微笑ましいんですな、これが。監督が代わってもこの性癖だけはいかんともし難いようで、これが直らない限り川崎がリーグの頂点、アジアの頂点に立つのは難しいと思います。
序盤に2点先制した浦和はその後やや引き気味に構えてスペースを消しつつ、ゆっくりと川崎のハイプレスをいなしながらカウンター狙い。何度かチャンスを得ながらも追加点が奪えず、堀之内を早めに投入して守備固め(フォーメーションも4-3-2-1にシフト)に入ってからは2-0で已む無しとの空気が流れかけたのですが、そこで飛び出したのが何とびっくり連日の堀之内祭りですよ、奥さん!
左サイドでエジ、ポンテ、高原、阿部が一塊になってごちゃごちゃとなりながらボールを奪ってエジがエリア内突入。角度がないところからエジがシュートを放ち、そのこぼれ球に反応する怪しい人影。その人影がなんと守備固めに入ったはずの堀之内だったって誰が信じますか、奥さん!
この日はいつもより長く8回から登板した鹿取。2回も投げていると往々にして打順が回ってくるものですが、併殺打さえなければ三振でもいいと言われて打席に送られた鹿取が満塁弾を放ったようなものでっせ!!!
っちゅーか、堀之内はセットプレーで何度か得点していますが、流れの中で点を取ったことってあるのかなぁ・・・足元の技術はいかんともし難いものの、機を見てスペースに飛び出す動きを奨励するフィンケの指導がひょんなところで花を咲かせたものだと思わず目頭が熱くなってしまいました。
-----エジ-----
柏木---達也--ポンテ
---阿部--細貝---
サヌ-坪井--暢久-平川
-----山岸-----
58分:柏木→堀之内
71分:達也→高原
89分:ポンテ→峻希
繰り返しになりますが、この試合は序盤の2得点が全て。川崎のクリアミスを拾ってミドルシュートを叩き込んだ細貝。カウンターで独力川崎の中盤を切り裂いて、これまた遠目からシュートを叩き込んだ達也。いずれも見事なゴールでした。
浦和っていつからガンガンミドルシュートを放つようになったのか、昨年のテイタラクを思えば不思議でなりませんが、新潟戦&神戸戦の阿部の2発といい、今日の細貝&達也といい、相手守備陣を崩しきらずともがら空きのバイタルエリアから放ったシュートがバシバシ決まるようになりました。
細かいパス回しで相手守備陣を崩すのに汲々としていて肝心のシュートをどこかに置き忘れたような昨年(特に夏場)の出来からすれば実に画期的な出来事。でもパス回しによる細かい崩しを捨てたわけではなく、ミドルを狙える時は狙う、撃てない時はパスを回して相手の隙を伺うという使い分けができるようになったのかと。
昨年は形を真似るだけで精一杯だったのが、今年は形を崩して自分なりのアイデアを加えるところへ進んだ。浦和は「守」「破」「離」の「破」に突入したのかもしれません。来年は融通無碍の境地に達するといいのですが。
またこの日の勝敗を分けたのは中盤の出来の差が大きかったかと。川崎は4-2-1-3、浦和は4-2-2-2(といっても達也はエジとほぼ縦並びで、しかも守備に奔走するので、実質的に4-2-3-1に近い)なのでもともと中盤は浦和が数的優位。さらにこの日は怪我明けというよりは休養十分の細貝が獅子奮迅の働きを見せたのに対し、谷口&稲本はACL疲れなのかただ立っているだけの存在にしか思えず、この差が川崎大敗の主因になったように思います。
2点先行された川崎は後半頭から中村憲を投入しましたが、こちらは正真正銘怪我明けでさしたる仕事もできないまま。川崎は前目から懸命にプレスを掛けてきますが、肝心のバイタルエリアがスカスカっちゅーのはいかがなものかと。
見かけは超攻撃的なためもてはやされがちな4-3-3ですが、中盤が機能しないと前の3人が孤立して実に惨め。清水・名古屋と同じ4-3-3を採用するクラブとの対戦が続きますが、果たしてどうなることやら?
黒津---テセ---レナ
-----田坂-----
---稲本--谷口---
小宮山-寺田-井川--森
-----川島-----
HT:田坂→中村憲
HT:黒津→ヴィトール
73分:谷口→登里
浦和が獲得に失敗した左SB小宮山ですが、小宮山は再三その裏を狙われてこれも川崎大敗の一因に。ああ、宇賀神で良かった(苦笑)。
で、その宇賀神の故障でやむなく左SBに入っているサヌですが、自陣深い位置でやっとこさボールを取り返したところなのに、個人技で相手を抜きにかかり、そして往々にして失敗して逆襲を食らっては自身のスピードで何とか穴を塞ぐ「自作自演王」サヌの守備はさずかに心臓に悪いわ・・・
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