【観戦記】10年ナ杯予選第1節:浦和 1-1 磐田
開幕してちょうど公式戦5試合目で「ベストメンバー規定」が適用されないのをいいことに、大胆な選手入れ替えを断行するクラブが目立ったナビスコ初戦。フィンケ監督もその例に漏れず、これまでリーグ戦に全く出場していない加藤・堤・マシュー・峻希・高崎の5選手、及び途中からの出場に留まっている原口を起用してきました。
簡単に言えば怪我人が多発していじりようがない前目はほぼレギュラークラスで固め、後ろを坪井以外総とっかえ。
新鮮なメンバーで試合開始まではとてもワクワクしたのですが、残念ながらその高揚感は前半45分で雲散霧消してしまいました。連携が出来ていなくて攻守に凡ミスが相次ぐのは半ば仕方ないんですが、前へボールを運ぼうとする意欲が全く感じられず、1点ビハンドになってもDFラインでボールをゆっくり回す時間帯がやたら長いのなんの。こんなもんを金取ってみせるほうがどうにかしてますわ・・・
特に左SBに入った堤の消極姿勢は目に余るものがあり、当然ながらバックスタンドの野次の標的に。往年の城定を髣髴させる惨状でしたが、この出来では散々野次られるのも已む無し。大怪我で1年以上棒に振って試合感がないのは割り引かないといけないにしても、ユースで同期の宇賀神が思い切りの良いプレーを連発しているのと比べるとあまりにも悲しい出来栄えでした。
前半の浦和が全くだめだったのは中盤で磐田に完敗したのが主因。磐田は今時浦和相手に珍しく前目から積極的にプレスを掛けに来ました。特にボランチや高めの位置にいるSBにボールが入った時のプレスが厳しく、浦和はそれを掻い潜れずにボールを奪われるのを恐れてDFラインでチンタラボール回し。
立ち上がりに高崎がDFライン裏に抜け出してエジ→細貝でチャンスを作った以外は、たまに前線へボールが入ってもその後の攻撃に連動性全くが感じられず、散発的にシュートを放つのみ。高崎はスペースへ走りこんでそこそこ頑張ってはいるが、如何せん周囲と噛みあわず。
磐田が積極的に前から仕掛けてくるので、磐田DFラインの裏を突く攻撃がもっとあって然るべきですが、ボールを出せないほうが悪いのか、引き出す動きが少ないのか、あるいはその両方なのか・・・・
中盤が劣勢なのでただでさえメンバー入れ替えで脆弱さを増している浦和のDFラインはますます脆弱に。もともと1対1の守備に難がある峻希は再三サイドを深く抉られて、あまつさえ裏を取られる始末。右サイドでは原口の守備が相変らず緩慢で再三駒野がちょろちょろ。
まぁ両サイドともSBとSH、あるいはSBとボランチの連携はメロメロで、これじゃ失点は時間の問題だろうと思っていたら、マシューのクリアが成岡の前に転がってズドン。もっともここはマシューよりもその前のGK加藤のドタバタ劇のほうが責められるべきでしょう。
マシューは90分通じてみれば初戦にしては悪くなかったと思うのですが、クリアボールがなぜか悉く相手に渡ってしまうのが謎でした。あと、ちょっと前田に自由にポストプレーをやらせすぎ。さすがにハイボールをきっちり跳ね返す仕事はこなしており、尻上がりに調子も良くなって90分通じてみれば初戦としてはまずまずだったかも。もっともこれは徳島戦の大失態で期待値が滅茶苦茶低いゆえでもあるんですが。
前半のあまりの不甲斐ない出来にフィンケも業を煮やしたのか、揃いも揃って不出来な抜擢組の中でもとりわけ出来が悪い堤に代えてポンテを投入して、細貝を左SBに配転。するとあっという間に浦和が中盤の主導権を奪い返してボールが前に進む、進む。
ボールが中盤で保持できるようになったので、細貝はもちろん、それまで苦手な守備に奔走していた峻希も躍動感を取り戻してどんどん前へ。磐田がやや前半飛ばしすぎて中盤のプレスが効かなくなったせいもあるのでしょうが、浦和は事実上2バック状態になって相手を一方的に押し込み始めました。
但し、相手を押し込んでいる割にはベタ引きになってしまった磐田を崩すアイデアに乏しくて、決定機が少ないのは相変らず。FKからどフリーで飛び込んで高崎のヘッドは枠外。右サイドを抜け出した高崎、さらにポンテからのクロスをエジが決められずと数少ない決定機を逃しているうちに両SBが疲れてしまって、浦和の攻撃は次第にフェードアウト。
前半が酷過ぎたので後半が非常によく見えますが、考えてみれば「押し込んでボールを支配している割にはチャンスが少ない」という普段のパフォーマンスに戻っただけ。
フィンケは高崎に代えて林を投入するというテスト色の強い采配を揮いましたが、林はボールをキープできず、かといって気の利いたところへ走りこむでもなくと何とも歯がゆいプレーに終始して局面打開には役立たず。
相手が強いチームだったらカウンターでやられていただろうなと思う場面も何度かありましたが、幸いにも磐田はかつての浦和並みに攻守の切り替えが遅く、前田渾身のポストプレーもほとんど活用されず。
時々頑張っている様子が見受けられるものの、ボールを失ってからの手抜きぶりが目に余る原口。攻撃面も残念ながらいいところなく、電池切れで啓太と交代。その後のフォーメーションが不明(啓太がボランチに入って柏木が左SHの4-2-2-2?)でしたが、啓太がエリア内での絶好機でゴールマウスに平行に飛ぶシュートをぶっ放すなど案の定な展開になってしまってこの交代も意味なし。
どう見ても敗色濃厚でしたが、ロスタイムに入ってエリア内に飛び込んだ柏木とのパス交換でポンテが同点弾。いやぁ後半45分は結局のところポンテショー。動ける時間は長くないけれど、動ける時間にはJリーグならまだまだ一級品の仕事ができるポンテ様々。また最後まで諦めずに走り抜ける柏木もまた見事でした。
でも、若手&新外国人をテストして見たけどどうもしっくりとはいかず、収穫といえば「夏に契約の切れるポンテを切るのは今のところ無謀だ」ということが判っただけかも。
---高崎--エジ---
原口--------柏木
---阿部--細貝---
堤--坪井--摩周-峻希
-----加藤-----
HT:堤→ポンテ
---高崎--エジ---
原口-------ポンテ
---阿部--柏木---
細貝-坪井--摩周-峻希
-----加藤-----
72分:高崎→林
-----エジ-----
原口---ポンテ---林
---阿部--柏木---
細貝-坪井--摩周-峻希
-----加藤-----
82分:原口→啓太
---前田---李---
松浦--------成岡
---上田--那須---
朴--康珍--加賀-駒野
-----八田-----
64分:成岡→山本康
77分:イ・グノ→荒田
前半圧倒的に優勢だった磐田ですが、振り返ってみれば決定機は得点場面以外に、左右にボールを振って磐田左サイドからのクロスをファーでイ・グノ?が合わせた場面くらい。それ以外にGK加藤を脅かす場面は思い出せません。
後半は全くいいところなし。べた引きで守るのはいいのですが、そこからのカウンターに全く切れ味がなく、しかも最後まで守備陣が耐えきれず。確かにこのところ全く勝っていないだけのことはあります。
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